Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.04.09 ミュージカル「モーツァルト!」マチネ公演:3年越しの願いが叶った日


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*長文駄文な記録です。

 

 

 

 

 

♪ダンスはやめられない♪をどこかの何かで聴いて(歌番組だったかなぁ)、「え、何この歌めっちゃ好き」って思ったのと同時に、「帝劇でやってるの!?しかもいくちゃん出てるじゃん!」と気づいてチケットを取ろうとしたら、あと2週間で帝国劇場千秋楽というタイミングで、チケットが全然残ってなかったという悲劇から3年。

 

昨年韓国版の配信を観たり、ウィーン版のサントラを聴きまくっていたので、あんまり初見感はなかったんですが、ようやく東宝版「モーツァルト!」を観ることができました…!

 

とりあえずこの回は、「これまでの座席運のなさはこのためだったのか」というくらいの神席だった件。というのもこの作品、舞台から客席側に伸びる花道が舞台上手と下手にそれぞれあり、ヴォルフガングが下手側の花道付近で歌うことがなぜかめちゃくちゃ多くて(どう考えても偏りすぎてたような)、特に1幕は、すぐ目の前で古川ヴォルフが歌ってるみたいな場面が多発。「私今日死ぬんかな……」って思いつつ見てました(真顔)

 

ただでさえずっと見てみたかった古川ヴォルフが舞台上にいるっていうだけでも大興奮なのに、目の前で歌われたら心臓がいくつあっても足りん!!!!!!!!!!!!!幕間は動揺のあまり、これが夢じゃないことを確かめに、いったん劇場外に出て空気を吸いに行くという謎行動をしてしまいました。

 

全体的な感想。

東宝版は初見、かつ座席が舞台に近すぎたこともあり、物語がとっちらかってるように感じました。1幕・2幕ともに結構長さも感じました。

(ちなみに同日ソワレを観た時に、時間の経過の感じ方が全く逆になったのが興味深かったです)

 

ヴォルフガングだけでなく、彼を取り巻く人々にも結構な頻度で焦点が当たっているため、そっちの視点から見て、次はあっちの視点から見て、みたいなのを繰り返すからかもしれません。

 

ただそれを補ってあまりある素晴らしい楽曲たち…!「モーツァルト!」自体を誰かにおすすめしようとはあまり思わないんですが、楽曲は素晴らしいから一度は聴いてほしい…!って思います。とにかく私は♪影を逃れて♪が大好きすぎるので、あの1曲を生で聴けただけで、チケット代の元取れてます(単純)

 

演出は、ウィーン版を見たことがないためなんとも言えませんが、韓国版と比較したらこの時点では韓国版の方が圧倒的に好きでした。東宝版で良いなと思ったのは、舞台真ん中にある巨大ピアノの盆舞台。シーンの切り替えがシームレスなのと、単純にかわいくて好きです。

 

あと1幕ラストの、コロレド大司教との決別→♪影を逃れて♪の遷移の仕方は、東宝版のほうがわかりやすかったと思います。確か韓国版では、猊下との決別を喜んだあと、特にお芝居やセリフがないまま♪影を逃れて♪に入ってたので、「え、自由になったって喜んだのに???」と不思議に思った記憶があります。東宝版では、♪影を逃れて♪を歌う前にアマデとのやり取りがあり、「大司教から逃れられても、アマデからは逃れられない闇」が表現されていたので、楽曲の世界観に違和感なく入り込みやすかったです。

 

一方韓国版では、上下にも動く盆舞台がとても印象的だったんですよね(♪影を逃れて♪でアマデ中心に周るヴォルフや、ヴォルフが発狂するシーンや、プラター公園のシーンでとても効果的に使われていました)モーツァルトモーツァルト!♪で楽譜ばらまいたり、ラスト3秒の残酷すぎる展開(アマデとパパのハグを眺めるだけのヴォルフ)とか、♪ダンスはやめられない♪の劇的な歌い終わりとか、♪ダンスはやめられない♪リプライズとか、私は韓国版のほうが好き!ってなるシーンも結構ありました。

 

あとヴォルフのママって一言もしゃべらないんでしたっけ???東宝版は一切声を発することなく亡くなってしまい、ちょっと戸惑いました。♪残酷な人生♪への感情移入がしづらかったです…。

 

ちなみにウィーン版のサントラを愛聴してましたが、東宝版を観るにあたっては「予習しなきゃよかったかも…」と思ってしまいました。まさか1曲目から違うと思わんかった(真顔)

 

