Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

ドラマ「天国と地獄 〜サイコな二人〜」:サイコで最高なふたり

 *最終回まで盛大にネタバレしているので、何も情報を入れずにこれから見る方は読まない方が身のためですよ~。

*思考と感想が整理できていないので、文章とっ散らかってます。長いです。

 

www.tbs.co.jp

 

始まる前から(厳密に言うと発表されたときから)「放送前から面白さが確約されたドラマじゃないですか…!!!!!」と、私のテンションを爆上げしてくれた「天国と地獄~サイコな2人〜」。

 

だって脚本が森下さんで、そんな森下さんとすでにタッグを組んで、これまで面白い作品を生み出してきた綾瀬はるかさん&高橋一生さんですよ!?しかも刑事と殺人犯が入れ替わっちゃうなんてリスキーな設定で…!!(役者さんのお芝居に絶対的な信頼がないと破綻するやつ…)

1話のラスト、不気味な笑みを浮かべながら壁ドン&手錠をかける綾瀬さんと、涙目上目づかいで子犬のようにぷるぷる震える一生さんを見た時に、「これあと3か月どういう話で進んでいくんだ…?????」と一抹の不安を覚えたのですが、あのときはこんな結末を迎えるとは全く思わなかったです。

 

(ちなみに綾瀬さんの壁ドン&一生さんの涙目シーンで、変にときめいてしまったのですが、Twitter見たら仲間がたくさんいて安心しました。やっぱ妙な気持ちになりますよねあれ。笑)

 

物語は非常に面白かったですし、毎週続きが気になる終わり方で、最後まで一切飽きることなく見ることができました。

 

ただ私自身、どちらかというと「猟奇殺人事件の犯人探し」という、比較的ミステリーやサスペンス視点で途中まで見ていたため、8話あたりで真相がわかってしまい、自分の視聴スタンスと物語の方向性のズレに「あれれ?」と…なってしまいました。

 

さらに9話では、刑事と容疑者という関係だったはずの2人が、お互い入れ替わった同士で情が湧いたのか、まるでバディのごとく行動し始め、挙句追い詰められたら「捕まるならあなたが良かった」「絶対助けに行くから」と、奇妙な絆が芽生えており、ネット上では「泣けた~~」という声が多かったようですが、正直私はずっと「???????」状態でした(と言うと、私がサイコパスみたいですね…………ちなみに一緒に見ていた家族も特に感動はしていませんでしたが………)

 

最終回も、結局いくつか回収されていない謎があったり、「ちょっと都合が良すぎるのでは…」みたいに引っかかる部分もありました。

 

1番気になったのは、日高がアメリカにいたころ、殺人事件の容疑者として名が挙がっていた、という話題について。

現地の新聞に顔写真付きで名前が載っているくらいだったので(記憶違いだったらごめんなさい!)、そこそこ有力な容疑者だったんだと思いますが、あれもただ「日高=ヤバいやつ」を印象付けるためのネタだったのかな…??

 

あと彩子の姿をした日高が、ゴルフクラブで死体をぼっこぼこに殴っていた映像。本来彩子の行動を封じるための脅迫映像だったかと思いますが、あれの音声のみが残り、映像はうまく復元できなかったのは都合が良すぎるよな~と。

 

(彩子の姿をした日高が発した「あなたは私で、私はあなたなんですよ」という言葉に対し、鑑識の新田さんが「好きってことなんじゃな~い?」って言ってた、あのセリフは好きでした。新田さんめっちゃいいキャラしてたな)

 

結局警察の人たちも、彩子にかなり協力的だったのですが、その行動にいたるまでの心情の変化とか、もう少し見せてくれてもいいのでは…と思いました。

(河原さん急に物分かり良くなった感があったし…かっこよかったけど…)

(唯一全くぶれなかった安心と信頼の八巻)

 

あとなんとなーーーーーーーくいい話っぽくなってたけど…そりゃ東朔也が受けた仕打ちは本当にひどいものだったけど…。でも猟奇殺人&殺人隠蔽なのにそれでいいのかな~~~~~~というモヤッと感も、実はあります。それは本当に、ほんのりと、ですけど。

 

そして地味に気になってしまった「コロナ禍」設定。1話で彩子と日高が出会うきっかけとしてマスクが使われていましたが、その後はマスクをしている様子が特になく、中盤で彩子(中身は日高)がコロナにかかったかも…みたいなエピソードも盛り込まれていましたが、取り込み方がものすごく中途半端なのは気になりました。

(「俺の家の話」は、ちらっと話を聞いた感じではそのあたり徹底していたようですね)

 

 

でもまぁ、なんだかんだでまとまってて良かったです(結局)

やってもないことまで全てを背負って、たった1人で地獄に行こうとする日高の手を、意地でも掴んで離そうとしなかった彩子。自分の正義を貫くためとはいえ、完全に白馬の王子様(ヒロイン)でした。

(森下さん脚本の大河ドラマ「おんな城主直虎」33話で、全部背負って地獄に逝った政次(一生さん)、という前例があったのでヒヤヒヤしました)

(あの回トラウマすぎて未だに見られないです)

(なんで一生さんを1人で地獄に向かわせようとするのでしょうか森下先生)

 

あと陸(柄本佑さん)の最後の決断が、個人的には1番ぐっときました。あれは陸なりの「正義」だったと思うのですが、何も姿を消すことないのに〜(涙)

