Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2018.9.14 ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」:Oh What a Show!!

 

*元のレポが7000字越えというボリューム。そぎ落としましたがかなりの長文になっております。

 

 

2016年に日本初演、大評判になっていた演目がこの年の秋再演となりました。

ちょうど海宝さんのことが気になり始めたと同時にこの作品を知り、宣伝動画を見て「これはぜひとも観てみたい…!」と思ったのですが、確かすでにチケットが完売していたような…。

 

そして初演観劇を諦めてから2年。

ずーーーーーーっと観てみたいと願ってきた「ジャージー・ボーイズ」を、ついに観ることができました!初演から再演までが案外早かったので良かったです。

 

初演がかなりの評判だったため、チケット確保が大変…と聞いていましたが、チームWHITE大千穐楽の神奈川公演含め、運良く3公演確保できました。あまり当たらないと噂のナ〇ザで初めて応募したら当たったのでびっくり。ビギナーズラックでしょうか…。

 

席も私としては珍しく良席で、1回目はセンターブロック前方列の上手通路側。客席降りがあると聞いていたので、観劇日までドキドキでした。

 

映画は予習で見ようと思ったのですが、AmazonBlu-rayを購入したものの見る時間がなく、結局そのまま観劇しました。ちなみにBW版サントラは購入済みだったため、楽曲はしっかり予習して挑みました。

 


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開演前、あまりにもわくわくしすぎて口から何か出そうになったりもしましたが(危険)、念願かなって観ることができました…!

やや期待値を高くしすぎたからか、観劇後は「あ、終わり?」と若干拍子抜けするような感じもありましたが、めちゃめちゃ楽しかったです。

 

とにかく歌!歌!!歌!!!で作り上げる作品なのかと思っていたのですが、意外とお芝居の要素も強めでした。あと演出とか舞台機構がよく考えられてたな~と。客席に強めの照明がガンガン当たりまくるのは正直勘弁してほしかったですが(強い光が苦手で目がしょぼしょぼするため…)

 

まずは全体を通しての感想。

 

 

・終演後まず思ったのは「BWサントラじゃなくて、映画を予習すべきだった」でした。この年は劇団四季の演目を多く見ていたため、NOT四季作品だといつも以上にセリフが聞き取りづらいことが判明。開口法は苦手な方もいらっしゃるんだと思いますが、多少大げさになったとしてもセリフがしっかり伝わる話し方が良いなと…。

 

ジャージー・ボーイズ」は、フォー・シーズンズを構成するメインの登場人物4人が、物語のパートを春夏秋冬に見立ててそれぞれのパートの物語を進行していきます。

フォー・シーズンズの始まりとなる「春」をトミーが。

フォー・シーズンズ全盛期の「夏」をボブが。

フォー・シーズンズ崩壊の「秋」をニックが。

そして、フォー・シーズンズ崩壊後からラストまでの「冬」を、フランキーが担当しています。

登場人物が客席に向かって流れをセリフで説明するような演出になっていたのですが、とにかく早口でした。そして次々と色んなシーンが出てくるため、話がちょっと追いづらかったです。例えばメインボーカルであるフランキーには、奥さんと娘さんがいるのですが、娘さんとのエピソードはかなり唐突に挿入されるため、気持ちが追いつかないままどんどんお話が進んでいきました。

 

また最後は年老いたフォー・シーズンズのメンバーが、仲直りするシーンもなくいきなり一緒に楽屋に集まっていたため、時間の経過は把握できましたが、あんなにものすごい喧嘩をしてたのにこんなあっさり集まる…?と、少々違和感はありました。

 

おそらく映画をあらかじめ見ておけば状況も把握できたのだと思いますが、舞台だけだとストーリーが頭に入りづらかったです。

 

・舞台上の上手袖と下手袖、それぞれに7台くらいテレビのモニターが積まれており、例えばフォー・シーズンズがTV番組で歌うシーンを、カメラマン役のアンサンブルさんが実際にカメラで撮影して、舞台袖のモニターに出演者たちが映る仕様になってました。こういう作品だからこそなのかもしれませんが、なかなか面白い演出でした。そのモニターには、各メンバーが時代背景を語るときに、説明となる映像だったり画像が映し出されるのもわかりやすかったです。

 

・あと舞台には盆(?)があって、4人が歌ってる時に回転して、歌を聴いてる観客役(アンサンブルさん)の顔がこちらから見えたりしていました。結構頻繁に回ってた印象です。

 

・開演10分前くらいから、アンサンブルさんたちが舞台上をうろうろするのも斬新でした。微妙にスモークがかかっててあんまりはっきりとは見えなかったけど、いろいろ準備してたような?

