Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2020.08.22 朗読劇「ラヴ・レターズ 30th Anniversary Special」【古川雄大×前田亜季】:50年続く言葉と想いのキャッチボール

 

まさか当たると思わなかった「ラヴ・レターズ」。

 

この回、古川さんが出る!見たい!と思って日程を確認したところ、帝劇コンプログラムBの千秋楽配信日とまるまる時間がかぶっておりました。

 

でも「ラヴ・レターズ」は配信無いし…と思い、「ただでさえ1公演しかなくて競争率高そうなのに、座席数半分(調べましたが約300でした)とか無理無理!!ダメ元で抽選応募してみて、外れたら帝劇コンの配信見よう~~~~!!」って応募したら当たりました。この執着のなさが功を奏したのかしら…。


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「ラヴ・レターズ」自体、初観劇でしたが名前は聞いたことがありました。朗読劇自体は、配信では観ましたが生で観るのははじめて。始まる前と上演中の、ぴーーーんとはりつめた緊張感が、普段観るミュージカルやコンサートのそれとはちょっと違ったように思います。観るだけの私があれだけドキドキするのに、読み手の2人はその中で朗読しなきゃいけないんだから、もっとドキドキするんだろうな…。

 

ちなみに観に行く前にいろいろ調べたところ、この作品は元祖演出家の方針で稽古はほとんどしないらしく、1回だけ通し稽古をして、そのまま本番を迎えるとのこと。ちなみに二代目の演出家は「ジャージー・ボーイズ」や「天保十二年のシェイクスピア」を演出された藤田さんでした。

これを機に藤田さん演出の舞台作品に古川さん出たりしないかな…出てほしいな…。

 

当たり前ですが「朗読劇」なので、身振り手振りはほとんどなく、2人のちょっとした表情と、読み上げる声だけを聞いて、観ているこちらは想像しながら物語を組み立てていく感じ。観客の集中力が試されてる気がしました。でも読み手と客席の共同作業のようでとてもいいな〜とも思えました。あの空気感も含めて朗読劇の味わいなんだなと。

 

手紙のみで進むお話のため、行間をこちらで読まなきゃいけないし、登場人物の背景にある状況を、読まれる文章の中から把握しなくてはいけなくて、初見ではかなり理解しづらいかも…っていう感想を、歴代の公演を観た方のブログで読んで心配でしたが、個人的にはそこまで気になりませんでした。

 

ただやっぱり感情移入…まではいかなかったかなぁ。ラストシーンは切なくも美しいなとは思いましたが、泣くほどの感動は正直ありませんでした。

 

前田さんは比較的「喜怒哀楽」をものすごくはっきりつけて、かつ声の強弱も明確で良い意味でわかりやすかったんですが、古川さんは(本人比で相当抑揚つけてたとは思うんですが)最初は緊張されていたのか、「役として読む」というよりも、一字一句読むことに意識が向いている印象がありました。前田さんと比べると、どうしても淡々と聞こえるような気がして、アンディの気持ちがくみ取りづらい部分もあったかな?というのが正直な感想です。

 

あと私が朗読劇に慣れてないため、読まれる文章の中にちょっとわからないことがあったり、「ん?」と引っかかる部分があるとそちらに意識を持っていかれて、一瞬物語から心が離れてしまう感じがあったため、完全に没入できてなかったのかもしれないです。オペラグラスを使うと、視覚から入る情報にも気を取られるので…。聞こえる声だけで、もっと内容を楽しめるようになりたいなぁ。

 

ところで1幕の途中、ちょうど2人が間を取るところで、なんと館内放送が入るハプニング発生。どうやら地下1階で火災報知器が鳴ったようで、それが誤作動でしたという内容のアナウンスだったんですが、そのアナウンスをするおじさんが、よりによってとんでもなくしゃべるのが下手でw

「引き続きお買い物をお…お楽し…お楽しみください!」という流れを、ご丁寧に2回もリピートしていて、古川さんも前田さんも堪えきれず笑っちゃってましたw

その後、ロビーには劇場からの謝罪の案内文が貼り出されてましたが、仕方ないとはいえ、朗読劇の途中はさすがにちょっとなぁ……………。

 

全体の感想としては、「こんな贅沢な時間が許されていいのか!?!?!?!?!?」ってくらい、幸せで至福な2時間でした!

 

以下、乱文雑文の感想メモです。

 

・古川さんの声、本当に好きなんです(突然)かれこれ2019年の秋からずーーーーーーーーーっと古川さんの楽曲ばかり聴いていて、なんなら朝も起こしてもらってるんですけど(スマホのアラーム音に♪Baby♪を爆音でセットしております)あまりにも飽きなさすぎて、自分の耳が心配になるレベルです←

 

・古川さんが演じるアンディ、子供の頃は手に負えないやんちゃ坊主。ちょっと早口で、声も高めに出してる印象でした(まぁ小学2年生にしちゃだいぶ大人でしたけども…)

 

