Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.01.19 ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」:アンドレイは~いな~~~い♪

 

*2019年観劇レポに突入!一気に観る作品の幅が広がった年でした。

 

 

「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」

 

何をどうしたらこんなに長いタイトルになってしまうのか、我々はその謎を解くため東京芸術劇場プレイハウスに足を踏み入れた…。

 

ということで、当初全く観る予定ではなかったこちらの作品を、2019年観劇はじめとして選びました。2018年の大みそか、何を思ったのかお酒の勢いに任せて確保したチケットです生田絵梨花ちゃんが見た~~~~いという、いたって不純な動機)(すでに2月のロミジュリはいくちゃんジュリエット回を購入していたけれど)

 

 


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「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」、別名「アンドレイ不在による悲劇」でした。タイトル短くなるし、こっちにしない?(むちゃぶり)

 

戦争中だから仕方ないんですけど、あんなに可愛い婚約者を置いてけぼりにしたアンドレイにも0.01%くらいの責任があるのでは(99.9%はナターシャのせい)

 

全体的にクセの強い作品で、好き嫌いがはっきり分かれそうだったこと、レミゼみたいに全編セリフなし・歌のみで構成されていることや舞台構成が独特なことから、話を楽しむというよりはショーを楽しむ感じでした。個人的には結構好き。再演あったら絶対またチケット取ります。今回は3000円の立ち見席だったので、コメットシートとまでは言わずとも、次はとりあえず座って見たいです。笑

 

まずぶったまげたのはステージの作り方!!「舞台と客席」という概念を根底から覆すびっくり構造でした。「イマーシブシアター」という名称らしいのですが、簡単に説明すると、舞台上に一段下がった空間が4つ作られていて、そこに丸テーブルが3つか4つ置かれていて、イスがそれぞれに4脚ずつくらいあって、お客さんがそこに座る造りでした。その座席は、タイトルにちなんで「コメットシート」と呼ばれています。

 

もちろんそこは舞台上とみなされているため、劇中は役者さんたちがそこを通ったり、お客さんを登場人物に仕立て上げたり、役者さん自ら話しかけたりしてました。中には手の甲にキスされる女性も…!!

 

役者さんたちが歌うときは、基本的にみんな客席の方向を見るため、初見でコメットシートに座っちゃうと意味不明になりそうでしたが、2回目・3回目で座ったらめちゃくちゃ楽しそう。

 

役者さんたちにとっては本当に大変そうな舞台構造で、お客さんを巻き込むときの対応力であったり、完全に舞台上からはけるまで全く気の抜けない状況だったりするので、普通の舞台以上に緊張感がすごそうだなと思いました。お客さんとの距離はかなり近いので、その分楽しそうでもありましたが。

 

ちなみにコメットシートに座らずとも、全体的に客席巻き込み型の演目だったので、多分劇団四季の「キャッツ」に負けず劣らずの客席降りの回数だったかと思います。井上芳雄さんやいくちゃんも、普通に客席に降りて行って、ときどき空いてる客席に座ったり(演出上元から空いてると思われる座席でした)、お客さんに何か手渡したりしてました。それぞれのファンの方はどきどきだっただろうな~。

 

2階席にも、開演前にアンサンブルさんたちがピロシキやエッグシェイカーを配りに来てくれました。私のエリアにはえらく背の高いイケメンさんが来てくれたんですが、あとから劇団四季「リトルマーメイド」にてエリック王子を演じられていた山田元さんだったことに気づきました(遅)まさかここでまたお見掛けすることになるとは。「距離が近いね~~」と笑いながらいろいろ配っていらっしゃいました。

 

私の隣にはいくちゃんファンとおぼしき男性が1人で観劇に来ていたのですが、私含め周りが女性ばかりだったからか、山田さんが「楽しんで!!!!!」って肩叩いて励ましてました。笑

 

2幕の前にはプリンシパルの方たちも2階席に来てくれて、私のエリアにはバラガ役の俳優さんが来てたような…。とにかく客席にいるすべての人たちが、1人残らず楽しめるように工夫されてるなぁという印象でした。

