Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.9.4 宝塚雪組「ベルサイユのばら」 -フェルゼン編-ソワレ公演:少女マンガを三次元に

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まさか1年に2度も宝塚を観劇することになるとは。

 

完全に興味本位で申し込んだ宝塚のベルばら、なぜかまたイープラス様の貸切公演に当選したので観てきました。RRRもイープラス貸切公演だったので、2024年はイープラス当たり年でした。

 

しかもA席で申し込んだところ、RRRに続きまたまた2階席の目の前が通路のセンターブロックでした。え、ラッキーすぎません…?

 

そもそも「ベルばらがめちゃくちゃ好き!」ってわけではないのですが、なぜか【宝塚=ベルばら】という図式が私の中に昔からあり、死ぬまでに一度は見ておきたいなと勝手に思ってたので、願いが叶って良かったです。オーソドックスな(?)ベルばらじゃなくて、フェルゼン編でしたが。

 

原作マンガは学生時代に一度読んだきり。しかもオスカルが戦死したあと、まだ物語は続いてるのに「オスカル死んじゃったからもういいやー!」となぜか読むのをやめた、オスカル推しだった高校生の私…。


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全体的に楽曲やセリフ回しが独特でしたが、そりゃ史実とはいえあくまでも元は「昭和の少女マンガ」なので…。2幕終盤は見ごたえあったけど、正直ダイジェスト感は否めなかったです。でも宝塚のお家芸(?)を観られて良かったなぁ。

 

マンガ予習できてないー!と心配してましたが、意外とミュージカル「マリー・アントワネット」を観たことがあれば問題なかったです。むしろ今回のバージョンのベルばらを観るなら、そちらを観て予習する方が手っ取り早そう。

 

ちなみに冒頭、フェルゼンが亡くなったマリーを回想するような歌で始まるのがMAそっくりで、マリー・アントワネットを語るときはフェルゼンの回想の歌から始まらないとダメみたいな約束でもあるんだろうかと思ってました。笑

 

今回は今まで宝塚で観た「CITY HUNTER」や「RRR」とは違って、1幕も2幕もお芝居のパターンでした。ミュージカル好きとしてはこのシステム(?)の方が馴染みがありますが、過去2作が「お芝居+ショー」だったので若干混乱しました。

(1幕終わった時点で「え、お話終わってないが!?」と困惑する宝塚初心者)

 

だからなのか、お芝居本編の中にもわりとダンスシーンを入れていて、フェルゼンとマリーが愛を育むシーンや、フランス革命で民衆が蜂起するシーンは、群舞やフェルゼンとマリーのペアダンス(?)が入っていて、そのシーンはほぼセリフなしで繰り広げられてました。

 

わりと序盤だったと思いますが、フェルゼン、マリー、オスカルが3人で歌うシーンの背景に、突如原作マンガの絵がドドーンと出てきたのはちょっと面食らいました。あえてそこで原作推してくる意図がいまいちわからなかったので。

 

楽曲もどれもピンとこなかった…のは、きっと古くからあるものをそのまま使ってるからだと思います。基本的にキャラクターの心情を切々と歌う曲ばかり&どれも昭和歌謡のようなスローなバラードばかりで、いまいちメリハリを感じられませんでした。

 

あと突如挟まれるギャグシーンは一体何だったんだろう…。フェルゼン派の貴族のお姉さまたちvsオスカル派の貴族のお姉さまたちみたいなシーン…。


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彩風フェルゼンは、2階席から観ても際立ってスタイルが良く、まさに美しい貴族の青年でした。愚直なまでに愛を語るセリフ回しも、彩風フェルゼンが語ると納得できてしまう不思議さがありました。ただすごくインパクトのある役柄というわけでもなかったので、役柄の面白さという意味では「CITY HUNTER」に軍配。

 

フェルゼンの行動が結構ツッコミどころ満載で、「いやわけわからんが!?」ってなったのが

 

アンドレのオスカルへの気持ちを、オスカル宛の手紙に勝手に書く

 

②「王妃様(マリー)を救うために急がねば!」と言ってスウェーデンを出るのに、その道中わりと呑気にオスカルとアンドレの死を悼むシーンがある

 

「マンガだからな…」と思いつつ、どうしてもツッコまざるを得なかったです…。笑

 

本編終了後のショーでは、この作品が彩風さん退団作になるからか、ほぼ20分くらい出ずっぱりで踊り歌いまくっていて、2時間半のお芝居をやってからとは思えないスタミナの高さと、エンターテイナーとしての矜持を感じるパフォーマンスでした。正直本編よりも、ショーの彩風さんの方がかっこよくて好きでした。

 

夢白マリーは、1幕の芝居があんまり好きになれませんでした。セリフ回しは全体的に大仰だったけど、彼女は際立って大げさで、声のトーンも耳にキーンと刺さる感じでした。

 

でも2幕のラストを観て「あぁ、ここを際立たせるための1幕のあの芝居だったんだな」と腑に落ちました。とにかく恋に恋する乙女みたいな芝居を1幕でしないと、2幕で苦境に立たされるマリーが生きてこないんだろうなぁ。

 

1幕の真っ赤なドレスもすごく素敵で美しかったんですが、断頭台に登る前の最期の姿は着飾っているときよりもさらに美しく見えました。これは「マリー・アントワネット」で笹本マリーを観たときにも感じたこと。着飾っても質素でも美しくなれる役者さんだからこそ、マリー・アントワネットという役ができるんだと思います。

 

朝美オスカル、正直「宝塚のベルばらが見たい」という理由の他に「朝美絢さんのオスカルを肉眼で見たい」があったので、彼女が見られただけでチケット代金の元は取れてます(真顔)とんでもなく圧倒的な「美」でした。まさにマンガから飛び出てきたような…いやマンガ以上に二次元なビジュアル。今回は男性らしさも女性らしさも兼ね備えたキャラクターのため、いつも彼女が演じている男役とは勝手が違ったと思いますが、声にほんの少し女性っぽさをにじませるのが上手かったです。

 

個人的に好みだったキャラクター&役者さんが2人いました。

 

1人目はジャンヌ役の音彩唯さん。絵に描いたような「ザ・悪女」を、1人だけ突き抜けたテンションでものすごく爽快に演じていらっしゃったのが印象的でした。オペラグラスを使わずともわかるくっきりしたお顔立ちで、毒々しい色彩のドレスにも負けないビジュアルの強さに惚れ惚れしました。

 

2人目はメルシー伯爵役の汝鳥伶さん。宝塚には「専科」と呼ばれる組(?)にベテラン役者さんが集まってるらしいのですが、汝鳥さんはその専科からのご出演。なんとベルばら初演にも出演されていた大ベテランの役者さんとのこと。

 

メルシー伯爵は、マリー・アントワネットがフランス王家に嫁いだときのお目付け役。1幕のフェルゼンとの会話シーン、2幕終盤のマリーとの会話シーンの、どちらもすごく印象に残りました。特に物語終盤、メルシー伯爵がお人形を持ってマリーの牢獄を訪れた姿を見て、ちょっとうるっときました…。

 

そういえば韓国でミュージカル版「ベルサイユのばら」が上演されたらしく、そちらはオスカルとアンドレがメインで、マリーとフェルゼンは登場しない脚本になってるそうです。日本からも続々役者さんが観に行ってましたし、そのうち日本に逆輸入して上演されそう。楽しみです!