Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2023.6.18 舞台「新ハムレット〜太宰治、シェイクスピアを乗っ取る!?」マチネ公演:めんどうな男・ハムレット


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木村達成さんがハムレットを演じるという点で興味を持って観た「新ハムレット」。

 

ただし一般的な(シェイクスピアの)「ハムレット」ではなく、太宰治によって改編された「新ハムレット」。

 

シェイクスピアの「ハムレット」は、学生時代に授業で習っており、おぼろげながら覚えてたので、なんとなく「あ、ここちょっと違うなぁ」と思いながら、特に1幕は笑いどころも多くて面白く観てました。

 

が、結末だけ元から結構変えてしまっていて、しかも若干尻切れトンボ感のある終わり方だったので、最後の最後で「?」ってなってしまったのが、個人的にちょっと残念でした。

 

観劇後はシェイクスピアの「ハムレット」を読み直すのではなく、太宰治の「新ハムレット」原作を読みたくなりました。

 

オフィーリアが妊娠してたり、ハムレットとクローディアスとオフィーリアは生き残って、ガートルードがオフィーリアみたいに川に身を投げて死ぬのが大きな違いかな…?ハムレットの前にお父さんの亡霊が出てこないのも違うか…(お父さんの亡霊、そもそも出てこなかったな…)

 

太宰治の作品は数えるくらいしか読んでいませんが、「なるほど、ハムレットって太宰治が描くキャラっぽいんだなぁ。というか太宰治本人っぽいなぁ」と、意外な共通点を見つけたことが今回の発見でした。まぁ太宰治作品は「人間失格」「走れメロス」「駆込み訴え」くらいしか読んでないですけど…。

 

「新ハムレット」でのハムレットは、愛されたい褒めてほしいと全身で叫んでいるのに、いざ他人の愛情のベクトルが自分に向きそうになると、あえて反発したり思ってもないようなことを言ったり、端的に言うと「めんどくさい人」でした。

 

でもどこか放っておけない雰囲気を醸し出していて、周りはついつい構ってしまうし、それがまた本人には疎ましく感じられるという、負のスパイラルが面白くも哀しくもありました。

 

木村達成さん、2022年後半から2023年前半にかけて、「血の婚礼」「管理人」「マチルダ」そして「新ハムレット」と、なんかずっと不機嫌キャラを演じているような…?

 

喜んだかと思ったら怒ったり悲しんだり、誰もついていけない速さでころころ変わる感情の表現が細やかで、観てて楽しかったです。達成さんが演じることで、より「めんどくさい人だけどなんかかわいくて構ってしまう」キャラになってたと思います。

 

格好がピンクのスウェット上下に、もふもふピンクファーのスリッパ。完全に「コンビニ前でタバコ吸いながらたむろするギャル」の格好でした。ハムレット家のシンボルカラーが「赤」だったので、そこに染まりきれないという意味での「ピンク」だったのかな…?髪はアッシュグレーのメッシュが入った、少し長めの髪型でとっても素敵でした!