楽曲は、1曲目がめちゃめちゃ面白かったです。笑

登場人物があんまりにも多いからか、人物紹介の歌になっていて、最初は♪アンドレイはいな~い♪から始まり、その次はナターシャ、その次はソーニャと、だんだん歌詞とメロディが足されていく仕組みでした。ただ名前を紹介するだけじゃなくて、それぞれのキャラを説明する肩書みたいなのが歌われるんですが、例えば♪ナターシャは自由 アンドレイを愛してる~♪とか、♪ソーニャはナターシャの従妹でいい子♪といった感じ。曲が進むにつれて、キャラクターの肩書がどんどん雑になっていったのは気のせいでしょうか。笑

 

トルストイの「戦争と平和」の一部分を切り取った演目と聞いていたため、お堅い感じなのかと思ったらもうそれが全くで、ノリノリなナンバーあり、笑えるシーンもありで、思ったよりもとっつきやすかったです。ボルコンスキー老公爵(武田真治さん、ちなみにアンドレイと二役こなしてました)とマリア(はいだしょうこさん)の、お客さんを巻き込んだシーンが面白すぎて涙出ましたw

 

あとナターシャを誘拐する前のどんちゃん騒ぎシーン楽しかったな…。

 

以下、メインキャスト2名の簡単な感想。

 

【ピエール:井上芳雄さん】

・もちろん以前から存じ上げておりましたが、舞台で観るのははじめまして!でした。初めての井上芳雄さんがこの演目で良かったのかどうかは今もって謎ですけど。

……だって1幕は舞台上にいるのにほっとんど歌わなかった…。コメットシートに座って隣のお客さんに絡んだり、お酒飲んだり、地味にマトリョーシカ取り出して磨いたり、真顔でタンバリン叩いたり、本読みながら真顔でエッグシェイカーふりふりしてて、「井上さん全然歌わないね!?!?」ってなりました。笑

 

・でも1幕終盤と2幕終盤にそれぞれあったビッグナンバーは圧巻の歌いっぷりで、それまで全然歌わないからこそ、ここぞという場面で力を発揮するのが良かったです。あとピエールの扮装がすごい似合ってました。丸メガネがのび太くんみたいで可愛かった〜!

 

 

【ナターシャ:生田絵梨花ちゃん】

・こちらも生舞台でははじめまして!のいくちゃん!!やっとこさ舞台での彼女の活躍を見られました。いや~~もう妖精か天使かいくちゃんかって感じで可愛かった…。ビジュアルが良すぎて、オペラグラスはほぼほぼ彼女を追い掛け回すのに使いました(誤解を招く表現)顔ちっちゃくて目がおっきくてお肌はほわほわしててほっぺたがふにふにしてて(触ってないけど絶対そうに決まってる…!)、手足長くて全体的に華奢。何を食べたらそうなれるんでしょうか…。

 

・歌は予想していた以上に良かったです(*あくまでも個人の感想ですが)例えばいくちゃんがソーニャ役を演じるってなったら、それはちょっと………違うやろ………ってなりそうですが、ナターシャは本当にぴったりでした。他のミュージカル俳優さんと比べると、どうしても声の太さが足りない気はするので、迫力ある声が必要なキャラは難しいと思いますが、しばらくは「ザ・お嬢様キャラ」を演じる役者さんとして定着しそうです。

 

・楽曲がどれも難しそうなうえに、ナターシャはほぼ出ずっぱりだったし、感情の波が激しい役なので演じるのが大変そうでした。アナトールとの駆け落ちを止めるソーニャに、歌いながら「大っ嫌い!」って言うシーンとか、すべてを失って空っぽになったような表情とか(めちゃめちゃ泣いてた)、意外とネガティブ方面の感情表現が上手でした。もちろんナターシャは、基本的には明るくて活発な子なので、にこにこ笑顔が多くて、それがほんっとうにかわいらしくて癒されました。

 

 

今までに観たことのないタイプの作品でした。楽しかった~♪