東宝版は冒頭で♪奇跡の子♪という楽曲が歌われるのですが、同じメロディーラインの♪モーツァルトモーツァルト!♪が、2幕終盤でリプライズっぽく歌われていて、こちらの方が一貫性があったように思いました。ウィーン版は冒頭で歌われる楽曲がまるで違っていたので…(アマデの才能を称える、という内容は同じかと思います)

 

他にも結構違うところがかなりあって、観ながら「あれ??」と思ってしまい、内容そっちのけでそちらに気を取られてしまいました。

 

衣装は、東宝版が一番派手。ウィーン版のヴォルフガングは、写真でしか見たことがないですが、真っ白なパーカー・シャツ・パンツで髪型もいたって普通(だからこそ役者さんに技量がないと大変そうですが…)。

 

韓国版のヴォルフガングは、基本的に1幕は白シャツに黒パンツ、2幕は黒シャツに黒パンツだったような…?髪型は東宝版と似たようなドレッドヘアでした。

 

東宝版は、出てくるたびに違う衣装着てない!?ってくらい、本当に色々な衣装を着ていて、色合いもさまざまだったので、着こなす能力がないと大変そうだなと思いました。どれか1着くらい、似合わない色や形があってもおかしくないような。観る側としては目でも楽しめました。

 

ちなみに古川ヴォルフは、3年前はおでこを全開にしたヘアスタイルだったようですが、今回は顔の右サイドに立ち上げた前髪を作っていて、これが写真で見るとすごく違和感があったんですが、実際に舞台で見たらそこまで気にならなかったです。舞台メイクも、写真や動画見たらものすごく濃ゆいな~と思いましたが(古川ヴォルフは眉下に白いハイライト入ってたのが気になりました)、舞台上で見たら特に気にならず。まぁ舞台メイクですもんね(悟り)


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以下、キャスト別感想。

ただしほとんど古川ヴォルフの感想になると思われます(事前忠告)

 

【ヴォルフガング・モーツァルト:古川雄大さん】

・3年前は観てないのでなんとも言えないのですが、かなり賛否両論??だったっぽい古川ヴォルフ。3年前の公演を実際に観た方のブログなどを読む限り、役作りが、というよりも、歌唱力であったり、公演期間途中で喉の調子を悪くしてしまったとか、みるみるうちにガリガリに痩せていったとか、そういった点で不安要素が強かったのかなという印象でした。少なくとも健康面に関しては、今回は大丈夫な気がするなぁと、分厚い胸板を見て思いました。笑

 

(ちなみに2019年に「エリザベート」を観劇したとき、幕間になるやいなや隣に座ってたおばさまが「モーツァルトの時よりはずいぶんマシになったわね」と、したり顔で話されていたのが、今でもとても印象的です…。笑)

 

・歌は、今年はじめに開催された配信ライブを聴いていて、正直「大丈夫かな~…」と心配してましたが、びっくりするくらい上達されてました。古川さん、やっぱり役に入った方がうまく歌えるのでは…?「ロミオ&ジュリエット」も「エリザベート」も、高音部になると両肩がぐっと持ち上がって、顔をくしゃくしゃにして絞り出すように歌う癖が気になってたんですが、この回はその体勢で歌ってる場面が、おそらくほぼありませんでした。

 

一番びっくりしたのは、コロレド大司教と完全に決別するシーンのラスト。♪僕は…今こそ…自由だ~~~~~~~~~♪で、すこーーーーんと抜けるような声が圧巻でした。そのシーンでは古川ヴォルフが目の前だったので、気持ちよさそうにのびのびと歌う古川さんを見ながら、まさか古川さんの声に圧を感じる日がくるとは…と、失礼ながら思ってちょっとぽかーんとしてしまいました。笑

 

・お芝居は、この日が初日だったのでまだまだ様子見なのかなと感じました。2020年は映像作品で濃すぎるキャラクターばかり演じてたので、もっとメーターを振り切ったお芝居が出来そうだなと勝手に期待。笑

 

「陽」の部分はもっとはっちゃけられそうでしたし、「陰」の部分はもっと絶望してほしいなと思ったり(ひどい)

 

・で、ここからやっと本編の感想なのですが(前置き長い)、古川ヴォルフは『ヤンキー異端児』でした。煽ったり怒ったりすると、「ら行」が巻き舌になる。べらんめえ口調っていうんですかね。パパはどこで育て方を間違えたんでしょうか…(謎)

 

・♪僕こそ音楽♪では、アマデとおでこをくっつけあってぐりぐりってしてて、かわいすぎて幻見てるのかと思いました。「ライオンキング」のムファサと子シンバみたいだった(突然のサバンナ)歌のクオリティは、少なくとも帝劇コンのときの100倍は良かったです。