きっと彩子は、ナッツが152円安く売られてるスーパーに行くたびに、陸のことを思い出すんだろうな…。

 

また「天国と地獄」というタイトルが、入れ替わったことで立場が崖っぷちになった彩子と、主導権を握ることができるようになった日高を表している…のかと思いきや、日高と東朔也の「歩んできた人生」が天と地ほどの差があった、というB面の意味もあったのが面白かったです。

(日高と東朔也の関係性は、月と太陽の伝説にもなぞらえることができましたし)

 

サブタイトルの「サイコな2人」の、「2人」って誰…?と思ってましたが、彩子は陸に「彩子ちゃんサイコパスだよね〜」と言われていたので、彩子も日高も持っている性質は実は似た者同士なのでしょうね。

(手段を全く選ばない、という意味では、河原さんもそうなのでは?と思いましたが。笑)

 

 

さて面白いドラマには面白い脚本が必須…ではありますが、今回は「真逆の立場に置かれた男女が入れ替わる」という、かなりぶっ飛んだ設定でした。となると、その設定に説得力を持たせられる、卓越したお芝居ができる役者さんが必要になります。

 

しかも1話終盤で入れ替わってしまい、元に戻ったのは8話終盤。つまり全編の半分以上は割り当てられた自分のキャラクターではなく、相手の役柄を演じなくてはいけない、という摩訶不思議なお芝居を成立させる必要がありました。

 

綾瀬はるかさんと高橋一生さん。

この2人を彩子と日高にキャスティングできた時点で、このドラマの成功は半分約束されていたものだと思います。

入れ替わりによって、お芝居はもちろん、顔つきから仕草、歩き方から発するオーラまで、本当に中身がまるっと取り替えられてしまったようで、毎回あまりの素晴らしさに家族みんなでうなっておりました。笑

 

入れ替わった後のお芝居のしやすさ、という視点で考えると、おそらく日高→彩子を演じた一生さんの方がやりやすかったのではと思います。

男性なので声を操ればギャップは出しやすいですし、サイコパス→おっちょこちょいなので、キャラクターとしても面白さやコミカルさ、かわいらしさを出すことで、視聴者にもわかりやすく伝えられそうでした。

 

ネット上の一部ファンからは「イセ子」と呼ばれてましたが(笑)本当に頭の先からつま先まで女性になっていて、改めてこの人のお芝居はすごいなぁと度肝を抜かれました。

 

秀逸だなと思ったシーンはたくさんありますが、陸にコインロッカーの調査を頼むシーンがとても好きです。

「便利屋りっくん!頼んだよ!」と敬礼ポーズをとったあと、その場から走り去るんですが、そのときリュックを背負っているんです。で、そのリュックを背負いながらの走り方が本当に女の子で。笑

「あんな走り方になるか…?」と思い、外出時に小さなリュックを背負って走ってみたんですが、確かに「あの走り方」になるんですよ。すごいな…w

 

あと入れ替わり直後、お風呂に入ったあと陸に連絡しようとするけど、持っているスマホが日高のものだったときの、イラッとして「あーーんもうっ!」とスマホをソファに投げつける仕草とか。笑

(髪の毛短いのに、頭にタオル巻いてるのもツボw)

 

「女性の愛嬌やかわいらしさを出すのは、メイクや服装も大事だけど、1番は表情と仕草なのだ」ということを、なぜか一生さんに教わった3ヶ月でした。笑

 

反面、彩子→日高を演じた綾瀬さん。最終回の着地の仕方を考えると、あんまり極端に悪役っぽくもできないし、かと言って「日高っぽさ」を消すわけにもいかない。そして彩子自体がもともと「ものすごく女のコっぽい」わけではなかったこと、日高はなぜか女性の身体に最初から順応していた(?)ことから、入れ替わりの差を出すのが難しかっただろうなぁと思いました。

 

でも目が笑ってなかったり、淡々とした話し方だったり、「一生さんの日高」をよく観察して研究していらっしゃるのが、すごく伝わってきました。

(そういえば、本来の姿でのお芝居をお互いやってみて、それを自分のお芝居に取り込む、ということもやったんですかね…そうなると準備に相当時間かかりそう)

 

彩子の姿の日高は恐ろしくも美しくて、特に九十九を追い詰めるときの「スパイごっこ」シーンが大好きです。

ドルガバのドレスに身を包み、颯爽と歩く姿にテレビ越しなのに目が釘付けになりました。神々しいオーラ発しすぎてて、全然スパイに向いてなさそうでしたが。笑

 

また「そこまでお芝居できるの!?」とびっくりしたのが、東朔也が入院している小さな病院の前まで来たのに、新たな猟奇殺人が発生したとの連絡を受けて、仕方なくその場を立ち去るシーン。

綾瀬さん、右のこめかみに青筋立ててたんですが、1話のとあるシーンで、日高が全く同じ場所に青筋を立ててたんです。

わざとやったわけでなく、たまたまなのかもしれませんが、そんなところまで再現するなんてすごいなぁと、驚きを通り越して感動すら覚えました。

 

…と、このお2人のお芝居の素晴らしさは、到底書きつくせません。物語の伏線をもう一度さらうのと同時に、この2人のお芝居の妙技を堪能するために、Paraviで再度見直そうかなと思っています。

 

最後まで展開が読めない脚本と、極上のお芝居合戦に、最後まで楽しませてもらった3ヶ月でした!

 

ドラゴン桜続編は見るか迷ってます!)