メリッサが他の男の子にキスしたのに僕にはしてくれなかった!!!!!って怒ってるシーンが特にかわいかったです。テストの点数自慢するシーンとか、「きみにはもう手紙を書きません!……………春休み中は」みたいなツンデレなシーンとかも、かわいいが詰まっておりました。メリッサに「うちに遊びにおいで」と招待する手紙の時は、「早く!早くおいでよ!!」って若干いすの上でぴょこんって飛んでてかわいかったです(語彙力ゼロ)

 

・途中どのシーンか忘れましたが、なんかテンション上がって「FUUUUUU!!!!」とか言い出したので、この年の初めに某ドラマで演じていたあのチャラ男が……一瞬出てきたような……(ドラマ、見てなかったけど…)

 

・あと「おぉ…古川さんの口からそんな言葉が…」みたいなセリフが、15分に1回くらいあったような(股間が筋肉痛とはw)

 

・ちょいちょい「それ目覚まし用の音声として収録しませんか!?」みたいなセリフも結構ありました。「もっと自信持って♪」とか「愛してます」とか「地獄に落ちろ!!!」とか(怖)

 

・2幕で大人になるアンディ。自分の世界が広がって、それまでは「メリッサとぼく」が世界の中心だったけれど、家族が出来たり、仕事で出世したり、メリッサ以外に守るべきものがたくさん出来てしまったアンディ。ついにはメリッサにも、定型文しか書かれていないクリスマスカードや引っ越しのお知らせが届くようになります。でもそういう定型文を読む時と、メリッサ個人への手紙の口調が違っていて、アンディの心にはいつもどこかにメリッサがいるんだな~と、古川さんの読み方でわかりました(2幕の方が読み方が良かったです)(という上から目線の感想)

 

・ラストは悲しかったけれど、2人の50年におよぶやり取りは、1つも無駄じゃなかったんだなと思える後味でした(やっぱりハッピーエンドになれない古川さん)

 

・古川さんはブレス音が結構目立つような…?(というのは、実はミュージカル観ていてもちょっと思ってました)読む前に息を吸う音がはっきり聞こえてました。前田さんはそんなことなかったので、呼吸法(?????)が違うんですかね。

 

・1幕はそうでもなかったけど、2幕になると鼻ごしごししたり、唇を指ですーっとなぞったり、手癖(?)みたいなのが出てたので、1幕に比べたら多少リラックスされてた様子でした。

 

・前田さんは本と床が平行になる感じで持ってたため、客席側から手があまり見えてなかったんですが、古川さんは本のページ面が完全に客席から見えないように持ってたので、細長ーーーーい指がよく見えましたありがとうございました!!!!!(叫)

 

・ところで古川さん、王子様や貴族を演じていらっしゃるのに、なぜあんなにも女性のエスコートがぎこちないのでしょうか…。笑

この日も「あのーーーもしよろしければお手をどうぞ」みたいにぺこっと会釈しつつ、おずおずと前田さんに手を差し出し、舞台袖まで連れていき、1回目はそのまま手を放してから捌けて、2回目は「あのーーーもしよろしければ腕組みます?」みたいに、そろそろっと腕を差し出しててちょっと笑っちゃいました…w

 

 

前田亜季さんのメリッサ。アメリカのドラマに出てきそうな、明るくて活発でちょっと皮肉屋な感じの女の子でした。1幕は読み方にものすごく抑揚があったので、メリッサの気持ちがまっすぐ伝わってきました。

 

・途中、あまりにもアンディの手紙が長すぎて、だるそうに頬杖をついてたり、文章の内容が切り替わるきっかけでちょっと座り方を変えてみたり、少しだけ仕草でのお芝居も入れてるのかな?と思いました。

 

・1幕のメリッサは、あまりにも自由奔放すぎて「おいおいメリッサ…」って思うことが多かったです。でも子供時代から裕福だけど、家庭環境には全然恵まれないメリッサが、2幕で大人になっても家族の愛を勝ち取れず、その悲しみをアンディにぶつけている様子は悲しかった…。「会いたい!」って何度も訴えるけど、家庭も仕事も持ったアンディにはなかなか届かなくて、ちょっとかわいそうな気もしました。

 

・前田さん、ハンカチで涙をぬぐうほど泣いてたなぁ…。最後のシーンだけ、それまで観客側を向いていた前田さんが、アンディである古川さんの方を向いて、アンディの手紙ににこやかに反応を返しているシーンは、微笑ましくもあり切なくもありました。

 

・アンディとメリッサ、2人の関係性は「男女の愛」ではなかったかもしれないけれど(終盤一度だけそんな関係にもなるけれど)、人と人との結びつきとしてはとても素敵なものだと感じました。50年もの間、ほぼ途切れることなく手紙を書くって、相手のことを本当に想っていないとできないはず。特にメリッサは「手紙を書くより電話のほうがいい!」ってずっと言ってたのに、結局最後まで手紙を書いてましたし…。離れていても、相手のことを想う気持ちが素敵だなぁと素直に思えました。

 

ラブストーリーと聞いてちょっと身構えてた部分もありましたが、個人的には結構好きな作品になりました。また気になるペアが出てきたら観に行きたいな~。