 

・パパと一緒にコロレド猊下に会いに行くシーン、身なりを整えてもらったあと、パパに見られないように、客席に向かって超~~~~~悪そうなにっこり笑顔を見せつつ猊下の前に飛び出していきましたw

 

・♪残酷な人生♪は、結構さら~~~っと流れていった印象で、あまりインパクトを感じませんでした。そしてどうでもいいんですが、♪残酷な人生♪は4秒くらいしかないのに「まさに絶望」みたいなイントロが大大大好きです←

 

・♪残酷な人生♪から♪チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに♪(日本語タイトルが心底ダサい)の流れ、時間の経過が感じられないからか、個人的にはどうも違和感しかありません…。お母さんが亡くなって嘆いてたのに、直後にあんなにあっけらかんと楽しそうに踊ってるのか…と思ってしまいます。笑

 

・♪チョッピリ・オツム~♪は、ヴォルフ役者それぞれで見どころが変わりそうだったのと、歌詞に合わせた動きを考えて実際に動くのがかなり大変そうでした。シカネーダーとステッキを一緒に持って階段を降りきったところで古川ヴォルフが舌べーってしてたの、初めて見る顔…!ってなりました(古川さん、素じゃ200%やらなそうなので。笑)

 

あと♪魔女の予言~♪みたいな歌詞で、意味不明すぎる動きをしてましたがあれはなんだったんだろう…wちなみに同日ソワレに観た山崎ヴォルフは、「魔女」ということで杖をついたおばあちゃんみたいな動きをしてました。

 

・女の子とイチャイチャしようとシャツ脱いでタンクトップ姿になる古川ヴォルフ、ものすごい筋肉ついててびっくりしたんですが、お肌が白すぎてそちらにもびっくり。インドア派細マッチョ…?笑

 

・♪星から降る金♪、あんなに(観る方が)忙しいシーンと思わず、あたふたして香寿夫人の歌声にうるっとしてたら終わってました(真顔)あの曲、歌詞に共感とかはないんですが、不思議と涙が出てきます。

 

♪星金♪ラストのサビの部分だったと思いますが、古川ヴォルフがまるで降ってくる金をつかむかのように両手を差し出してる奥で、香寿夫人が高らかに歌いあげる姿がしっかり見えて、私の席から見るとパンフレットの舞台写真みたいな美しさでした。「ここ!!!!!!写真撮ってもいいですか!?!?!?」ってなりました(ダメです)あの構図、天才的に素晴らしかったな…。心の中にあるカメラのシャッターはしっかり切っておきました(謎)

 

・♪並の男じゃない♪、あんな\ひゅーひゅー!/みたいなノリだとは知らず、実際に観てびっくりしましたw今はご時世的に許されないけれど、普通の状況だったら一緒に\ひゅーひゅー!/って言いたかったな。笑

 

コンスタンツェのスカートをめくろうとすな!!!!!(私の脳内に住んでいる千鳥ノブ)

 

・\ぶ~た~やるぉおおおおうぅぅぅ?????????/(訳:豚野郎)

 

・コンスと一緒に剣を持って踊る直前、コンスに向かって人差し指でくいくいって仕草をして誘ってたのを見て心臓止まりかけましたが、私が見た都合のいい幻想かもしれない…。

 

・コンスタンツェに「あんたは並の男じゃないね」と褒められ、嬉しさのあまり?照れ隠しで?奇行に走るヴォルフ。いきなりバレエを舞い始めた古川ヴォルフに思わず噴き出しましたwせっかく本格的なバレエを習得されたので、なんか入れてくるかな…とほんのり期待はしていましたが、まさか本当にぶっこんでくるとは思わず、嬉しいサプライズでした。

 

・♪影を逃れて♪は、部分的に私の好きな歌い方で、部分的に私の好きじゃない歌い方でした。好きだったのは、♪運命に従うほかないのか♪をしっかり歌ってくれたところ(場合によってはこの歌詞を歌わないヴォルフもいるようなので)。あまり好みじゃなかったのは、♪自分の(↑)影から(↑)自由に(↑)なりたい~♪の歌い方がなんかへんてこりんだったこと。♪自分のおー(↑)影からあー(↑)自由にぃ(↑)なりたい~♪って、いちいち下からグイッと持ち上げるような、クセ強めな歌い方でした。笑

 

