Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.04.15 ミュージカル「モーツァルト!」ソワレ公演:泣いたりなんかしないわ 私流に弔うの

4回目の「モーツァルト!」観劇。

 

f:id:der_letzte_tanz:20210716002706j:image

 

アマデ役が、この回初見の鶴岡蘭楠ちゃんでした。

お名前、なんて読むか分からずググりましたが、「かなん」ちゃんだそうです。おしゃれ〜!

 

座席は1階席サブセンター上手側、ちょうど10列目でした。舞台から少し離れて見る古川ヴォルフ回は今回初めて。角度や距離が変わると、また全然違って見えたな〜。

(と言っても、個人的にはこれでも「近いな!?」でしたけど)

 

今回は、なぜかコンスタンツェからずっと目が離せなくて。ウェーバー家登場シーンからヴォルフと決別する最後のシーンまで、コンス登場シーン全てで注目して見てました。

 

コンスタンツェは歴史的には【悪妻】と名高いようで、確かに劇中でも、最後にお金をひったくるように持って帰る姿とかを見ると、さもありなん…ですが、今回見ていてコンスタンツェが心底かわいそうに感じました。

 

ヴォルフは突出した取り柄があることで(そのまま普通にいけば)輝かしい未来が待っていて、コンスはひとつの取り柄もないことで未来や希望が見えていませんでした。きっと彼女はあのままヴォルフと出会わなければ、なんとなく生きてなんとなく結婚して…と平凡な人生を送っていたと思います。

 

ところがそんな平凡なコンスの人生に、ヴォルフが颯爽と現れたことで、彼女はきっと初めて人生に夢や希望を持てたのでしょう。自分はありのままの彼を愛しているし、彼もありのままの自分を愛してくれる。そして自分もヴォルフの役に立てるはず、彼のインスピレーションになれるんだと信じてたと思います。

 

でも結局、ヴォルフは自分の才能(アマデ)には一途に向き合えるのに、コンスタンツェにはきちんと向き合ってくれなかった。「愛していればわかり合える」というのは、まだ子どもだった2人の、おままごとみたいな恋をしていた時代の話。

 

コンスタンツェはきっとすごく悲しかったと思うんです。自分の人生を照らしてくれた人が、自分の才能しか愛していないことに気づいたとき。でもそれこそが、実はコンスタンツェ自身が愛した「ありのままのヴォルフ」だってことに気づいたとき。

 

ヴォルフに「帰ってくれ」と言い渡された瞬間、何もかもに決着をつけたであろう木下コンスタンツェの表情が、この回はどこか晴れ晴れとして見えたのは、きっと長年あったもやもやが晴れたからじゃないかなと思いました。

 

以下、箇条書きレポです。例によってほぼ古川ヴォルフです。

 

・冒頭の墓場から、アマデがピアノ弾いてるセットに変わるシーンがすごく好きです。\ヴォルフガング!アマデウス!!モーツァルトっっっ!!!/

 

・♪どこに~いよう~とも~奇跡を~忘れ~な~い~♪と高らかに歌われたあとに、♪人は~忘れ~る〜♪って歌い始める男爵夫人、控えめに言って怖い…まぁ真理ではあるんですけど…。

 

・1幕の古川ヴォルフが信じられないくらいはっちゃけてたんですが、何があったんでしょうか(困惑)

 

・市村レオポルト「いいから早く!曲を書け!」

(古川ヴォルフのおでこ叩く)(結構デカめな\ぺちん!/が響き渡る)

古川ヴォルフ「はいいいいいっ!」

(叩いた手を痛そうにぶんぶん振りながらはける市村レオポルト

古川ヴォルフ「……痛いじゃないよっ痛いのはこっちっっ!!」

(おでこを抑えたまま)

突然のアドリブにびっくりしました。笑

 

・♪僕こそ音楽♪、メロディ無視ぎみの♪退屈~ぶっ飛ばぁっす!!♪がとても良きでした。

 

・ちなみに曲の途中でアマデとおでこをくっつけたり、ただ頭をぽんぽんと撫でるだけだったり、回ごとにちょこちょこ仕草を変えてました。この回は頭ぽん!でした。

 

・♪何処だ モーツァルト♪でヴォルフが歌うパート。私が好きな古川さんの歌声の響き方が多くて、勝手にテンション上がっておりました。

 

 

・♪私ほどお前を〜♪のラストで、ヴォルフがパパと肩を組んで退場しますが、この回はヴォルフがパパの方に思いっきり身体ごと寄せてて、「甘えん坊か!?」ってなりました。かわいい。

 

ウェーバー家の人たち、回を重ねるごとにガラが悪くなっていってるような…w(とはいえこの日はまだ開幕1週間も経ってないんですけど)特にゾフィーちゃんがひどかったですw

 

・ちょっと不思議だったんですけど、♪一家団らんはうらやましいな〜♪(by ヴォルフ)って、モーツァルト家は家族みんなでご飯食べなかったのでしょうか…?

