Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.04.24 ミュージカル「モーツァルト!」ソワレ公演:東京公演My千秋楽

7回目の「モーツァルト!」。

そしてこの回が帝劇公演のMy千秋楽になりました。

 
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この数日前から状況を見ていて「あ、こりゃダメだな」と思っていると、案の定4月25日から都内で緊急事態宣言が発令されることに。今回は映画館や劇場にも制限が適用されることになったため、正直24日も上演できるの…?と不安に思っていましたが、周知期間が必要とのことで、「モーツァルト!」は27日の昼公演をもって帝劇千秋楽が決定しました。

 

正直「まだまだ観ていたい」という想いはありつつも、この状況下で7回も観られたことに、まずは感謝しなければという気持ちが真っ先にあり、この日が帝劇でこの作品を観られる最後となっても、自然と受け入れられました。

 

座席は1階席前方のど真ん中。帝劇0番が目線のまっすぐ目の前にある素敵すぎる席でした。前から7列目という絶妙な距離感も最高で、オペラグラス無しでも役者さんの表情がわかるし、オペラグラスを使ってピンポイントで見るにも、近すぎず遠すぎずの距離感。どのシーンでどの人を見ても一切死角がありませんでした。

 

また「モーツァルト!」という作品自体、「エリザベート」と同じくらい好きになりました。シシィもヴォルフも、心から自由を渇望したけれど、それを死ぬことでしか叶えられなかった悲しい人物。私やっぱり暗い演目が好きみたいです…。

 

どちらの作品も、楽曲が本当に最高ですし、特に♪影を逃れて♪は、現時点で全ミュージカル楽曲の中で私の中のベストです。本当に大好き。

 

ただ「エリザベート」ほど、「のめりこむ」感じはなかったかもしれません(月7回も観ておいて何を言ってるんだと思われそうですが)「エリザベート」は、本当に何もないところに落とし穴があって、そこに落ちていく感覚のハマり方だったので…(俗に言う「沼」というやつですね)

 

あとこの作品を観る前はずっと「海宝さんにヴォルフガング役やってほしいなぁ」と勝手に思っていましたが、実際に観てみて、ヴォルフは海宝さんには合わないかも…と思いました。もちろん楽曲は、技術的にものすんごく高いレベルで歌えると思いますし、1幕のはっちゃけたヴォルフのお芝居もすごく似合いそうです。

 

が、海宝ヴォルフは絶対に、アマデと一蓮托生で死ぬなんていう選択はしなさそうで、あの終わり方がしっくり来そうにないんですよね…。何回も脳内シミュレーションしてみたんですけど、「アマデとうまくやっていく術を見つけた海宝ヴォルフが、コンスタンツェと一緒に幸せに暮らしましたとさ」になってしまいます。笑

 

やはりどこか影をまとった役者さんに合う役なのかなぁ…と思ったところで、「いやでも初演ってアッキーさん(中川晃教さん)だったよな!?」と思い出してまた悩みはじめるという…wアッキーさんも結末同じだったんですよね…?(当たり前)

 

(ところで育三郎さんと古川さん、お2人ともここ最近は映像作品への出演が多く、年1回しかミュージカルに出ていないにもかかわらず、昨年は全公演中止、今年は公演途中で中止って……………。この1年、全公演全く何事もなく上演できてる作品もたくさんあるのに…………)

 

 

以下、感想メモ。

 

・冒頭、そして2幕冒頭、コンスタンツェは一体何にそんなに怯えてるんだろうと、そういえばずっと不思議でした。ヴォルフのインスピレーションになれず、彼を死なせてしまった後悔。再婚した今でも、ヴォルフをネタにしてお金を受け取っている後ろめたさ。そんな自分に対して、ヴォルフが恨みを抱いているのでは、という恐怖感なのでしょうか…。

 

・ヴォルフ(アマデ)の才能を褒め称える♪奇跡の子♪のサビ部分が、メロディーラインは同じまま歌詞を変え、♪モーツァルトモーツァルト!♪として2幕後半のヴォルフに呪いのように襲いかかるのが好きです。

 

・そういえば、アマデが持ってる「箱」は、男爵夫人にもレオポルトにも最初は見えてるんですよね…?生まれたときからアマデのもの、として、男爵夫人はレオポルトにも触らせないけど、いつからアマデも箱も、周りに見えなくなっちゃったんでしょうか。(あ、でも2幕の最後、ナンネールが箱開けるよな…!?あれはヴォルフもアマデもこの世にすでに存在しなくなったから、箱が可視化されたのか…)

 

・♪赤いコート♪の直前、ナンネールを脅かしてやろうと企む、古川ヴォルフのにっこり笑顔を真正面から観ました(拝)

 

・♪懐かしいコート 真っ赤な〜♪と、♪譜面に書いてないだけさ〜♪の伸ばすところの響きが好きすぎる!!!ちなみに後者は、♪さ〜♪で左足がひょこって持ち上がるのがかわいすぎます。

 

・めっちゃ嫌そうな「はいはい書きますぅ」。笑

 