 

・客席降りは予想以上に多くて(あっても1、2回かなと思ってたので)、開始早々私の席のすぐ横の通路にスポットライトが当たり、トミー役の中河内さんが駆け抜けていったのにはびっくりでした。笑

下手側の通路からはフランキ―役の中川さんが登場したり、ボブ役の海宝さんも少しだけ客席降りがありました。あろうことか上手側通路だったうえに、6列目くらいまで来てくれて(ちなみに私は8列目)しかもそこでなんか喋ってて(記憶が飛んでどんなセリフ発してたか覚えてません)私の心臓…耐えてくれ…って感じでした。かっこいいのはともかく、異様なほどお肌がきれいだったのは覚えてます。スキンケア法を教えてほしい←(切実)

 

劇団四季演目と確実に違うのは、やっぱりアドリブの有無でしょうか。初見でも「あ、ここはきっとアドリブなんだろうなぁ」と思うシーンがところどころありました。ちなみに中川さんはかなり自由にお芝居するらしく、アドリブはしょっちゅうと聞いております。笑

 

・シアタークリエ自体も初めて足を運びましたが、とっても小さいハコでした。正直倍くらいのハコでやれば、もっとチケット取りやすくなりそうだよな~と思ったけど、この大きさだからこその舞台と客席の一体感があって、フォー・シーズンズの栄枯盛衰を、観客が見守るスタイルができてるのかなと思いました。あと客席で飲食OKなのも良かった!(もちろん観劇最中はダメですよ…!)開演直前にささっと飲み物だけ飲めたりするのはとてもありがたかったです。係員の方たちのホスピタリティも素敵でした。

 

ここからはキャスト別感想です。


【トミー・デヴィート:中河内雅貴さん】

 中河内トミーを見た私の第一印象。

「こりゃまたどえらい顔のいい人がいるもんだなぁ」

ピアスが似合う男性ってすごいなと、個人的に思ってるんですが、中河内トミーはむしろピアスつけてたほうが魅力倍増しますね!?

 

・正直喋り方はあんまり好きではなかったです…。田舎のヤンキーみたいなのは、そういう役だからいいと思うんですが、聞き取りづらかったのはお芝居としてどうなのかしら…と。ちょっと崩しすぎなのでしょうか。あと喋るときに舌打ちみたいな音を出すのも気になりました(特に前半)

 

・ダンスが超キレッキレで、他の3人がどちらかというと歌の人だったので、1人だけ振り付けが際立って見えました。むしろこの演目にはもったいないくらいの身体能力を持っていそうな…。基本動作に自分らしい動きも取り入れててかっこよかったです。(ものすごく後になってから、古川雄大さんと同じダンススクールに通っていたと知っていろいろ納得しました)

 

・あと客席にすごく目を配る人だなと感じました。勘違いじゃなきゃ何回か目が合った気が…(あまりの目力の強さに負けて速攻そらしたけど)

 

・トミーはキャラクター的にちょっと残念なのですが、なんとなーーく許しちゃおうかなって気になるのは、中河内さん自身が持ってる魅力があるからだと思いました。劇中の言動は完全に「*ただしイケメンにかぎる」だったもんな…。

 

・カーテンコールの♪Walk Like A Man♪で、完全にふざけまくった振り付けをしていたのが可愛かったです。笑

 

 

【ボブ・ゴーディオ:海宝直人さん】

 海宝ボブの♪Cry For Me♪すごすぎん?????

このシーンは完全に\リードボーカルは君だよ!!!!!!/(四季アラジンネタ)でした。私の葬式は海宝ボブの♪Cry For Me♪をBGMにして送り出してほしい。

 

・とにかく歌 が う ま す ぎ る ! ! ! ! !

生で歌を聴くたびにうまくなってる気がします。伸びしろが無限大でむしろ怖い。

 

・ボブはフランキー以外ではおそらく1番ソロ歌唱が多かったんですが、海宝ボブのソロもっと聴きたかったです。

 

・さすが四季作品に携わってるだけあって、ナチュラルなセリフ回しなのにはっきり聞きとれる滑舌のよさよ…。

 

・♪Sherry♪のメロディーをひらめいて、電話越しにボブ・クルーに聞かせてOKもらったあとの、「世界が爆発したぁぁぁ⤴!!!」の語尾が、海宝さん独特の声ひっくり返る感じになってて、あー海宝さんだなぁと思いました(小並感)ボブ可愛いよボブ。

 

・♪December, 1963 (Oh, What a Night)♪は(色んな意味で)名シーン。

 

・海宝ボブを見ていて面白いなと思ったのは、♪Cry For Me♪で初めて4人で歌う時が一番楽しそうで、そのあとヒットチャートを人前で4人で歌うところはあんまり楽しそうじゃない、というより至って真面目にお仕事をこなしているようなオーラを放っていたところ。

