Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2017.04.12 劇団四季「ノートルダムの鐘」:刺激が強めの前方席

 

4回目の「ノートルダムの鐘」。

 

飯田さん、宮田さん、清水さんが揃ったら、東京公演最後に1回だけ行こう!って決めてました。これでこの時点でのプリンシパルは一通り制覇。

 


f:id:der_letzte_tanz:20201005142150j:image

 

飯田カジモド、芝フロロー、宮田エスメ、清水フィーバス、吉賀クロパン。ビジュアルが濃いめのメンバーでございます。

 

ちなみに12月から毎日のようにやってたのに、この組み合わせは、この週が初めてだったそう。

 

座席は、本当に運良く確保できた1階席センターブロック2列目。

当たり前ですが本当に舞台がすぐ目の前で、ものすごく細かいところまで見られて感動。ただ近すぎて首が痛かったです…。笑

 

 「おや?」というハプニングもちょいちょいありつつ、でもやっぱり素晴らしい作品であることには変わりありませんでした。アメリカではブロードウェイで上演されることがなかった作品ですが、日本に輸入してくれて本当にありがとう…感謝永遠に…(拝)

 

 

以下、キャスト別感想。

 

【カジモド:飯田達郎さん】

・全体的には、海宝カジモドの闇の部分と、田中カジモドの陽の部分を足して、そこに細かい仕草をつけて2で割ったような飯田カジモド。ディズニーアニメ版に一番近いキャラ作りな気がしました。

 

・体つきが他2人と比べるとがっしりしてる印象。役柄にぴったりだと思いました。「ぼくはとてもつよい!」のセリフが初めて腑に落ちたな~。

 

・髪の毛がちょっと長めで茶色くてふわふわで(髪質が柔らかそう)ぬいぐるみっぽさを感じました。ダッ〇ィーみたい。笑

あとは目が大きくてきょろっとしているので、時折歌舞伎の見栄を切るような表情になっているなぁとも感じました。目ヂカラがすごかったです。

 

ガーゴイルたちとしゃべってるうちに、だんだん喋りが滑らかになって、表情も姿勢もゆがみが無くなっていくので、カジモドが空想の世界に深く入り込んでいく様子がよくわかりました。いきなりフロローに声をかけられると、途端に喋りがたどたどしくなるギャップも、カジモドが人に対するコミュニケーションに難を持っていることがわかりやすかったです。

 

・言い方は非常によろしくないですが、この回ではフロローの「飼い犬」という印象がとても強かった飯田カジモド。劇中でもカジモドは、道化の祭りに参加している民衆から「フロロー大助祭のペット!」と言われますが…。それは従順という意味でも、愛嬌を振りまくあざとさという意味でも、そういった印象を受けました。にこにこ笑っているのも、フロローに嫌われたくない一心から生まれる笑顔に見えて、切なかったです。

 

・飯田カジモドは♪陽ざしの中へ♪が本当に圧巻で、この曲を聴いて初めて泣きました。「一度でいいから外の世界に触れてみたい」というカジモドの切実な想いが、ちゃんとこちらに伝わってきました。

ラストの♪ひーざしーのーなーかーへー♪と歌うところで見せた表情が、忘れられないくらい心に残りました(私の席から見るとめっちゃいい感じの角度で見られたのもあるけど)外から降りそそぐ光を受けて、これぞ「希望に満ちて輝いてる顔」をしていました。

でも曲終わりに下を向いた瞬間、またすごくゆがんだ顔に戻っていて、瞬時の切り替えにびっくり。カジモドの空想の世界が終わって、現実に戻った瞬間なのかと思うと納得できましたし、初めて外に出る覚悟も同時に伝わってきて細かいな~と思いました。

 

・♪世界の頂上で♪では、街の景色を見ながら歌うエスメラルダを横でじーーーーーーっと見つめて、エスメがカジモドの方を向くと「は!!!!!」ってそっぽ向く流れがとっても可愛かったです。あの時間がずっと続けばいいのにと思ってしまう…2幕なんて来なきゃいいのに…。

 

曲終わりで2人が向かい合って体を後ろにそらせるシーンも、私の席から見ると本当にパンフレットに載ってる写真みたいで感動でした。…2人とも幸せそうで泣けた…飯田カジも宮田エスメも「えへへ」って笑ってて、やっぱり2幕なんt(以下略)

  

・そういえば…エスメラルダから託された地図をフィーバスに取られたカジモドが、そばにあったイスでフィーバスに殴りかかろうとするのは、もう1人のカジモド役である田中さんのアイデアとのこと。日本オリジナルの演出なんですね!!

 

・2幕後半、絶望感満載のカジモドが歌う♪石になろう♪も圧巻…!開幕当初、お昼にやっていた某番組で、「僕は高音出ないんですよ~海宝くんは楽々出してるのに~」とか言ってたのはどこの誰ですか!?!?

