Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2026.1.10 ミュージカル「ISSA in Paris」ソワレ公演:時空を超えた、一茶をたどる旅

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2026年の観劇はじめはこちらへ。

原作のない完全オリジナルミュージカルでここまで大々的に上演される作品って、結構久々なのでは…?という「ISSA in Paris」初日公演を観てきました。

 

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※開演前・休憩中・終演後は撮影可能でした。

 

大前提として…。

実はこの作品の上演が発表されて海宝さんが主演を務めると知ったときも、あらすじやポスターが解禁されたときも、制作発表の歌唱を聞いたときも、自分の心があまりわくわくしなかったというのが正直なところでした。

 

これは私の中では「太平洋序曲」「ダ・ポンテ」「この世界の~」パターン(※)になりそう…ということで、初日とアフタートーク回の計2回のみを上演前に確保しておいて、実際に観劇してもし好みに合えば、開幕後にチケットを買い足そうと思ってました。

※いずれも素敵な部分はあったものの、いまいち印象に残らなかった海宝さん出演作品。

 

~以下、ネタバレを含んだ感想です~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体の印象

やはり自分の直感は当たるのか、初日を観劇した直後の感想は「………」でした。もう1公演チケットを持っていますが、2回目を観劇したとて作品自体にハマることはおそらくなさそうです。

 

初日を観ただけではありますが、ざっくりと「好きだったポイント」「個人的に微妙と感じた&疑問に思ったポイント」を分けて書いてみようと思います。記憶違いや解釈が間違ってる部分も大いにあると思うので、あまり参考にはならないと思います(大声)

 

好きだったポイント

演出

現代と江戸時代。日本とパリ。劇中に出てくる「時間」と「場所」の組み合わせは全部で4通りあり、その設定だけで結構ごちゃっとしそうだな…と思ってましたが、ここの見せ方はさすが藤田さん!でした。

 

江戸時代のシーンに現代に生きる海人が紛れ込んでいたり、現代のシーンにいないはずの一茶が登場するファンタジーなシーンがありましたが(一応それぞれその時代の出来事には、基本的に干渉しないスタイル)、衣装・ヘアメイク・照明・舞台セットという要素すべてを使って、今ここが「どの時代」の「どこ」なのかをはっきり提示してくれていました。

 

事前にあらすじを読んだときに、個人的にこの部分でこんがらがりそう…と心配してたので、その不安は杞憂に終わりました。

 

ハイクオリティな歌唱力を持った出演者の皆さま

ミュージカルなので当たり前なのかもしれませんが……先月観た「デスノート」の件があるので当たり前ではないのかもしれないですね(真顔)プリンシパルからアンサンブルキャストにいたるまで、歌唱を聴いてて「むむ…なんか気になる…」みたいな人がいませんでした。海人の子供時代を演じていた子役さん含め、皆さん素敵な歌声でした。

 

海宝さんと岡宮さんの歌声の相性

everコンでのデュエットを聴いてたので知ってはいたものの、お二人の声の相性がめちゃくちゃ良くて…!特に岡宮さんがどんどん歌唱力を上げてきており、今回もところどころ「あれ、今どっちが歌ってる?」ってくらい、限りなく海宝さんの歌唱に似た声を出してる部分があってびっくりしました。二人の声が重なると本当に美しくて、もっとデュエットを聴いてみたくなりました。

 

海宝さんへ、次のアルバムには岡宮さんを呼んでデュエット曲収録してください(強欲ヲタクより)

 

(個人的に)微妙と感じた&疑問に思ったポイント

主人公を2人据えることによる脚本の詰め込みっぷり

結論から言うと、「小林一茶の空白の10年間」を描いた物語【だけ】で良かったのでは…?と思ってしまいました。

 

現代パート(海人パート)を入れることで、海人が母を赦し、赦される話を入れなくてはならず、一方で一茶がパリで革命の手伝いをしていた話も入れなくてはならず、どちらも深く描くことが時間的に難しいため、全体的に中途半端な印象を受けました。

 

2幕終盤に海人が小林一茶と"会って"号泣するシーン、客席からもすすり泣く声がちらほら聞こえてましたが、私はあの瞬間、完っっっ全に感情が置いてけぼりにされてしまっていました。舞台上で起こっていることを、あそこまで傍観者のように感じてしまったのは初めてのような…。

 

あと「そのシーン、そんなに長く割く必要ありますか!?」と思ったのは、1幕で一茶が外国船見たさに転がり込んだ置屋(?)にて、花魁たちが客を取るシーン。「天保十二年~」始まったのかと思いました。そういえばあれも藤田さん演出ですね。「太平洋序曲」にもあんな感じのシーンがあったような。外国人をもてなそうとする花魁見習いたちの歌みたいな…(雑すぎる記憶)

 

「結局何が伝えたかったんだろう?」な結末

前述したポイントにもつながるんですが、この作品、いったい何がテーマだったのか、何を伝えたかったのかが私にはいまいちわかりませんでした。

 

2幕終盤、一茶の俳句(言葉)の力で、革命を起こそうとしていたパリの民衆の心がひとつになった、というのは理解しました。

 

俳句というのは物理的な武器にはならないけど、人の心を豊かにする。娯楽だけどなくてはならないもの、というのも理解しました。それは大河ドラマ「べらぼう」でも昨年やってたよと思いつつ。

 

で、「それは今回の作品に必要なのかな…?」と思ったのが、『上流階級の搾取により一般市民が苦しんでおり、市民はそれに対して黙ってるんじゃなくて抗っていく』という流れが生まれるのは、時代や国が変わっても同じなんだよね~という部分。それは既に「レ・ミゼラブル」や「マリー・アントワネット」などに盛り込まれているテーマでもあり、今回は「小林一茶」「俳句」に焦点が当たってるものと思いながら観てたので、急にこういう話が全面に押し出されてたことに一番疑問を感じました。

 

2幕終盤、テレーズたちパリ市民が武器を手に立ち上がったものの、(直接的には描かれませんでしたが)おそらく失敗に終わってたので、『暴力による革命は良い方向に進まずただ命を落とすのみ。だから「言葉」で抗っていこうよ』というのならわかるのですが、そういうことだったのかな…。いやでも言葉を武器にするはずの一茶が自ら武器調達してたしな…(モヤモヤ)

 

歌のインパク

これは完全に私個人の感想です(強調)モーリー・イェストンの作品は「ファントム」「NINE」くらいしか観たことがなく、その2作に関しては1曲くらい印象に残る楽曲があったのですが、今回の作品に関しては曲があまり残らないな…と感じました。

 

強いて言えば、海人の代表曲となった♪ Talk, Talk, Tokyo ♪が一番インパクトありました。ただしあの曲でバズるのか…というのはちょっと思ってしまいました…キャッチーではあったけども…。

 

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ざっと書き出してみましたが、初見の感想としてはこんな感じです。きっとこの作品が"刺さる"人もたくさんいるんだと思います。が、私は終始「?」が頭上に浮かんだ状態での観劇でした。