・♪ワインの香りと 赤い唇で夜毎慰め♪で目閉じながら浸るように歌う古川ヴォルフ。その後の♪どうすれば♪で、瞬時にうっとりした表情から真顔に切り替わるのがとても好きです。

 

・♪影を逃れて♪でアマデの背後からペン奪う時、「アマデからこのペン奪ったらどうなるんかな」と様子をうかがってるような、興味津々な顔してたのが面白かったです。ちなみにこの日初日だった深町アマデが、羽ペンから血を出すスイッチ?を押す力加減を間違えたのか、ヴォルフの腕に刺した瞬間、血が勢いよくぴゅ~~っと噴き出てしまい、なかなかスプラッターな感じになってました。笑

 

・♪何故愛せないの?♪も、♪残酷な人生♪と同じ感じで、結構さらさら~っと流れていった印象でした(*個人感)もう少し葛藤とかが見えてくると良いのかなと。

 

ウェーバー家の女性たちにお金をせびられるシーン、ベッドの上に座った古川ヴォルフが、ズボンの膝に空いてる穴に手を突っ込んで神経質そうにいじってる仕草が細かくて良いなと思いました。親に怒られてる時の子供みたい。

 

・ヴォルフがアマデを責めるシーン、シーンのシリアスさに反してヴォルフの語彙力が突然ゼロになってたので、なんだかコミカルに感じてしまったんですが私だけかな…。「あくま!おおかみ!へび!わるい!わるい!」って、全部ひらがなで言ってるような感じで、やや「?」でした。言い方の問題なのかなぁ…。

 

・楽しみにしていた♪破滅への道♪は、ウィーン版や韓国版よりもキーが低くなっててがっかりです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

・ヴォルフが亡くなるシーンも、実はいまいちピンときませんでした(もうほぼスタミナが切れてたので←)シャツを半分脱いで亡くなる古川ヴォルフの姿が、「ルーブル美術館所蔵ですか」ってレベルで美しかったのはわかりました。

 

・古川さん初日ということで、カーテンコールの挨拶がありました。安定のぼそぼそしたしゃべり&盛大に噛んでたのと、「今日は僕と、香寿さんと、(アマデ役のようこちゃんをしばし見つめる)………あ、ようこちゃんの初日でした」

名前忘れないであげて!?!?!?

 

・「これだけ素晴らしいキャストとスタッフに囲まれていることに気づくことができました。あ、前から気づいてはいたんですよ??????」

カテコ挨拶では客席の笑いを取らないといけないと思ってるんでしょうか古川さんw

 

・アマデと2人きりのご挨拶、かわいい&かわいい!!!!!!古川さんのヘッドマイクを使って挨拶したアマデ役の深町ようこちゃん、予想をはるかに超える声のかわいらしさに客席全員デレました(多分)

 

【コンスタンツェ:木下晴香ちゃん】

・この若さで一体いくつの武器を持ってるのでしょうか!?!?まだ「若さ」を武器にできるのに、この役に関してはあえてそれを使っていない気がしました。

 

・「プロデューサーズ」のウーラは、お下品になりそうなところを非常にうまく上品に仕上げていた一方、今回のコンスタンツェは、ともすればただ可愛らしい妹みたいになりそうなところを、したたかで育ちの悪さが出る蓮っ葉な喋り方でバランスを取っていました。キャラクターに必要な要素をうまく組み合わせて、立体的なキャラクターに仕上げるのが上手なのかもしれないですね。

 

・♪ダンスはやめられない♪、完全に木下晴香ワンマンショーでした。歌い方も、表情も、動きも、すごく力強く芯が通って見えるのに、心の中では寂しくて心もとなくて泣いているコンスタンツェに見えました。

 

・何かに怯えてるような表情や仕草もしていて、きっとコンスタンツェもヴォルフのように、「大人になれず、自分の足で立てない子供」なんだろうと思いました。乞食になる、未来は暗いと大人(親)に言われて、口では「構わない私は」「未来なんていらない」と強がるけれど、結局どこかで大人の言葉に囚われていて、そこから抜け出ることができないんだろうなと。

 

・ところで♪ダンスはやめられない♪を歌う前にコンスが着ているコート、あれヴォルフが着ているものなんですね。彼シャツならぬ彼ジャケットですか←

 

・前半のコンスはわりと仏頂面なので、それはそれで貴重だなと思って見ていましたw晴香ちゃん、いつもにこにこしてる印象が強いので。

 

・ヴォルフが亡くなったあと、セシリアがヴォルフの遺体からお金を抜き取って去っていくシーン、最高に最悪だなと思いましたが、そのセシリアの行動にシンクロするかのように、ヴォルフの墓場をメスマーさんに教えた現在のコンスが、お金を半ばひったくるように受け取って去っていくのが、さらに最悪だな〜〜と思いながら見てました。結局彼女だって、ヴォルフの才能で生まれたものを吸い尽くして生きてたんだろうなと(だから悪妻と呼ばれてるんでしょうけど…)

 

 

【ナンネール:和音美桜さん】

・和音さんは、初めて見た「レ・ミゼラブル」のファンテーヌでいたく感動したので、また役を演じる姿を見られて嬉しいです…!