 

歌い始めは怒りの矛先が外(=ガーゴイルたち)に向かっているのに、ガーゴイルたちが彼の元を離れてからは怒りの矛先が内側(=自分)に向いちゃっていて、自分で自分を傷つけているような姿がとても悲しかったです。

 

・飯田カジモドを観ていた中で一番好きだったシーンは、クライマックスのフロローとの対峙シーンでした。「悪人は罰を受けるんだ…!!」が震えあがるくらいものすごい迫力、怒りの表情も凄まじかったです。実は他の2人のカジモドの回だと、ここは自分の中であまり腑に落ちなかったシーンだったんですが、飯田カジモドの演技だと、なぜかすんなり納得できました。

 

ちなみにここでグッと背を伸ばすカジモドは、自分の歪んだ骨や筋肉を断ち切ってるそうです(By海宝さん)その痛みを超えたとてつもない怒りが、飯田カジモドからは伝わってきました。

 

 

エスメラルダ:宮田愛さん】

・とにかくダンスが映像に残して売ってほしいくらい魅力的。宮田さんのダンスは素晴らしいです。一つ一つの動きがダイナミックで、思わず目を惹きつけられるダンスってこういうことを言うんだなぁと。どういう風に動けば人々の心を奪うようなダンスが出来るかを熟知していらっしゃるのでは…。宮田エスメが踊り終わったあと、観客もコインを投げ入れられたらいいのに。笑

 

・♪タンバリンのダンス♪も良いですが、個人的には♪酒場の歌♪のソロダンスを推したいです。あの場面だけ巻き戻しボタン連打したい(←ない)

 

・♪世界の頂上で♪では、普通の女の子みたいにカジモドときゃっきゃしてるのに、♪酒場の歌♪の場面になるとまた色気たっぷりの女の顔になる、あのギャップも素敵すぎます。アンサンブルの男性に抱きかかえられた時の宮田エスメの表情が色っぽすぎませんか…!?

 

・あと対フロローの演技がすごくうまくて、2幕後半で理不尽に迫られるところとか、表情に「絶望」の2文字が浮かび上がるような、悲痛な表情をされているのが印象的でした。

 

 

【フロロー:芝清道さん】

・前回観た時と変わらず、ふわっとしたやさしげな表情の裏に、底知れぬ欲望を持った芝フロロー。人当たりが良さそうな分、本性をあらわした時が恐ろしいです。

 

・今回も♪地獄の炎♪がすごかった…声で燃やしてくるやつでした…(謎)歌ってるときの目も完っっ全にヤバい人のそれでした。

 

・どこまでもドライな野中フロローと違って、芝フロローはカジモドに対して本当に愛情があったんだろうな〜と感じます。カジモドを叩いてから抱きしめたりするのも、端から見るとゾッとしますが、フロロー自身がそういう愛情の示し方しか知らなかったんだろうなと。彼自身も孤児ですし、ジェアンの面倒を見るばかりで、一方的に与える愛情は知っていても、与えられる愛情は知らずに育ったんでしょうね…。

 

 

【フィーバス:清水大星さん】

・清水フィーバスのファンクラブがあればぜひ入りたいくらいには、清水フィーバスが好きです(唐突)

 

・なぜか私の笑いのツボに絶妙に入ってくる清水フィーバス。ただでさえなんだか面白いのに、この日は色々やらかしてくれました。笑

 

・♪タンバリンのリズム♪で宮田エスメがタンバリンを結構な勢いで投げてきて、顔面直撃すれすれで受け取ってたり。

民衆からカジモドへの暴力をやめさせようと、かっこよくカジモドの前に立ちはだかったものの、マントがずれてしまい右腕にばっさーーーと丸かぶりしてたり。

エスメラルダを見つけた者に金貨4枚!!」のセリフで松明の火が消えてしまい、アンサンブルの高枡さんにアイコンタクトしまくって松明交換してもらってたり(火が消えた松明を持ちながら、きりっとした顔でうろうろする清水フィーバスから目が離せなかった…笑)

 

アクシデント(?)続出で大変そうでした。

 

・ところでこの回で清水フィーバスは3回目だったんですが、いつ聴いても全くブレることのないスーパー安心クオリティの歌声。一体どんな声帯の持ち主なのでしょうか…!? プロなので当たり前かもしれませんが、一定のクオリティのものを毎回届けるってかなりすごいことだと思います。

 

・加えてお芝居もどんどん細かくなってる気がしました。

最初見たときはひたすらに熱い男で、実は「歌が上手い」以外の印象がなかったんですが、エスメとの牢獄での最後の夜のシーンで、表情で少し弱さを見せたり、「エスメラルダがたとえフロローのものになったとしても、自分の仲間たちみたいに死んでしまったら元も子もないから生きていてほしい」という強い願いがひしひしと伝わってきたり。よりキャラクターに深みが生まれていました。2幕から顔つきが一気に変わって、グッとかっこよくなるのもずるい!!

 

 

【クロパン:吉賀陶馬ワイスさん】

・クロパンに関しては、正直阿部さんも吉賀さんも、見た目の印象こそ違えど演じ方にそこまで差はないかなと…。すごく出番の多い役柄ではないし、差もつけにくいのかもしれません。言わずもがなお2人とも上手いです。

 

 

余談ですが、この回は修学旅行生(中学生)が一般客をしのぐレベルで大量発生していて、正直開演前はちょっと心配しておりました。案の定始まる前はすごく騒がしかったんですが、「まもなく開演です」のアナウンスの後は、さーっと波が引いていくみたいに静かになってました。

 

1幕が終わり、幕間で客電が着いた途端、あちこちから「すげー!」って声が聞こえてきてたのがすごく嬉しかったし、カーテンコールでもものすごい拍手が後方席から聞こえてきたので、役者さんたちもみんなにこにこしていました。とても素敵な空間の中での観劇になりました。

 

しかしなかなか濃厚なシーンもあるのに、これを生徒に見せる先生、コアな四季ファンだったりするのでしょうか…。