ボブは一番最後のモノローグシーンで、「僕にはスポットライトは似合わなかった」的なことを打ち明けます。ボブを演じている海宝さん自身があまりにもキラッキラしてるので、そこのセリフだけ切り取るとあまり納得できないんですが、劇中のボブを思い返してみると、裏方に徹したい思いが強いのかなと感じるシーンもあり、人前に出るのはあまり得意ではないのかなと感じました。

「自分自身が人を楽しませる」よりも「人を楽しませるパフォーマンスができるような曲を作る」のが向いていたんだろうな…。

 

・歌唱力を注目されがちですが、お芝居も上手ですよね…!ボブは色んな意味でフォー・シーズンズの異分子ですが、そのことがよくわかるお芝居をされていました。

例えばニュージャージー州出身の他の3人は、片足に重心をかけてポケットに手をつっこんで立つのがデフォルトですが、ボブだけはまっすぐ立って手は真横につけた「気をつけ」スタイル。でも時間が経つと3人に影響されてなのか、どんどん態度がでかくなっていってました。時間経過と共に変わっていくボブを、ちょっとした仕草で表現されていました。

 

・ボブというキャラクター自体、個人的には身近にいたら一番イラっとする気がしました(ただしチームBLUEの矢崎ボブはそんなことないそうなので、これも海宝さんの持ち味なのかな?と)偉大な才能とそれに伴う結果があるぶん、ド直球すぎる発言も周りが諫められない感じがありました。フランキーと裏協定を結ぶシーンや、フランキーにソロ活動を勧めるシーンでの自信たっぷりな感じとか。

極めつけはラスト、客席に向かって1人ずつ語るシーン。中河内トミーが「俺が!!!俺が!!!!!」って言うのは微笑ましく感じるのに、海宝ボブが「ああいったことはすべて起こらなかった…僕がいなければ♡」って言うと、ちょっとイラっとしてしまうのはなんででしょうね…。笑

 

 

【ニック・マッシ:福井晶一さん】

・深みのあるバリトンボイスで、フォー・シーズンズのハーモニーを支える屋台骨のような歌声を持つ福井ニック。彼が抜けた後のフォーシーズンズはハーモニー重視ではなく、あくまでもフランキー中心になっていて、それはそれで悪くなかったです。が、逆にニックの歌声の価値にそこで初めて気づきました。その時点で気づいても、物語としては時すでに遅しなのですが…。

 

・歌声と同じく、うまくいけばグループをしっかり支えるリーダーになりえたはず…。ニック自身も言ってましたが、2幕の語りパートまで彼はほとんど喋りません。ただただそこにいて、流れに身を任せています。

誰かを引っ張るのは得意じゃなかったのかもしれないけれど、ニックが普段からもう少し言いたいことを言って、自己主張してたらな…と思わずにはいられない展開でした。

 

・個人的にはニックが一番共感できるキャラでした。才能あふれるがゆえに我が強かったり、人の気持ちを無視した発言をするフランキーやボブ。いつまでも「ニュージャージーにいたころの俺」が抜けないおこちゃまなトミー。そんな3人に挟まれた平凡なニック。もし自分がニックだったらって考えると、あのメンツに囲まれるのを想像しただけで胃が痛くなります。笑

 

・たまりにたまったニックの不満が大爆発するシーン。理由が理由なだけにあほらしくも思えますが、10年もそれが続いたらさすがに嫌だろうな…。ニックは優しいので、フランキーやボブと代わってもらうことは考えず、「自分が我慢すれば」って思ってたんでしょう。切なすぎる…。

 

 

 

フランキー・ヴァリ中川晃教さん】

 ・初めて舞台上で拝見しましたが、あの声で歌って、意外としんどいフランキーの波乱万丈の人生を演じて、しかも日によってはそれを1日2回こなすって、それだけで中川さんが並の人間ではないのはよーーーくわかりました。

 

・歌声と歌い方がかなり独特なので、実を言うとすこーーーし苦手なんです(すみません…)特にアレンジきかせた歌い方は、ソロ歌唱なら良いなと思いますが、4人で歌ってる時だと1人だけテンポがずれたりするので、個人的にはうーーん…でした。

 

・お芝居はすごく良くて、16歳~晩年までのフランキーを、うまく演じ分けていました。16歳の頃は本当に少年のようで、トミーの後をちょこまかしてるのがかわいらしかったです。いつの間にかトミーとの立場が逆転してる感じも、非常に自然でした。

 

 

とにかく観られて良かった!1度観ただけで好きになれる演目でした♪