Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.12.08 Coloring Musical「Indigo Tomato」:たった5人のミュージカル

 

初観劇の「Indigo Tomato」。

確か初演の時に、Twitterでポスターか舞台写真を見て、正直知ってる俳優さんが1人も出てなかったけど、摩訶不思議なタイトルとポップなビジュアルにすごく惹かれた記憶があります。

 

結局そのときはスルーしちゃったんですが、ロミジュリで平間さんを見て、もっと彼の出演作を見てみたいなぁ…と思っていたところ、今作の再演が決定。観劇してみることにしました。

 

座席は前から5列目のセンターブロック。非常に観やすかったです。

東京グローブ座には初めて足を運びましたが、すごくこじんまりをしててちょっと変わった形の劇場でした。私の席からであれば、オペラグラス無しでも全く問題なし。ただ駅(大久保駅だったかな…?)からちょっと距離があるので、天気が悪い場合は歩くのが大変かも…。

 

2019年は、基本的に大きな劇場でやるメジャーな作品ばかりを観劇していたため、どの演目もそれなりに派手だったり人数が多かったりでしたが、「Indigo Tomato」は出演者がたったの5人。生演奏を担当するバンドは3人でセット転換もなし。今まで観たミュージカルの中で、一番小規模編成だったと思います(これ以下の人数で上演しているのは、有名どころだと「スリル・ミー」くらいでしょうか…?)

 

人数が少ない=1人ずつの能力がより顕著に分かってしまうので、本当に実力のある人じゃないと、とても出来ないことだよなと思いました。そして5人とも本当に素晴らしかった…!

 

「泣ける」みたいな事前評判を聞きすぎたせいなのか、はたまた周りのお客さんがめちゃくちゃ泣いてたからか、私は全然泣けなかったんですが、心が痛くなったり温かくなったり、とても刺さる作品でした。

 

1番感じたこととしては、「自分が【普通】と感じていることが、他人の【普通じゃない】だし、逆に自分が【普通じゃない】と感じることが他人の【普通】である」ということ。「そんなこと、言われなくたって分かってるよー!」と思うんですが、意外とそういった事態に直面してみないと、はっきりと実感はしないんだろうなと感じました。

 

人間が生きる上で大事なことを教えてもらった気がします。扱ってるテーマは結構重たいのに、観劇後は不思議なさわやかさを感じたのも印象的でした。

 

 

以下、キャスト別感想です。

 

【タカシ:平間壮一さん】

・マーキューシオの影が一切感じられなかった件(当たり前)

 

・私の中で「サヴァン症候群の青年」=ドラマ「ATARU」の中居正広さんのイメージがあり、平間さんのお芝居がそのドラマを彷彿とさせる感じでしたが、あれがきっとサヴァン症候群の人の特徴的な動きや喋り方なんだろうなと思いました。2時間幕間なしの演目でしたが、尋常じゃないくらいのエネルギーを使いそうな役柄でした。

 

・冒頭はタカシの脳内(?)の世界から始まるため、タカシ自身は「普通の青年」として歌ってるんですが、現実世界に入った途端、身にまとってる雰囲気をガラッと変えてたのがすごかったです。一瞬にして「普通とは少し違った青年」に、衣装の早変わりのように変わっていました。

 

・マーキューシオの時は、♪世界の王♪でのダンスがとにかく1人だけ際立ってキレッキレで、でも今回全然踊らないからもったいないなぁ…と思っていたら、最後の円周率5000桁(?)の暗唱でダンスを披露されていました。平間さんのダンス、空気を切り裂くような鋭さがあって素敵…!

 

・円周率、実際どれだけ覚えたんだろう…数学が大嫌いな私としては、そこでもう尊敬の念が湧きます。笑

 

・タカシは「全然笑わない子」ということで、平間さんと言えばダンスとあのにっこり笑顔がトレードマークなのになぁ…と思ってましたが、ラストシーンで笑顔が見られたので良かったです…!(ロミジュリDVDに収録されてるアフタートークで、にこにこしてる平間さんがとても好きです)(唐突)

 

・カーテンコールで突然「今日ぼくが出会ったレジ待ちでイライラしてるお兄さんの話」を始めて、思わず笑っちゃいましたw途中「あれ~~なんかよくわかんなくなってきちゃった(^^)」とか言っててかわいかったです。

ちなみに平間さんの話を要約すると、「同じ形をした人間であっても、中身は育った環境とかその人自身が何を【普通】と感じるかで変わってくるので、そのことをみんなが心に留めたら、相手に優しい平和な世界になるよね」ってことが言いたかったらしいのと、それがこの演目を通して伝えたかったこと、とのことでした。素敵!

 

 

【マモル:長江峻行さん】

・お名前すら存じ上げない俳優さんでした。数年前にやってた「ギャグマンガ日和」の舞台化では小野妹子役だったそうで。私「ギャグマンガ日和」大好きなんですが、長江さんの妹子、見てみたかった…w

 

・私自身はマモルに一番感情移入しました。

タカシは確かに一般社会に馴染むのはとても難しいし、特殊であるがゆえの辛さはあるけど、彼には「数学の世界」があって、最悪の場合そこに逃げ込むことができる。でもマモルは「普通でない兄」を守る義務があると感じているからこそ、自由に生きられないと思っているし、何をするにも「兄の存在」が足かせのようになっているのが見ててしんどかったです。

 

・タカシに対して絶対に言っちゃいけない言葉を投げつけた瞬間の表情がとても印象的で良かったんですが、マモルが置かれている状況があまりにも辛すぎて、劇中心の中で何度も(マモル―――――――!!!!!!!!!!)って叫んでました。

 

・歌はすごく頑張ってたんですが、のどの調子があまり良くなさそうでした…次に長江さんのお芝居を観る機会があれば、万全の状態で観てみたいです。

 

 

【ユーゴ・オブライエン:大山真志さん】

 ・「イヴ・サンローラン」以来の大山さん。まだお若いらしいんですが、貫禄がすごい(*褒めてます)

 

・ザ・美声。ユーゴとして出てないときは、通りすがりの人の役とかを演じていて、お茶目な動きと仕草でちょこちょこ笑いを取っていましたw

 

 

【あや:安藤聖さん】

 

・素敵すぎるキャラクターでした…!タカシとマモルが通っているカフェの店員さんなのですが、世界があやさんみたいな人でいっぱいになったら、多分秒速で世界平和になるはず。タカシに対して歌う、円周率習得するの手伝うよ!みたいな歌(雑過ぎる説明)がすごく可愛らしかったです♪

 

【兄弟にまつわる女性たち:剣幸さん】

ゾフィー様…!!!!!!!!!!!!!!!!(エリザ脳)

 

・剣さんの演技、圧巻でした。なんと劇中5役をご担当されておりました。出てくるたびに全く違う女性(内1人は元男性の女性)になっているので、実は剣さんのおかげで(?)私はこの演目の役者さんが5人しか居ないことに、最後まで全く気づきませんでした。演じ分けもそれぞれ素晴らしかったです!

 

 

色々と考えさせられる、でも観劇後はとても優しい気持ちになれる素敵なミュージカルでした。再再演があれば是非とも行きたいです!