Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

映画「スパイダーマン」シリーズ見比べ評

今年のお正月は、新年早々全身赤タイツの青年を延々見続けておりました。合計するとざっと18時間くらいでしょうか。

 

というのも全身赤タイツの青年、もといスパイダーマンの新作映画に向けた準備のため、過去作を見返していたのです。

 

www.spiderman-movie.jp

 

この新作映画では「マルチバース」という設定が使われることになり、いわゆる「パラレルワールド」的な展開が可能になりました。

 

おかげで(?)過去作に出てきていた悪役が続々登場するということで、記憶がおぼろげになっていたサム・ライミ監督版とマーク・ウェブ監督版、そして「アベンジャーズ」に仲間入りしているジョン・ワッツ監督版を再鑑賞しました。

 

連続で見たからか、同じ「スパイダーマン」なのに結構異なる印象を受けたのが興味深かったので、自分用の備忘録としてメモを残しておこうと思います。

 

!!以下、個人的見解や感想です!!

(アメコミには全く詳しくないのでいろいろ間違ってるかも)

 

サム・ライミ監督版「スパイダーマン」シリーズ(2002年~2007年)

・私の中で「スパイダーマン」と言えばこちら。まごうことなき元祖スパイダーマン。とはいえ、1作目は面白かったけど、当時続きを見たいとは思えず、2・3作目は今回の「おさらいマラソン」中に初めて見ました。ちなみに私の家族は続編もしっかりチェックするくらい、サム・ライミ監督版がお気に入り。

 

サム・ライミ監督は元々ホラー映画で名を挙げた人らしく(*)、そのせいかシリーズを通して比較的ホラーっぽい演出が多い気がします。

サム・ライミ監督の他作品を見たことがないので何とも言えませんが、「死霊のはらわた」はタイトルを聞いたことあります。

 

・主人公・スパイダーマン(ピーター・パーカー)を演じたのは、トビー・マグワイヤ。「頭はいいけど根暗で人と打ち解けるのが苦手、やさしいけれどどこか野暮ったい」というピーターの人物像に一番ぴったりなのではと、改めて見返しても感じました。トビーをスパイダーマンにと推薦した人天才。

 

・3作すべてを振り返ると、一番印象的シーンがあるのは「2」。スパイダーマンが工事中で先のない線路から落ちそうになる電車を止めるシーンです。

 

命がけで乗客を守ろうとするスパイダーマンが、なんとか電車を食い止めた後に意識を失い、さらに顔をおおうマスクが取れてしまったため、素性がわかってしまうんです。

 

でも素顔のスパイダーマン、もといピーターを見た電車の乗客たちは、その後意識を取り戻した彼に対して、「このことは誰にも言わない」と約束し、さらには襲いかかってくる敵に向かって、「我々が彼を守る」とみんなで立ちはだかるんですよ…(涙)

 

思えばサム・ライミ監督版とマーク・ウェブ版には、「一般市民がスパイダーマンを助ける」描写がちょこちょこあったような気がします。マーク・ウェブ版の「1」で、工事のおっちゃんたちがクレーンを全稼働してくれるシーンも大好き。

 

・「3」にはまさかのヴェノム登場でびっくりしました。私はトム・ハーディが演じるエディ・ブロック(ヴェノム)しか知らなかったので、こちらの方が過去に制作されているけれどものすごく新鮮でした。ちゃんと「鐘の音が苦手」設定もあったんだなぁ…(当たり前)

 

・このシリーズ唯一にして最大の欠点(というと失礼ですがあえて)は、ヒロイン・MJのキャラクター描写。物語の流れ上、どうしても「ヒロインがさらわれる(しかも高所)→スパイダーマンが助けに行く」というエピソードが繰り返されるのですが、そのせいかMJはやたら叫んでばかり。何度もさらわれるので、危機管理能力ないんか!?と思ってしまいます(物語を進めるために仕方ないのはわかるけど!)

 

そしてさらにイラっとしたのが、MJの煮え切らない態度。ピーターに気があるように見せておいて他の男と婚約し、そのまま結婚するかと思いきや、結婚式当日に相手を式場に置いてけぼりにしてピーターの元に走るという、あまりにもぶっ飛んだヒロインでした。他にもこまごまと不満はあるけど、自重します←

 

・グリーンゴブリン(ウィレム・デフォー)は、私の中で映画史に残る素晴らしいヴィランです(断言)

 

② マーク・ウェブ監督版「スパイダーマン」(2012年~2014年)