・♪僕こそ音楽♪で、古川ヴォルフが鶴岡アマデとおでこをこつんとぶつけて、にっこりしながらぐりぐり~っとしたら、鶴岡アマデがつられてはにかんでたのがかわいすぎて、舞台に向かって拝みかけました…。

 

・♪私ほどお前を〜♪の終わりで、肩を組んではけていくヴォルフとレオポルト。市村レオポルトが謎のおちゃめジャンプをきめてて笑いましたw

 

・ナンネールは1番いろいろ考えたキャラクターでした。ヴォルフが弟でさえなければ、そして彼女自身が男であれば、きっと彼女は自分の才能を発揮できて幸せだったのに。神から与えられた才能は、時として周りの人間をも不幸にするのか…と。もしナンネールにヴォルフの才能(アマデ)が入ってたらどうなってたんでしょう。もっとうまく才能を使えてたのかな。

 

(ちなみにナンネールが希望していた結婚相手が貧乏だったため、レオポルトに結婚を反対され、代わりに子連れバツ2、でもお金はそこそこあるベルヒトルトさんと結婚したのは、本当にあった話だそう。ひぇぇぇ~~)

 

ウェーバー家、観劇7回目にして、長女がヨゼファ、次女がアロイズィア、三女がコンスタンツェで、四女がゾフィーだと知りました(パンフ読んでびっくりwてっきりコンスが末っ子かと)

 

・市村レオポルト、♪心を鉄に〜♪が毎回素晴らしかったです。あのお年であれだけ歌えるの、純粋にすごすぎる。

 

・♪残酷な人生♪の、♪幸せ求め♪で舞台の方を向き、♪あざむかれる♪で客席側に振り返り、♪答えてはくれない♪で天に向かって人差し指をつきたてる、一連の動きが好きだったんですが、今回はやってませんでした…。

 

・遠山シカネーダー「ザルツブルクの善良で温和な市民のみなさん!」

古川ヴォルフ「お・ん・わ?」(キレ気味の顔で口パク)

私(wwwww)

 

・どんどんエスカレートしていく♪並の男じゃない♪に対し、どんどん省エネになっていった♪チョッピリオツム〜♪(*個人感)♪客電が落ちて~スポットライトきらめ~いて~♪で、階段の上で首くいっくいってする謎ダンス(??)が好きです。

 

・迷走する悲劇の王子ポーズ(レイザーラモンHG(古)みたいなポーズしてました。笑)

 

・♪星から降る金♪の大サビで、古川ヴォルフが両手を差し出す仕草が復活してました(涙)あのシーンの舞台写真めっちゃ欲しい…。

 

・何回か観て思いましたが、結局ヴォルフ自身が「星」で、ヴォルフが生み出した音楽たちが「金」だったのでは?と思うようになりました。だからヴォルフがどこを探しても「金を降らせる星」=幸せ(?)は見つからなかったわけで。

 

猊下登場場面のイントロが流れるだけでわくわくしてしまう人(全力で挙手)

 

・もはやアルコ伯爵とゼロ距離だった山口猊下猊下、ソーシャルディスタンスでございます←)

 

・♪並の男じゃない♪が本当にやばすぎて爆笑しました…w♪ぼ!く!は!♪でアルコ伯爵に向かって迫っていく動きが面白すぎた…w

 

・毎度おなじみプラター公園のアドリブ。今回は2回転して、コンスと剣で戦って刺されたあと、剣で刺されたままもう1回転決めてました。バリエーション豊富…。笑

 

・♪終わりのない音楽♪で、レオポルトは♪彼(ヴォルフ)を通し生きよう♪と歌いますが、それ!!!親として1番やっちゃダメなやつでは!!!!!!子供は親の所有物じゃないっすよ!!!!!!

 

・アルコ伯爵が持ってくる脳みそを見るたび、私の中で「あの脳みそ割ったら、中からメロンパン出てくるんかな…」ってなってしまいます(懐かしの「トリビアの泉」)

 

・古川ヴォルフの♪自由だーーーーーーーーーー♪だけでいいのでCDください(強欲)

 

・♪影を逃れて♪は、鶴岡アマデが本当に恐ろしいお芝居をしていて、ものすごく印象に残りました。インクが出なくなったとき、自分の才能にも天井があることを悟ってものすごく絶望した顔をする鶴岡アマデ。でもヴォルフの腕にペンを突き立てて、そこから溢れるように血が流れてくると、「まだまだ書ける…!」という恍惚とした表情になり、ギラギラとした瞳で満面の笑みを浮かべながら、完全に自分の世界にひたって作曲を続ける姿が空恐ろしかったです。

 

アマデにとって、ヴォルフの苦しみなんて知ったことではないんだなと、彼(彼女)の表情を見て感じました。照明の当て方のせいか、アマデがものすごく光り輝いて見えて、「影から自由になりたい」と歌うヴォルフが完全に「アマデの影」になっちゃってました。あのシーンのお芝居は、子役それぞれに任せてるのかな…自分で考えて演じてるなら、相当すごいと思います。

 

・♪愛していればわかり合える♪、古川ヴォルフと木下コンスのハーモニーがとっても美しいんですが、古川ヴォルフの歌唱時の発音でやや気になる箇所があり、最後まで引っかかりました…。

