※物語のネタバレ全開ですので、未見の方でこれから観劇予定の方はUターン推奨です。
木村達成さんin「スリル・ミー」を観ました~!
2年前の初「スリル・ミー」のとき、色んな役者さんで観たいな…とは思ってはいたものの、実は達成さんはあまり念頭にありませんでした。
発表されたときは「あ、そうかそのキャスティングがあったか…!」とは思ったものの、背が高くてすらっとしているので、どちらかというと「彼」では…?と。さらに「彼」の前田公輝さんが、達成さんと同じくらいの身長ということで、「私」と「彼」が同じくらいの背丈ペアだったようです。私が過去に観たペアが松岡・山﨑ペア、成河・福士ペア、尾上・廣瀬ペアだったので、身長差がない「私」と「彼」は初でした。
開幕前に木村・前田ペアでインタビューを受けてる記事を読んだんですが、そのときはメイクのせいなのか、はたまた服装のせいなのか「双子?」ってくらいそっくりに見えたんですよね。その印象が強烈だったので、2人で1つな「私」と「彼」になるのかな、というのが観る前の印象でした。
座席はセンターブロックほぼ真ん中の3列目。シアターウエストは6列目くらいまでは段差が全くありませんでした。そのため、役者さんが寝転がったり立ち膝ついたお芝居を、舞台の上手側と下手側でやられると、役者さんの頭に斜め前の席の人の頭がどんかぶりしてました。
個人的にはそこまで気にはならなかったですが、強いていうなら、後半の「彼」→「私」のキスシーンは一切顔が見えなかったのと、「彼」が獄中で「死にたくない」と歌ってるときの「私」の顔が一切見えなかったのはちょっと残念でした。
実際に観てみると、2021年に観た2つのペアどちらにもあったような、序盤~中盤までの「私」<「彼」の力関係はあまり感じず、契約書を結ばなくてもわりと対等に付き合っている関係に見えました。
木村私が結構ぐいぐい強めなのもありますが、前田彼も、周りのどうでもいい友人たちとは違って、木村私を特別視しているようにも感じられました。ちゃんと相思相愛ペアなのでは…?(少なくとも尾上私と廣瀬彼にはない関係性だったような…)
事前に感じていた「双子っぽさ」は、ビジュアルはあんまり感じられなかったんですが、2人が起こした事件が徐々に警察によって明らかになっていく中盤のシーンで、それぞれが持ってる新聞を投げ捨てる動作の姿勢が全く同じだったので、(笑うシーンじゃないのに)その勢いとシンクロっぷりにちょっと笑っちゃいました。笑
【私:木村達成さん】
・こういう作品や役柄との親和性が高いのは観る前からわかってましたが、本当にすごかった…。やっぱりこの人の芝居が好きだと、何度目かわからないけど改めて感じました。
もうどこがどう好きとかじゃなくて、2019年の「ロミオ&ジュリエット」で観たときの、あの「言葉じゃ説明できないけど、この人の芝居は私に刺さる」感覚がずっとあります。
・全体的な感想:こんな怖い「私」初めて見た。2021年公演と併せて3ペアしか見てないので、過去にそういう「私」もいたの思いますが、最初からかわいさより人としての突き抜けた怖さが勝ってる「私」に感じました。
・冒頭、客席通路をゆっくり歩いて舞台に上がり、客席に背を向けたまま「座って構いませんか?」と猫背で問いかける木村私。尋問の途中、ゆーっくり顔を上げたときの、それまで陰になってた顔がどんどんオレンジ色の照明に染まっていくさまに鳥肌が立ちました。
・一つ一つのアクションが比較的オーバーで、感情のスイッチの切り替わり方が鮮やかでした。契約書に血でサインしろと言われて、前田彼に腕を無理やり掴まれたときの「ぎゃあっ!」という大げさな悲鳴は、ともすればちょっとコミカルにも見えたり。
・とにかく「彼」からの(肉体的な)愛を受けたときの、でろんでろんな表情のインパクトがすごかった…。よろしくないク◎リでぶっ飛んでる人って多分あーいう表情になりますよね…。