・おそらく最も不遇なシリーズとして有名なマーク・ウェブ監督版。前シリーズからたった5年でリブートしたものの、興行収入がいまいち振るわなかったり、権利関係のごたごたがあったせい(だったと記憶してますが違ってたらすみません)で、わずか2作品、物語としても非常に微妙なところで終わってしまったシリーズでした。

 

・主演はアンドリュー・ガーフィールド。比較的がっしりとした体形のトビーに比べると、背がひょろっとしてて確かに現代の青年という感じではありました。ただどう見ても「非モテ」には見えず、かなり洗練されたピーター・パーカーでした。確かキャラクター像も、サム・ライミ監督版ほど野暮ったい感じではなかったはず。オタクっぽくて周囲から浮くのではなく、あまりにも正義感が強すぎて浮くという印象でした。

 

・ヒロインはMJではなく、グウェン・ステイシーに変更。コミック版ではどうやらグウェンと恋に落ちる方が先(?)みたいな話を聞きました。演じていたのはエマ・ストーン。とにかくどのシーンでもかわいらしく、ヒロインとしての華々しさと、いざとなったら自分もピーターと戦おうとする強い姿勢が好きでした。敵にさらわれて絶叫することもほぼなかったし…(多分)

 

・一方でヴィランがあまり魅力的でなかったシリーズでもありました。特に1作目は本当に覚えてないくらいの印象の薄さ(トカゲ男…)2作目のエレクトロは、キャラクター描写が比較的しっかりされており、孤独な男が哀しみから悪に走るというような印象でした。グリーンゴブリンは、今シリーズではピーターの親友・ハリーが変身しますが、かなりいまいち。デイン・デハーンの病んでるお芝居は良かったんですけどね。

 

・それにしても終わり方の微妙な感じよ…。当時映画館まで友達と見に行きましたが、あまりの展開に終盤思わず顔を見合わせたくらいでした。しかしあのすっとんきょうな展開が、まさか新作であんなに泣けるきっかけになるシーンになるとは、当時は思ってもみなかったなぁ…(しんみり)

 

ジョン・ワッツ監督版スパイダーマン(2017年~2022年)

・こちらは監督というよりも、MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)のスパイダーマンである、という印象が強いです。「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」の予告編で出てきたときは、私含め世界中のOTAKUが発狂したとかしなかったとか。

 

・とにかくSONYとディズニーの間で、権利関係で揉めまくったらしく、マーク・ウェブ監督版と同じように危うく頓挫しかけたときもありました。が、なんとか3作目まで制作されたので、本当に良かったです。

 

・主人公を演じるのは、トム・ホランド(そういえば歴代3人のスパイダーマンで、アメリカ人だったのってトビーだけ?)トム・ホランドは青年、というよりは「少年」「男の子」という印象で、その印象そのままにかなり未熟なキャラクターとして作られていました。1作目なんてアイアンマンに怒られまくるし…。かっこいいというよりも愛嬌があってかわいらしいので、彼が苦しんだりするシーンは見ていて辛さが倍増しました(個人感)

 

・ヒロインは再びMJになったものの、サム・ライミ監督版のMJとはおよそ似ても似つかないほど変化しました。一匹狼でシニカルで個性的。頭の回転も速く、ピーターとの恋愛もそこまでベタッとした感じではなく、どこか爽やかでした。演じるゼンデイヤがとにかく良い…!クールなんだけど時折見せる表情がなんともかわいいんです。

 

・作品としてもシリーズ通してどれも面白く、特に最新作「スパイダーマン:ノーウェイホーム」は、よくぞこんな映画を作れたな!?と、ブルーレイを買ったら神棚に祀りたいレベルの作品でした。

 

が、このシリーズは「単体では楽しめない」のが唯一にして最大の欠点。このシリーズのスパイダーマンは、先ほど挙げた「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」や「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ/エンドゲーム」にも出演しており、それらの作品を楽しむためにはさらに他のヒーロー映画を見る必要があり…と、芋づる式になっているのです。

 

ちなみに最新作にはドクター・ストレンジが出てくるので、彼の単体映画も観賞必須になりますね…(大体どんなキャラクターか知ってるだけでもいいのかもしれないけど)

 

MCU作品は現在30個くらいはあるのでしょうか…。私も実はまだ「ブラック・ウィドウ」を見ておらず、ディズニープラスで配信されているMCUドラマは「ワンダヴィジョン」しか見ておりません。MCUはどんどん間口が狭まってきているのが、最近少し心配です…。

 

………と、なんだかんだ書いていたら3,000字オーバーになってしまった(驚)

 

これから先、またリブートされるのかもしれない「スパイダーマン」。いつの時代も愛され続けるヒーローなんだろうなと、今回の一気見で感じました。