 

・ナンネールは、前半はわりと共感できたんですが(私が男だったら良かったのに、みたいな歌とか)、アマデ人形に向かって恨みつらみを歌ってたシーンで「ん!?」とどこか違和感を覚えました。その後、自分の夫に対してヴォルフがいかにすごいかを手紙読みながら匂わせたり、反対にパパが亡くなったことを、まるでヴォルフ1人のせいにしていたり、「天才な弟に人生を棒にされた姉」ではあるんですが、ちょっと独りよがりな印象を受けました。

 

・最後にアマデが持っていた小箱を開けて微笑むのが、ちょっと怖いな…と思ってましたが、きっと「終わりのない音楽」がそこにはあって、それをヴォルフが作りあげたことに、喜びと誇りを感じたんだろうなと勝手に解釈しました。

 

・これは初見の感想なので全く的外れな考察ではありますが、ヴォルフのことを本当に理解してた人っておそらく劇中2人しかいなくて、1人はヴォルフの才能が育てられたものではなく、天からの授かりものであることに気づいていたコロレド猊下。そしてもう1人はナンネールの旦那さんだったんじゃないかなと思いました。

 

おそらくヴォルフに直接会ったこともないんだと思いますが(結婚式に欠席した弟が~みたいなセリフがあったので)、ナンネールがパパからの手紙を呼んでるとき、「それで彼(ヴォルフ)は本当に幸せなのかい?」と、つぶやくように問いかけるセリフがすごく印象的でした。冷静な第三者から見たヴォルフを心配するかのようなセリフで、ヴォルフには才能があるけれど、それは彼に本当の幸せをもたらすものなのか、ヴォルフに振り回されるモーツァルト一家を見ていて疑問に思ったのかもしれません。

 

【ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつきさん】

・香寿さんは、「エリザベート」のゾフィー役でもそうでしたが、声質がやわらかなので、ものすごくあたたかみがある人物に見えます。それは男爵夫人でも同じ印象で、ともすればヴォルフの母のようなポジションなのかなと思いました。だから2幕で♪星から降る金♪を再び歌ったときに、ヴォルフをいきなり冷たく突き放す感じがして、それはそれで怖かったです。「さっきまで優しかったのに!?」ってなりました。

 

・♪星から降る金♪は子守唄みたいで素敵でした!

 

【レオポルト市村正親さん】

・そういえば舞台では初めて見たような…?私にとって市村さんは「ミュウツー」なので…(年齢がバレる)

 

・滑舌が若干怪しげな部分もあり、さすがに年齢には勝てないんだろうなと思いつつ、歌に込める気持ちやお芝居はただただ素晴らしかったです。でもいつまで続投されるんでしょうね…。

 

【コロレド大司教山口祐一郎さん】

・正直「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で拝見したときにめちゃくちゃ苦手だったのと、ウィーン版でこの役を演じているMarkさんの歌声が大好きなので、実はあまり期待してませんでした。が、少なくとも「ダンス・オブ・ヴァンパイア」の時よりは好印象でした。

 

・歌もあいかわらず独特でしたが、ピッチが上ずって聴こえるのは私の聴覚の問題か、はたまた………(ちなみに私は芳雄さんの歌もピッチが上ずって聴こえるときがあるので、あまり聴覚は当てにならないかと)

 

・この方もいつまで続投されるのか…もう少しヴォルフ役者さんと歳の近い猊下が観てみたいなぁ…。上原理生さんとかどうでしょうかね…。

 

【アマデ:深町ようこちゃん】

・他の2人のアマデが比較的キリッとした顔をしてるのに対して、深町アマデはほんわかとした印象のお顔。今回ミュージカル初出演、しかもこの日は初日だったので、かなり緊張していたと思います。やや硬さを感じましたが、公演期間中にどんどん成長しそうだなと期待も持てるお芝居でした。

 

・しかしアマデは本当に難役でしょうね…。「才能」を擬人化してるなんて、大人でも演じるのが難しそうなのに…。