Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2023.5.30 劇団四季「ノートルダムの鐘」ソワレ公演:飯田カジモドの凱旋公演


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この期間の公演は、カジモド役は寺元さん&山下さん、たまに金本さんが入るんだろうなぁと勝手に思っていたところ、まさかの飯田達郎さん登場!ちょっとびっくりでした。

 

しかもこの回が、飯田カジモド秋劇場凱旋(?)公演初日。旧秋劇場の初演で飯田カジモドを観ていたので、凱旋初日を観るのは感慨深かったです。

 

これまでで1番多く観ている飯田カジモド&野中フロローペアだったこともあり、これまで観てきた鐘のシーンがオーバーラップする感じがありました。演出はところどころ変わってても、物語が変わったわけではないですし、いい意味であまり大幅に演じ方を変えてない飯田カジモドと、初演からはガラッと変わっている野中フロローの役者としての対比も、とても面白かったです。

 

各キャストの感想簡単メモ。

 

【カジモド:飯田達郎さん】

「ん?さらにあざとくなってる?」とちょっと思ったものの、基本的な演じ方はあまり変わってなくて、幼さとあざとさを全面に出したカジモドでした。

 

あざとさは個人的にちょっと苦手なんですが、飯田カジモドのすごいところは仕草がとにかく細かいこと。難聴であることや自分が発する言葉が相手には聞きづらいであろうことを把握してるからか、身振り手振りで相手に自分のことを伝えようとする習慣が自然と身についた、というのがひと目でわかります。

 

手話というほど完璧に確立された「言葉」ではないんですが、だからこそこちらにもきちんと伝わる気がします。

(手話だと「手話がわかる人」にしか伝わらないので)

 

しかもそういった仕草を取り入れるのであれば、「このセリフでこういう仕草を」という、ある種打算的な部分が見えても多少仕方ないと思うんですが、飯田カジモドはそういう部分が微塵も見えないのがまた素晴らしくて。舞台に立っている1分1秒、カジモドであればどう動くかを常に考えてるんだな、ということだけが伝わってきます。

 

ただでさえフロローを突き落とすシーンの飯田カジは怖かったのに、新演出になったらさらに怖くなるんだろうと思ってましたが、その部分はあまり変わってませんでした。それよりもその直前、這って逃げようとするフロローの髪の毛をむんずとつかんで引きずるようにしてたことに衝撃を受けました。寺元カジモドは首根っこをつかんでたような気がしたんですけどね…。

 

歌は本当に素晴らしかった…!高音域がやや出にくそうに聴こえたものの、♪陽ざしの中へ♪の、しゃがれ声から美声にシームレスに持っていく、あの鮮やかさにはただただ感心するしかなかったです。

 

【フロロー:野中万寿夫さん】

残念ながらとてつもなく調子が悪そうで、翌日の公演からは道口フロローに交代してました。1幕は歌唱で高音域が歌いにくそうかな?くらいだったのが、2幕ラストはもはやセリフも怪しいくらいに…。

 

ただしそれを補ってあまりあるセリフ回しの良さが発揮されていました。特に対・エスメラルダのシーンに野中フロローの良さが表れていて、鉄仮面のような表情の下で揺れ動くフロローの気持ちが、ものすごく細かくセリフに乗っかってたと思います。

 

エスメラルダ:松山育恵さん】

いやもうホント大好きです…!

 

表情が少し乏しく感じる部分もあるんですが、表現の仕方が他役者さんのエスメラルダと違うなと感じる部分があって、観ていて面白いです。

 

今回気づいたのは♪いつか♪でのエスメラルダの感情の動き。他役者さんのエスメラルダは強がりながら歌い始めて、途中で泣き崩れてフィーバスに支えられながら最後まで歌うんですが、松山エスメは♪いつか♪前から泣いていて、途中で泣き崩れはするものの、フィーバスに支えられることで逆に「いつもの自分」に戻れている印象でした。

 

力強く歌う松山エスメからは、こんな目にあってもなお希望を失わないエスメの強さを表現してるようで、とても素敵だなと思いました。

 

あと♪いつか♪前の、エスメの「こんなことが全部終わって〜」みたいなセリフで、今回すごい泣いてしまいました。なぜ(真顔)

 

松山エスメは「高校のクラスにいる、見た目派手で一軍女子グループに属してるけど、間違ったことには間違ってるって言える子」みたいな印象だなと、今回見て思いました。例えば自分が属してるグループの子が、陰キャをいじってたり悪口を言ってたら、「それは違うっしょ」って止めてくれそう(どんな印象?????)

 

【フィーバス:加藤迪さん】

加藤さんは「オペラ座の怪人」のラウルの時もそうでしたが、観てて安心感しかないです。だからなのか、実はインパクトもあまりなくて…。どんな役でもそつなくこなしてしまうがゆえに、何の役でも優等生すぎて私の中ではあまり印象には残らないんですよね…(これ実は光田さんも私の中ではそうなんですよね…)どこかひとクセある役柄でぜひ観てみたいです。

 

【クロパン:吉賀陶馬ワイスさん】

今回も安定の歌とお芝居でした。が、さすがにあっちこっち忙しそうなので心配…。