Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.11.29 ミュージカル「ファントム」:2度目の観劇でハマる

 

2度目の「ファントム」観劇。

今回はWキャストのもう片方の組み合わせで観ました。


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全体的な雰囲気と物語がつかめていたからなのか、前回より今回の方が遥かに楽しめました。共感できなかったエリックに感情移入もできました。

 

前回はほろりと泣ける…って感じでしたが、今回は城田エリックのお芝居でぼろっぼろに泣きました。終演後つけていたマスクが使い物にならなくなったくらい(*汚くてすみません)

 

感動のあまり、城田さん&木下さん版のDVDを予約しようか一瞬迷ったけど、映像であったとしてもあの演技を繰り返し見るのはしんどいな…と思ったので、一旦保留にしました(結局あとで購入しましたw)

 

「ロミオ&ジュリエット」のように、初見で「なんだこれは…!!好き…!!」ってどハマリする演目もありますが、「ファントム」は2度目でじわじわ来ました。何回もリピートしたいかと言われると、やっぱりそれはあんまり思わないんですが(なんでだろう)、エリック、クリスティーヌ、シャンドン伯爵のWキャストは、色んな組み合わせで見てみたかったです。

 

印象に残らないなぁと思っていた楽曲も、パンフレットの場面写真を見たら、その場面でどんな歌が歌われていたか、思い浮かぶくらいにはハマりました。なのでDVDもいいけど、欲を言えばCDが欲しかったな~~~!

 


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↑平日ソワレはきっついんですよ!!!!(また開演ぎりぎりに入った人)(ぶれぶれリプライズ)

 

以下、主にWキャストさんの感想です。

 

【エリック(ファントム):城田優さん】

・\城田エリックめっちゃ好き/

ピピン」の少年のような役も良かったんですが、城田さんってサイ〇パスとか性格歪んじゃった役とかもはや人じゃないです!!みたいな役が、尋常じゃないくらい似合う気が…(これ全力の褒め言葉です!!!!!そういう役柄ってお芝居うまくても難しいと思うので)

 

・お芝居がややオーバーな部分があるため、人によって好みだったり苦手だったり、比較的分かれそうな印象がありますが、私は!!!!大好きだ!!!!!(告白)

 

・加藤エリックよりもさらに子供、というより幼児でした。加藤エリックが8歳なら、城田エリックは5歳(勝手なイメージ)特にキャリエールに対して発するセリフは、ほとんどひらがなで話しているような印象を受けました。「ころしちゃえばいいんだ!!」みたいな(物騒)

 

・城田エリックは「お菓子買ってもらえなくて床ごろごろして駄々こねるタイプの子供」でした。一緒にスーパー行ったらお菓子の棚から引きはがすの大変そう(謎)ゆえにコミュニケーションのハードルも、加藤エリック以上に高い印象があり、クリスティーヌに声をかける時のもだもだっぷりが凄まじかったです。憧れのアイドルを前にしたヲタクみたいだった…。

 

・城田さん天才か…って思った演出。オペラ座の初舞台を踏む直前のクリスのもとに、シャンドン伯爵がやってくるシーンがあり、シャンドン伯爵はバラの花束をクリスにプレゼントします。いいムードに包まれた2人はそのままキスするんですが…

 

その様子を!!!!!!!!!!

バラの花1輪持ったエリックが!!!!!

隠し扉の向こうから見つめてるのを!!!!!

盆が回転する動きで客席に見せるんですよ!!!!!

