上演決定からおよそ2年、なかなか続報が発表されずやきもきして、ようやくキャストが発表されたのは2023年1月末だった「ムーラン・ルージュ!」日本初演。この年一番楽しみにしてた作品をついに観ました…!
チケット代の高さにおののき、当初はWキャストが全員観られるスケジュールで2回のみの観劇予定でしたが、宣伝動画などを見た結果、気づけば4回に増えていました(真顔)
ちなみにこの回のチケットは、ブロードウェイ版のサントラを事前に聴いて、「平原サティーンと甲斐クリスチャンが個人的に最適解なのでは?」と直感が働いて取った回でした。
劇場に足を踏み入れた瞬間から別世界に飛ばされたかのような、すべてが豪華絢爛でお祭り騒ぎのような作品でした。
コロナ禍後、最も豪華なミュージカルでしたし、そうでなくてもここまで力が入った作品ってなかなかお目にかかれないと思います。「チケット代が高い」と騒いでいたミュージカルファン界隈も、観劇後はほとんどの人が「これはチケット代以上」「チケット追加した」などなど、その価格を払ってでももう一度観たいという人であふれている印象でした。
正直お話自体にそこまで深みはないので、ストーリー重視の人との相性はあまり良くなさそう…。芝居というよりはショーの印象が強かったです。まだプレビュー公演だったので、8月後半の公演になるとさらにブラッシュアップされて芝居の要素も強くなるかもしれない…とは思いました。歌とダンス、衣装、舞台セットがとにかくゴージャスでわくわくできるので、個人的には非常に好みの作品でした。
懸念していた「洋楽の日本語歌詞」は、意外とそこまで気にはなりませんでした。「字余りで歌いにくそう」「聴き取れない」「英語そのまんまかーい!」はちょいちょいあったものの、わりと良い訳詞だったと思います。
それぞれの楽曲を別々のアーティストが訳したようですが、そもそも元の楽曲も全員違うアーティストが作って歌ってますし、全体を統括する日本語歌詞の監修はついてるみたいだったので、作品のカラーにしっかり合った作りになってると感じました。
秀逸だったのが照明!かつてあんなにも、照明が「出演者の一人」並みに仕事をする作品があっただろうか(反語)とにかく照明がものすんごくかっこよかったです!
今回2階席だったため、照明の素晴らしさをより堪能できました。特に2幕冒頭の♪Backstage Romance♪で、アンサンブルさんたちの一群が舞台背後に影となって映ってたのが、背中がぞくっとするほど素敵でした。あとデュークの登場シーン、照明も何もかもすべてがかっこよすぎて反則です…!
メインキャストの2名のみ、感想メモを残しておきます。
・キャストが発表された時点では、まだ映画版しか観たことがなかった&映画版サティーンのニコール・キッドマンの印象が非常に強かったので「望海さんの方がイメージに合ってるかなぁ」と、失礼ながら思ってました。
が、2月のThe Musical Dayにて、平原さんによる♪Lady Marmalade♪を聴いたのと、ブロードウェイ版サントラを聴いた瞬間から、「ミュージカル版サティーンは平原さんのイメージだな!?」と思い、慌ててプレビュー公演のチケットを確保しました。
以前「メリー・ポピンズ」で一度だけ拝見したことがあり、歌手のイメージが強かったのですが女優としてのポテンシャルもものすごく高い方だなと感じたので、今回も楽しみにしてました。
・強い…!とにかく歌が強すぎる…!
プレビュー公演だからか、まだ探ってる部分もありそうで、歌で本領を発揮してしまうとデュエットでは甲斐クリスチャンの声をかき消しそうになってしまいそうだったので、やや手加減してる?な部分もありました。ただ本当に、歌に関してはプレビュー公演で「完成系ですか?」という印象。もともと「歌手」である彼女の強みが最大限に生かせる役なんだと思います。
そして歌が達者すぎるあまり、映画版では感じなかった「サティーン、身体を売らずとも歌手としてやっていけるのでは?」という新たなツッコミポイントも生まれてしまってたけど(汗)
・お芝居は、どちらかというと1幕の方が印象的でした。歌ってるときの声はドスがきいててかっこいいんですが、セリフの声は少し高め&甘い感じで発声されてたので、セクシーさもありながらかわいさも感じられました。
サティーンのキャラクター属性もあるからかもしれませんが、甲斐クリスチャンとの実年齢差もあるので、雲の上のお姉さまっぽさもばっちり感じられました。
・♪So Exciting!♪のシーンの平原サティーンが本当にかわいくて!わちゃわちゃしながらコミカルな雰囲気を楽しんでてほっこりしました。
【クリスチャン:甲斐翔真さん】
・ミュージカルデビュー4年目にして、帝劇メインキャスト&井上芳雄さんとWキャストという、もはや向かうところ敵なし状態の甲斐さん。
キャスト発表から開幕前までの彼のSNSを見てると、クリスチャン役にものすごい熱量をかけてそうだったので、とてつもないハマり役になりそうな予感はありましたが、案の定めちゃくちゃハマってました。セリフもなく登場する、あの立ち姿を観ただけで「甲斐さんだ…」じゃなくて「クリスチャンだ…」ってなったもん(早)
・ミュージカル版のクリスチャンは、映画版以上に(表現は悪いけど)メ◯ヘラくんな印象なんですが、そこのネガティブ要素をあまり感じさせることなく、ただ純粋にサティーンを愛するがゆえに生まれる憎悪や嫉妬心の表現がうまかったです。
1幕のふわふわ夢見がちな青年から、2幕中盤以降、白いキャンバスに一気に黒い絵の具をぶちまけたような、あの感情の落差のお芝居が素晴らしかったなぁ。
・楽しみにしていた♪El Tango de Roxanne♪は、ブロードウェイ版よりもキーが低かったのがちょっと残念…。もしかしてあのキーで歌ってるのって、全世界でアーロン・トヴェイトだけなのかしら…。