Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2023.12.29 劇団四季「ウィキッド」マチネ公演:キャストの組み合わせの妙


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「ここまで見事に(前回から)プリンシパルキャストが入れ替わることある!?」だった、2回目の「ウィキッド」観劇。

 

前週まではキャストシャッフル状態でしたが、私が観る週に全員開幕キャストが揃いました。たった2回でオズの魔法使い役の飯野さん以外観られたの、めちゃくちゃラッキーすぎる…。


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座席は先行抽選で当たった席だったので、1階席のセンターブロック。14列目なのでほどよく舞台から遠く、でも役者さんの表情もオペラグラス無しでギリギリわかるくらいのちょうど良い距離感でした。

 

なぜか14列目のみ、足元が他の席よりも広くて快適だったんですが、あの感じだと普段は通路として空けてるのかな…?本来は存在しない列…?

 

ものの見事にガラッとプリンシパルキャストが変わったからなのか、2回目観劇だからなのか、前回よりもしっかり楽しめました。

 

前回はグリンダの選択がすごくしんどいな…と思ったんですが、今回は(エルファバが推しの三井さんだからということもありますが)エルファバの苦悩が刺さりました。キャストが変わるだけで自分の感じ方が変わるのが面白かったです。

 

グリンダとエルファバの組み合わせは、4人とも観た結果、確かにこれが最適な組み合わせなんだと思いました。

 

完全に個人感ですが、前回観た中山×小林ペアは、私が思う正統派グリンダとエルファバで、真瀬×三井ペアは意外と変化球な印象。ただし舞台慣れしていそうなのはこのペアだったので、開幕をこちらにしたのは納得でした。

 

中山×三井ペアだと、2幕の展開がかなりしんどくなりそうなくらい、2人とも「普通の女の子」で「健気さ」が強めなのでちょっと違うかな…ってなりそうでしたし、真瀬×小林ペアだと、あまりにも強×強すぎて、そもそも2人が友達にならなそうな気が…

(2人とも独立心があるゆえに、反発しあうパワーもすごそうなので)

 

前回の某フィエロが全く好みじゃなくて、カイサーフィエロはどうかな…って心配だったんですが、少なくとも前回の方よりは全然良かったです。

 

洋楽っぽい節回しの歌い方なのはフィエロ共通なのかな?カイサーフィエロはチャラさはありつつ、エルファバに出会ってから成長して、本当は誠実に人を愛せるんだなとちゃんと芝居で伝わってきました。


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グリンダ&エルファバのみ、キャスト別感想。

 

【グリンダ:真瀬はるかさん】

・真瀬グリンダの感想書くのがちょっと難しいです。私の語彙力だと、彼女がどんなグリンダだったかの印象を書くときにあまり良くない例えで表現せざるを得なくなってしまう気がして…。

 

その上であえて書きますが、歌唱力は全く問題ないどころか、めちゃくちゃ聴きごたえあって素晴らしかったです。お芝居も、真瀬さんなりに振り切って演じられてるのはすごく伝わってきました。

 

でもなんというか…ご本人が持っている気質と、グリンダのキャラクターがあまりにもかけ離れている印象を受けたんですよね。

 

すごく説明が難しいんですが、ストレートに表現すると、中山グリンダは本当に生粋の何も考えてない(*褒めてる)ナチュラルボーン天然乙女なのに対し、真瀬グリンダは「天然キャラとして振る舞う」ことに命をかけてる感じ…?

 

中山グリンダは本当に自分のことを「かわいい♡」って思ってそうで、真瀬グリンダは両親に「うまく世渡りするなら、どんな手段を使っても愛される人になれ」って言われて育って、ああいう振る舞いをしてそうな感じ…?

 

なので真瀬グリンダは、振り切ったお芝居もどこか「計算」でやってるような印象を受けたんですよね。グリンダの「みんなに愛される」を達成するための計算、という方針のお芝居という可能性もありますが、中山グリンダでは笑えたお芝居の部分があまり私のツボに入らず、全体的にあまりしっくりこなかったです。

 

でも本当に私の感性の問題なだけであって、真瀬グリンダの役作りがハマる人も絶対たくさんいると思います。

 

【エルファバ:三井莉穂さん】

・登板ローテーション的に、私は小林エルファバしか観れないのでは…と思ってたので、うまい具合に前の週から入ってくれて本当に良かったです(拝)

 

三井さんは確か札幌公演の「ウィキッド」にも一応エルファバにキャスティングはされてたけれど、出演したことはなかったようでした。

(当時「アラジン」初演~2年目公演中で岡本さんがエルファバだったこともあるので)

今回やっとこさ出演できたんだろうな…。

・多分正統派なエルファバとは少しキャラの方向性が異なっている印象でしたが、推し役者さんなこともあってこれはこれでいいのではと思いました。歌だったら小林エルファバ、お芝居だったら三井エルファバが好きです。

 

・エルファバはわりと「かっこいい」「芯がある」イメージでしたが、三井エルファバは、魔法が使えること以外に関しては人間的にとても強いわけでもなく、特に1幕はけなげな印象が強かったです。

(2幕の♪闇に生きる♪でオーラがガラッと変わったのがお見事でした。さすが雪の女王

 

だから私が真瀬グリンダを見て「なんか違う…?」と思ったのと同じように、「え、エルファバのイメージじゃなくない?」と思う人がいても当然かなと思いました。

 

・お芝居はかなりそつなくこなしていて、観やすいけれど印象には残らないかな~と思ってたんですが、2幕の♪For Good♪が終わった後、グリンダとの別れのシーンで、にっこり笑いながらいたずらっぽく「しーっ」と人差し指を口に当てて、幕の向こう側に去っていったのがあんまりにも悲しくて、思わず声をあげて泣きそうになったのを必死に抑えました…。私ああいうシーンダメなんだよな…なんか別作品でも同じようなシーンで泣いた記憶ある…(多分レミゼの唯月エポニーヌが微笑みながら息絶えるシーン)

 

エルファバは最後に、笑ってた自分をグリンダに覚えててほしかったんだろうなと思うと、その気持ちが切なすぎました。