Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2023.11.4 劇団四季「ウィキッド」マチネ公演:ゆこう、エメラルドシティ

※物語のネタバレ全開です!!!!!

今後観る予定の方はUターン推奨です!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブロードウェイでの観劇から10年。

ようやく劇団四季版「ウィキッド」を観ることができましたー!

 

東京公演がちょうど10年ぶりだったらしいので、私が留学してた頃に四季劇場【海】で上演されていたんだと思います。「アラジン」1周年記念公演の時に、ジャスミン役の岡本瑞恵さんが札幌でエルファバを演じてたのは覚えてるんですが、そこから数えてもかなりの年数空いてからの再演だったようです。

 

東京公演は約3ヶ月あるけど、四季の会会員向けの販売だけでチケットが完売したという、驚異の売れっぷりでした。月1回観られる頻度でチケットが取れたのは多分ラッキーだったんだろうな…。

 

前の週までは初日キャスト、この週からはWキャストのもう一組に変わったため、残念ながら三井エルファバは観られなかったのですが、Wキャストデビュー週に立ち会えて良かったです!

 

オズの魔法使い」の復習もせず、サントラもあえて聴かずに挑んだので、全体的に「あぁ、確かにこんな感じだったなぁ」という、思い出しつつの回となりました。

 

ブロードウェイで印象的だったのはもちろん1幕ラストの♪Defying Gravity♪。と、なぜかラストの【オズの魔法使いが実はエルファバの母親の不倫相手だった】ってことがわかるシーン。なんでこのシーンをやたら覚えてるのか、自分でも謎なのですが、英語オンリーでも内容がわかって「え!?そうなの!?」って衝撃を受けたからだと思います(多分)

 

 

それ以外にもヤギのディラモント先生が人間の言葉を話せなくなるシーンや、オズの魔法使いが操ってるデカい機械じかけの顔など、観ながら思い出す部分もたくさんありました。

 

10年前は私もぎりぎり現役の学生で、当時はグリンダとエルファバが自立した大人に見えたんですが、今回観たら全っっっっっ然そんなことなくて(そりゃ学生だからな…)、人として未熟なまま、それでもお互いに違う道を行くことを決断せざるを得なかった女の子たちなんだな…と思うと、記憶にあるよりもずっとしんどい物語なんだと気づきました。

 

 

2階席4列目の最下手席でしたが、物語がわからなくなるような見切れは特にありませんでした。2幕の中盤だったか、多分見切れてる場所にエルファバがいるっぽい…?みたいなシーンが1か所あったくらいでした。


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初見なので主演おふたりの感想のみの記録にしておきますが、どうしても1つだけ書いておきたくて。

 

フィエロはあれでいいの…?

 

どうやら入団して日がそこまで経ってない役者さんらしいのですが(いやでも小林エルファバも入団4年目らしいですよ…?)、1人だけもぞもぞとセリフを話してるし、歌もそんなに声量&技量があるわけでもなく、そのわりにおしゃれっぽく聴こえる歌い方をあえてしていました。

 

なにより「君、最初からかかしなの?」ってくらい感情が死んでるように見えたのは私だけでしょうか(あ、感情が死んでるのはブリキだったか)

 

四季の作品を観ていて「この人ちょっと……」って思うこと、本当に本当にごくたまにしかないのですが、久々に(個人的には)ちょっと…………………でした。

(結局は個人の好みによりけりなので、彼の演じ方が好み!という方もいらっしゃるとは思います)

 

というわけでキャスト別感想です。

 

【グリンダ:中山理沙さん】

・この時点では、開幕キャストを自分の目で観てないので何とも言えないんですが、真瀬グリンダはわりと大人っぽく、三井エルファバが意外とかわいらしい印象だったという感想をSNSの感想でよく拾っていて、それだと既存の「ウィキッド」のイメージとは結構異なるのでは…?と思ってました。

 

今回の中山グリンダと小林エルファバは、恐らく正統派(?)な「ウィキッド」のイメージ。中山グリンダはかわいいんですが、とにかくうざったくて、でもかわいいしたまにいいこと言うし、結論いい子!という、あのバランスのとり方が絶妙でした。

