Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」(2022年):スピルバーグ監督の「愛」

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」

 

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、デビィット・アルヴァレス、ジョシュ・アンドレ・リベラ、コリー・ストール、リタ・モレノ、マイク・フェスト、他

 

<あらすじ>

ニューヨークのウエスト・サイドには、夢や自由を求めて世界中から多くの人々が集まっていた。しかし、差別や偏見による社会への不満を 抱えた若者たちは、やがて仲間と集団を作り激しく敵対し合っていく。ある日、“ジェッツ”と呼ばれるチームの元リーダーのトニーは、対立 する“シャークス”のリーダーの妹マリアと出会い、瞬く間に恋に落ちる。この禁断の愛は、多くの人々の運命を変える悲劇の始まりだった...。 

https://filmarks.com/movies/81473

 

<感想>

事前に1961年のオリジナル(?)版を鑑賞。さすがに古さを感じつつも、楽曲の素晴らしさが印象深い作品でした。

 

そんな往年の名作を、巨匠・スピルバーグ監督がリメイクした今回の映画。細かい設定はところどころ変わっていましたが、予想よりもはるかにオリジナルに沿っていて、一応新作のはずなんですが、懐かしさを感じさせる作りになっていました。スピルバーグ監督からオリジナル版への尊敬の念と愛を、スクリーン越しにびしびし感じました。

 

一方で1961年版を見ていて、あまり納得のいかなかったシーンや流れがわかりやすい描写になっていた印象もあり、そういった意味では「新しさ」を感じました。


例えば♪America♪の歌唱シーン。

1961年版は、夜に屋上で歌っていたと思いますが、今回は真っ昼間の街の中でいろんな人たちを巻き込んでのミュージカルシーンになっており、見応えたっぷりでした。このシーンに限って言えば、完全にスピルバーグ監督版に軍配(そもそも1961版はなんで夜のシーンにしてたんだろう…)


また設定がきちんと追加されて良かったのは、マリアの許嫁であるチノのキャラクター。1961年版では単に「物語を進める役割・コマ」でしたが、今回は人物描写が丁寧にされていて、終盤に大きな悲劇を起こしてしまう彼の行動にも納得できました。トニーへの嫉妬だけでなく、ベルナルドの死への報復という意味がより強まった印象でした。


1961年版でも今回の映画でも変わらなかったのは、トニー&マリアよりもベルナルド&アニータが素敵だな…と思ってしまうところ。

 

個人的に、ベルナルドは1961年版のジョージ・チャキリスが好みでしたが、今回のアニータ役のアリアナ・デボーズは、歌もダンスもずば抜けて素晴らしかったです。


一方、キャスト陣の中ではやや残念な部分も。

 

今作でトニーを演じたアンセル・エルゴートは、「ベイビードライバー」などで素敵なお芝居をされていて、良い役者さんではありますが、とある疑惑を暴露されており、本人からそのことについて言及がないまま本作が公開された…という経緯がありました。女性絡みのスキャンダルだったため、見ているとそのことがどうしても頭をよぎってしまい、残念な気持ちになったのが正直なところです。

 

そこを除けば、作品全体として100%楽しめました!いつか舞台でも観てみたいな…。(2020年春にステージアラウンド東京で上演される予定だったのに、全公演中止になってしまったので…)