 

・コンスタンツェがヴォルフにひとめぼれしてるっぽいことを、この回でやっと気づきました。アロイズィアが歌ってる間、1人だけずっとそっぽ向いてるし、ヴォルフがアロイズィアの歌を褒めた瞬間に「はぁ!?」って顔で振り向くし、アロイズィアがヴォルフにキスした瞬間、また顔そむけてました。かわいいなぁ…私もコンスに嫉妬されたい(謎)

 

・ヴォルフとコンスがプラター公園で再会するところ、しばらく普通に話してたので、一体何を話してるのかすごく気になりました。笑

古川さんが晴香ちゃんに話しかけ、晴香ちゃんが「え??何??」みたいに、素で聞き返してる様子もあってほほえましかったです(声小さかったのかな…w)この2人、よく考えたら干支一周くらい年齢が違うんですよね。晴香ちゃんが大人びて見えるので、いい意味でそう見えないですが…。

 

・♪残酷な人生♪のラスト、この日はいつもの(以前の?)古川さんが高音出すときの姿勢が出てました。

 

・シカネーダーの「無知蒙昧こそ~」に「??????????????」って顔をする古川ヴォルフ。古川ヴォルフは「無知蒙昧」の意味、絶対知らなそう(ひどい)

 

・♪チョッピリ・オツム〜♪は、前回「歌詞に合わせるの大変そうだなぁ」って思っていたら、今回もはやリアクション取るのを諦めてる部分がちょいちょいありました。笑

 

・♪並の男じゃない♪、いろいろひどくて(*褒めてる)楽しいです。笑

 

・プラター公園でコンスと2人きりになるシーン。古川ヴォルフのテンションが面白いことになってました。笑

バレエを舞ったかと思いきや、その場で2回転半くらいくるくる~っと回ってぴたっとポーズをきめ、\できたぁっ!/と喜んでたのと、♪お金なんて~持ってなくても〜♪で、ズボンのポケットになんにも入ってない〜みたいな変な仕草をへらへらしながらやってたので、それを見た木下コンスが半笑いで歌ってました。笑

 

・1幕ラストで猊下と決別するシーン。台の上に乗ったヴォルフが、猊下の使用人2人に両脇を抱えられて台から下ろされるんですが、使用人の1人が盛大に転んでしまい、支えを失った古川ヴォルフが台の上で片脚立ちして前につんのめった姿勢を保って、そのまま自力で下りてました。体幹強いな…と思いつつ、なかなか危なかったのでひやひやしました…。

 

・♪影を逃れて♪は、鶴岡アマデの目ヂカラがすごかったです…目がすっごく大きいので吸い込まれそうだった…。

 

・2幕冒頭でちょこっとだけヴォルフが着ている、黒のコートにお花の刺繍が入った衣装がすごく好きなんですが、本当に一瞬なのでもったいない気が…。

 

・♪ダンスはやめられない♪の木下コンス、♪夫は芸術家なの 私が支えてる♪でピアノにしなだれかかる姿があまりに色っぽすぎて、お母さん心配です(もはや保護者目線)

 

ウェーバー家女性陣の攻撃(口撃)から自分をかばってくれたコンスを抱きしめて、古川ヴォルフがオフマイクでぼそっと「ありがと…」ってつぶやいてたので、不覚にもめっちゃキュンとしました。あれはずるい…!

 

・発狂シーン、途中でニヤっと笑ったりするのでいい感じでした(謎)

 

・演じてるのが同じ人なので当たり前なんですけど、指揮の振り方が完全にミュージックティーチャーなのがちょっと面白かった…。

 

・ヴォルフの最期のシーン。今まで舞台下手側だったので、ヴォルフの表情がよくわからなかったんですが、「お前も死ぬ…」のところで微笑んでたのと、♪僕こそ音楽♪リプライズをすごく晴れやかな顔で歌ってたのが印象的でした。「ヴォルフって生きてる間幸せだったんだろうか?」って思ってましたが、この回の古川ヴォルフのお芝居だと、きっと彼は幸せだったんだろうと感じられました。

 

・カーテンコールで登場する市村さん、片手を腰に当て、もう片方の手をシャキーン!と天に向けて指すポーズをとってて笑いましたw誰よりも元気いっぱいなのすごいな…。

 

・この日は某チケット会社の貸切回だったので、幕が閉まったあとに古川さんからのご挨拶がありました。客席は総立ち状態だったので、「あんまり長くならないですけど、皆さんお座りください」とまずは座らされました。笑

なんとなく、挨拶をすると何かしらやらかす(?)イメージのある古川さんですが、とても真面目、かつ一度も噛まずにすらすら~っとご挨拶されてたので、逆にびっくりしました(やや失礼な感想)