「スリー・ビルボード」
監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、他
<あらすじ>
ミズーリ州のとある小さな町で、10代の少女がレイプされた挙句、焼かれて殺されるという凄惨な事件が起こった。犯人が捕まらないまま7か月が経過し、その少女の母親・ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、殺害現場近くの道路脇に3枚の広告(ビルボード)を打ち出す。
「娘はレイプされて焼き殺された」
「未だに犯人が捕まらない」
「どうして、ウィロビー署長?」
町の人々はミルドレッドの行動が理解できず、彼女に対して嫌がらせをするようになるが、ミルドレッドは意に介さない。犯人捜しに全力を注ぐミルドレッドだったが…。
<感想>
予告編からは「娘を無惨に殺された母親が、警察への当てつけとして道端に3枚の広告を貼り出すことから始まる物語」くらいしか分かりませんでしたが、その先にあんなストーリーが展開しているとは…!「どんな物語なんだろう」と思わせつつ、あまり見せすぎない予告編がまず素晴らしかったです。
ちなみに予告編にも入ってた、「事件は収束に向かっています」みたいな事を伝えてるリポーターに対して、ミルドレッドが「It's just a start, bitch!!!!!!!!!」的な暴言をはいてるシーンが好きです。笑
決して派手な作品ではなく、ともすれば「何が言いたかったんだろう…」というお話なのですが、それでも終始目が離せませんでした。
ミルドレッド役のフランシス・マクドーマンドと、ディクソン巡査役のサム・ロックウェルが、それぞれ本当に素晴らしかったです。最後まで見ると、ミルドレッドとディクソンは似たもの同士なんだよな〜と分かるお芝居でした。
特に素晴らしかったのはサム・ロックウェル。最初は本当にムカつくやつで、警察なのに「生意気だから」という理由で市民を殴ろうとするし、自分のボスが黒人になるとは思わなかったからなのか、新任のボスに対して暴言はくし(クビになるけど)あとマザコンだし(←)とにかく人間として酷いんです。
でもあることがきっかけで、燃え盛る警察署から脱出する時にとっさにミルドレッドの娘の事件ファイルだけを持って逃げたり、ミルドレッドの娘を殺したかもしれない男のDNAを、ボコボコにされながらも手に入れたり。前半と後半でまるで違う印象になる面白いキャラクターを、見事に演じておりました。
あとオレンジジュースのシーンがめちゃくちゃ刺さりました…憎い相手が困ってるときに優しくできる人間でありたい。