 

天才すぎて泣きました(しんどい)

 

・1幕は育ちすぎた幼稚園児のような(表現がひどい)、比較的かわいらしさもあるようなイメージでしたが、1幕が終わる直前、気を失ったクリスティーヌをシャンドン伯爵から奪う時に、クリスを助けようとするフィリップを一瞥する視線がゾッとするほど冷たくて恐ろしかったです。ああいう視線、すごく似合うと思うので、やっぱりトート閣下もう一度演じてくれませんかね…。

 

・2幕では、本来エリックが持っている優しい心と、クリスティーヌへの愛ゆえにさらに歪んでしまった心が、交互に顔を出す様子が印象的でした。エリックは自己中心的でわがままで共感しづらいキャラではあるんですが、仮面をはずすシーンで初めて、クリスに対して「クリスティーヌやめたれ…!!!!!!」ってめっちゃ思いました。

 

・カルロッタを殺すシーンの直前、エリックが物陰から「カールロッタ~」って3回呼ぶんですが、声が高→中→低になるのがホラーでした。「絶対殺したる」みたいな気迫も怖すぎました。加藤エリックからはあんなに明確な殺意を感じなかったんですが…。

 

・♪母は僕を産んだ♪、歌い始めはまるでお母さんとの記憶をたどるかのような、穏やかな表情と声で歌い始めて、思い出に浸ってる様子でしたが、クリスティーヌのことを歌いだすサビ部分は、彼女への深い愛と、心からの憎しみを行ったり来たりで、だからこそ♪呪う!!!愛して呪って愛して…♪の歌詞がすごくしっくりきました。愛しさを通り越して、憎しみすら感じているのが分かる歌唱でした。

(余談ですが、城田さんのアルバム「a singer」を愛聴していたため、実際に演じながら歌う♪母は僕を産んだ♪を聴けて良かったです)

 

・クライマックスのキャリエールとのシーン。本気で泣きじゃくる城田エリックと、今まで埋められなかった親子としての空白の時間を満たすような岡田キャリエールの演技に号泣しました。城田エリックの「でも…でも声はいいよね??」ってセリフと、その言葉をきっかけにエリックを力強く抱きしめる岡田キャリエールのお芝居に涙腺崩壊でした。

 

・2幕終盤、木下クリスの膝の上に頭を乗せて横たわる城田エリック。クリスが♪Beautiful Boy♪を歌うんですが、♪愛しいあなた♪みたいな歌詞の時に、本当に嬉しそうににこーって微笑むのをオペラグラスで見てしまい、さらに涙が止まりませんでした。なんか書いててまた泣けてきた…(重症)物語としてはバッドエンドですが、エリックにとっては今まで生きてきて、皮肉にも亡くなる直前が一番幸せな瞬間で、幸せなままお母さんの元に逝けるんだな…って考えたら、苦しみから解放されて良かったねという気持ちになりました。

 

・城田エリックにこれほど共感できたのは、彼の演技が私好みだったって以外にも、もしかしたら今回彼が演出を担当したことも大きいかもしれないと思いました。極端なことを言うと、今回は城田さんの頭の中にある「理想のファントム」を具現化した舞台なわけで。ということは、本当の「正解」は彼の脳内にあって、いくら上手に他人に伝えたところで、100%理解しているのは城田さんだけなわけで。脳内で作り上げられた城田版「ファントム」で生きるエリックを、100%具現化できるのも彼だけなのは当然だよな…。と思うと、演出と主演のWはとんでもなく大変だと思いますが、ある意味演じるのも楽しいのではないかな~と思いました。

(全然見当違いかもしれないですけどね~)

 

 

【クリスティーヌ:木下晴香ちゃん】

 

・え、まだ20歳なの????????(震)

知ってましたけども…!!!!!改めて見るとびっくりでした。

 

・20歳らしい表情ももちろんするんですが、ある意味年齢に不相応なくらい肝が据わってる印象があります。まだデビューして2年(2019年時点)だなんて到底思えません。ジュリエット役でミュージカルデビューした時なんて、まだ17歳だったとか…。リアル17の乙女…。ちなみに当時の記者会見の映像を見たら、年上&芸能界歴が長いはずの生田絵梨花ちゃんの方がよっぽど幼く見えました。

 