 

・四季役者さんにしては珍しく(?)かなりのアニメ声でデフォルメして演じてましたが、その声でも全く違和感なく、聞き取りづらいということもなく、むしろ2幕になるときちんと学生時代とは少し違うトーンで話してるので、1幕との差があってわかりやすかったです。

 

・歌はかなり高い音域までばっちり出るんですが、音響のせいかところどころ声量が落ちる?ように聴こえる部分もあって、それはこれから回を重ねて…なのかなと。

 

・♪Popular♪前に、エルファバが自身の秘密を打ち明けるシーン。中山グリンダがきょとんとした顔で「でも、それはオシロイバナのせいで、あなたのせいじゃないでしょう?」って、別に慰めるようなトーンでもなく、本当に不思議そうに言うのがすごく温かく感じて泣きそうになりました。

 

その後♪Popular♪を歌いながら\ゴージャスドレスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ/ってものすんごい顔でエルファバのドレスに魔法をかけようとする中山グリンダを見て、なぜか泣けてしかたなかったです。すごくいいシーンだったな…。

 

【エルファバ:小林美沙希さん】

とんでもねぇ逸材あらわる(真顔)

 

・正直、推しの三井エルファバ観たいな……と思ってたんですが、観劇後の率直な感想は「小林エルファバのデビュー週を観られて良かった」でした。デビュー週のはずなのに、1人だけやたらクオリティが高く、彼女が歌うたびその迫力にのけぞっておりました。

 

・候補キャストが出たときに「え、四季にこんな黒髪ミステリアス美女いたっけ?」と思ってしまうくらい、失礼ながら本当に1人だけ全く存じ上げなかった役者さん。調べたところ、2019年入団、2021年秋劇場の「オペラ座の怪人」アンサンブルキャストで初舞台、「ウィキッド」が2作品目にして初プリンシパルとのこと。嘘でしょ10年前からエルファバやってますみたいなオーラ出てたじゃん(真顔)

 

しかも何がすごいって、噂ではご本人はエルファバ役を目指してきたらしいのですが、このタイミングでの再演が決まり、オーディションで(恐らく並み居る強豪ライバルたちを差し置いて)その座を勝ち取るって…。とんでもない運と実力を兼ね備えた役者さんじゃないですか…!?

 

・何というか、まんまエルファバでした(語彙力の死)メガネかけておさげ髪にしてるときの垢ぬけなさと、メガネを外して髪をおろした時の美しさ。

 

歌声は、ときどき濱田めぐみさんに聞き間違えるくらい声質が似ていて、でも彼女自身が思い描いてきたであろうエルファバ像もところどころで顔を覗かせていて、役者とキャラクターの親和性がめちゃくちゃ高かったです。ものすごく研究されたんだろうなと、ただただ圧倒されました。

 

カーテンコールでは思いっきりにこーーっとした笑顔が見られて、夢をかなえた人のオーラがばしばし出てました。素敵すぎたなぁ…!

 

・作品最大の見せ場である♪Defying Gravity♪、とてもじゃないけどデビュー週とは思えない仕上がりでした。小林エルファバの\やれ~~る~~わぁぁぁ~~~~~♪/で、私の口も「わ」の形のまんまぽかんと開いてしまった…。幕間は客席がめちゃくちゃどよめいてましたが、そりゃそうだよ…あんなにド迫力の歌が聴けるとは思ってもみなかったもん…。

 

・エルファバの歌唱曲は基本的に難しそうなんですが(歌については素人なので聞いた印象だけで書いてます←)、ただうまく歌うだけでなく、すでに部分的にセリフっぽく歌ってみたりという挑戦もされていて、やっぱりデビュー週じゃなさそうなんだよなぁ(デビュー週です)

 

・お芝居も十分【エルファバ】でしたが、きっと実際に舞台で演じてみて、彼女の中に「もっとこう演じてみよう」という気持ちも生まれてるはず。今後がめちゃくちゃ楽しみな小林エルファバでした!