木村私にとって「彼」は愛情を向ける存在であると同時に、中毒性のあるやめられない何か、だったのかもしれません。「彼」に凶器を用意した後に歌う歌の歌詞が、まるで「あのとき止めていれば」みたいな後悔の念を歌ってることに、今回初めて気づきました。
あのときなぜやめられなかったのかが、現在(年老いた「私」)にはあまりわからない…というか忘れちゃったんだろうなと。そのわりに最後「あなたは「彼」について、今ではどう思ってますか」と聞かれて、逡巡した後にぼろぼろ泣きながら「もう二度と話したくない」というくらいなので、愛情は間違いなくあったんだろうとは思います。愛し方を間違ってたことは、年老いてからちゃんと自覚してそうでした。
・年老いた「私」と19歳の「私」のシームレスすぎる遷移よ…!松岡私もうまかったけど達成さんもすごかったです(語彙皆無)
・どこのシーンか忘れましたが、「彼」が言う「完璧だ」と、「私」が言う「完璧だ」、意味のベクトルが全然違うのを表情と言い方だけで伝えられるの強すぎません…?
木村私は、客席だけに見えるように、「私」が「彼」を獲物として見てることを本当にちょっとした表情で伝えてるように感じました。
例えば「メガネがない…」って言ったあとに、あからさまにニヤッとするわけじゃないんだけど、本当にうっすら含み笑いをするので、この作品のオチを知ってると、あの時点で「私」の計画通りなことがしっかりわかる流れになってました。
・警察にメガネのことで事情聴取されてるとき、おどおどしながらいかにも「私、何も知りません」みたいな顔と、尋問してる警官(?)をちょっと見上げて、愛想笑いのつもりでニタッて一瞬笑うのがあまりにもリアル。先生に怒られてる小学生じゃないんだから…。
・振り切れた芝居の時の達成さんの顔が死ぬほど怖くなることを忘れていた私「達成さんの顔が…顔が…………」
(そっと目をそらす)
(三白眼が怖すぎました)
・最後に自由になった時の、拘束された両手をゆっくり外していく動作がとても美しかったです。組んだ自分の両手をゆっくり離していく動作なのに、まるで「彼」との決別に見えました。
・カーテンコールはなかなか役から抜けられなかったようで、拍手を浴びてもずっと表情がないままお辞儀をされてちょっと心配だったんですが、カーテンコール6回目くらいでようやくふわっと笑顔になってくれて一安心でした。なぜかその後、はける方向を間違えそうになってましたが。笑
【彼:前田公輝さん】
・1個目の感想がこんなので本当に申し訳無いんですが、前田彼のキス1回目の色気ダダ漏れすぎてひええええええ(悲鳴)
キスしかけて、木村私のふわふわした顔を見て嘲るように笑ってから勢いよくガバっとキスしてたんですけど…そのフェイントいっつもやってるんですか…え、ヤバ…(真顔)
・そいえば達成さんも前田さんも、「ロミオ&ジュリエット」のベンヴォーリオ役だったことに、終演後かなり経ってから気づきました。そりゃなんとなく似てるわけだわ(?)
・前田ベンヴォーリオは当時劇場で観ましたが、確かあの時が初ミュージカルだったような?2作目が「スリル・ミー」ってあまりにも大抜擢すぎる…!
・なので…とは言いたくないんですが、たまーに「歌うことを失敗しないように」という部分に意識がいってるような感じは正直あったような気がしました。一方で話すように歌う部分もあって、そこはすごく良いなと思えたので、まだまだ伸びしろがありそうです。
願わくばこのペア、もう1回観たかったです。達成さんのことなので(?)次はもう出ないんだろうな〜〜〜。
↑東京芸術劇場内にあるカフェにて、「スリル・ミー」コラボドリンクがあったので、達成さんがプロデュース(?)したノンアルコールカクテルを飲みました。甘酸っぱくて美味しかったー!