・今これだけ完成されていて、今後どうなっていくのだろう…。間違いなくこれからのミュージカル界を引っ張っていく女優さんになるんだろうなぁと思いました。

 

・どちらかというと愛希クリスの方が歌のパワフルさや、歌がうまくなっていく過程、すこーんと抜けるような高音は上手なように感じて、そういった点では愛希クリスの方が私好みでした。ただちゃぴさんは宝塚でトップ娘役を何年も務めた人。踏んだ場数が晴香ちゃんとは桁違いなので、ある意味差が出るのは当たり前でもあります。そんなちゃぴさんに、ほとんど引けを取ってないのが本当に素晴らしいと思います。

 

・木下クリスめっちゃ可愛いな…って思ったのは、♪Home♪を歌う場面。衣装係の仕事として衣装の洗濯をするんですが、女優の1人に「縮んでるじゃないの!」って渡された、おそらく当てつけの子供用ドレスを、真剣な表情で一生懸命袖を引っ張って伸ばそうとしてて、あまりにも愛おしくなったのと、その真剣さに吹き出しそうになりました。笑

あとトルソーに乗ってたシルクハットを頭に乗せて、満面の笑みでなぜか棒立ちしてたりとか…。笑

 

・圧巻だったのはエリックの母・ベラドーヴァとしてのシーン。回想シーンでの木下ベラドーヴァの♪Beautiful Boy♪に泣かされました(泣いてばっかり!)お芝居とはいえ、あそこまで母性を感じさせるのすごい…(呆然)

愛希クリスはあのシーンでやや狂気を感じましたが、木下クリスは純粋にエリックのことを「この世の誰よりも美しい」と信じてました。慈愛に満ちた歌声が、仕事で疲れた私の心にじんわり染み渡りました…。

 

・晴香ちゃん、あんな踊れるとか聞いてないですけど!?!?心底びっくりしました。聞けばなんでも特技は「ダンス」なんだとか。てっきり歌メインの女優さんかと思ってたんですが、これだけ歌えて踊りもできるとは!!ミュージカル界の偉い人たち!!彼女にもっと歌って踊れる役をお願いしますよ!!!!!(私が見たいだけ←)

 

・踊れる役を…と言いつつ、いつか木下シシィが見てみたいです!!!!!!!!!!

 

 

【フィリップ・シャンドン伯爵:廣瀬友祐さん】

 

・廣瀬さんは「ロミオ&ジュリエット」で2度拝見して、あまりの色気だだ漏れっぷりが印象的だったので、フィリップ伯爵も色気だだ漏れプレイボーイになるんだろうと思ったら、意外とコミカル枠でした。笑

 

・登場時こそ「ザ・伯爵」なオーラ満載。今回の座席が下手ブロック、かつ前回よりやや前方席だったため、フィリップ登場シーンはばっちり見られたんですが、あなたそこ立ってるだけでいいですよ??ってくらいの華がありました。

でもビストロでクリスに再会し、磨きのかかった歌声を聴いてから彼女にでれでれメロメロな様子がすっごく面白くて。特にラ・ラ・ランドシーン(違)の時に、クリスが何か言ったらハートを撃ち抜かれたっ!みたいな大げさな表情とポーズをしてて、客席から思わず笑いが漏れてましたw見た目とのギャップが激しすぎて笑うしかなかった…wクリスティーヌへの愛の重さが、エリックに全く引けを取っていなかったのが素晴らしかったです。

 

 

というわけで、2回しか観劇できませんでしたが好きな演目の1つになりました。ロビーパフォーマンス、客席降り、衣装、舞台装置などなど、とにかく「地上の世界」が華やかであればあるほど、エリックの住む世界の暗さが浮き彫りになるので、よく考えられているなと感じました。

しばらくないかもしれませんが、再演したらまた絶対に見たいです!!!!!

 

 

(ちなみにこの回、古川さんが観劇にいらしてました!!!!!心臓止まるかと思った!!!!!)