 

・♪プリンスは出ていった♪、和音ナンネールがぼろぼろ泣きながら歌ってて…あの勢いならヴォルフのこと刺し殺しかねないなと思ったり…(ドロドロ愛憎劇になってしまう)

 

 

・♪ダンスはやめられない♪、木下コンスはひたすら強気に歌ってるのに、瞳に悲しみや怖れが見えるのが非常に良かったです。

 

「インスピレーション与えなくては…」と歌うコンスタンツェですが、「インスピレーション」って与えるものではなく、受け取る方が何かの拍子にピンとこないと「与えられない」のでは…??コンスはヴォルフの役に少しでも立ちたいと思ったんだと思いますが、それが「義務」みたいになって苦しくなっていそうだなと思いました。

 

(しかもアマデがコンスを受け入れる気がさらさらなさそうなので、いくらコンスが頑張ったところで、永遠にインスピレーション与えられなそうなのがまた…)

 

・コロレド大司教は、誰よりもヴォルフの才能を正しく評価し理解している人物なのに、それを「自分自身のため」にひとりじめして使おうとするところがなぁ…。自分よりも人間性は「劣っている」ヴォルフに対し、彼の才能を前にするとただ屈することしかできない自分自身への怒りもあるんだと思いますが。

 

・1番好きだったセリフ:ご自分で用意なさってください(真顔)

 

・レオポルトの「お前の顔など死ぬまで見たくはない!!!」は、レオポルトがあまりにも不器用すぎる上に、ヴォルフに彼の真意が全く伝わっておらず、あそこまで言ってしまうとさすがにヴォルフがかわいそうになってきます。甘やかすことと愛情を与えることは違うのでは…。

 

・ただしその直後、涙ながらに♪私ほどお前を~♪を歌う市村レオポルトにグッときてしまうので、感情が忙しい!!!!!!!!!

 

・これ永遠に謎なんですけど、やっぱ古川さんって歌う時、左側をちらっと見るクセありますよね??なんかおるんか??????

 

・♪何故愛せないの♪は、今のところ韓国版のパク・ガンヒョンさんヴォルフが優勝です。言葉はわからないのに、あんなに切実な想いが伝わってくる歌があるのか…って思ったので。

 

・シーンのつながりでそうせざるを得ないのは重々承知なんですが、コンスと2人でベッドに倒れこんだと思ったら、暗転後に秒速でベットから抜け出してすん…って立たずんでるヴォルフ面白いなって毎回思ってました(ごめんなさい)

 

・仮面舞踏会の悪夢のシーンで、「幸せ」について歌われますが、ヴォルフにとって家族に縛られながら生きるのが幸せだったのか、ミュージカル通り(史実通り?)破天荒に生きて短い人生を生きるのが幸せだったのか、それはヴォルフ自身にしかわからないですよね…。

 

・古川ヴォルフは21日ソワレの方が(良い意味で)2幕後半荒れてましたが、この日は♪急げ急げ次のオペラを~♪から、完全に目の焦点が合ってなかったり、しんどそうな顔をしたと思ったらいきなりふわぁっと微笑んでたりで、狂い方の表現がわかりやすくなってました。

 

・アマデはヴォルフの「イマジナリーフレンド」という解釈もできそうだなと思いました。本当は子供の頃のどこかの時点でお別れしなくてはいけなかったのに、ヴォルフが全くもって人間として大人になれなかったがために、結局人生を終えるまで傍らにいて、ヴォルフの人生を振り回すまでになったイマジナリーフレンド。

 

・今さらすぎて「そういえばそうだった…」ってなったんですが、山口さんと古川さんって、かつてのトート閣下とルドルフですね…当時見ておりませんがエモいな…。

 

 

・鶴岡アマデは、ヴォルフよりワンテンポ遅れて事切れるんですが、一瞬とんでもなく晴れ晴れとした笑顔になってて最後まで怖かったです。アマデはあの瞬間、自分自身の影から逃れることが出来て嬉しかったのか、はたまたヴォルフの心臓から噴き出たであろう血を見て、最後の最後で最高傑作を思いついた喜びだったのか、すごく興味深いお芝居だなと思いました。

 

・アマデの箱を開けるナンネール。最初は溢れ出る音楽に畏怖の表情を浮かべるんですが、いつまでも途切れることのないその音楽を聴いて、ほっとしたような、嬉しそうな表情を浮かべていました。自分の弟が「終わりのない音楽」を生み出していたことで、彼女のヴォルフへの負の感情がすーっと消えていったように見えました(そしてそこからの♪影を逃れて♪リプライズ~~!!!!!!!!)

 

・♪影を逃れて♪リプライズの大サビ部分は、今までヴォルフばっかり見てましたが、舞台上で歌ってるコンスタンツェやコロレド大司教、レオポルトやナンネールも、それまでは感情を無にして歌ってたのに、大サビからそれぞれが感情を出して歌ってることに気づいてうわああああってなりました。私の席から見ると、ちょうどヴォルフとコンスが前後に重なって見えてグッときました…。