「火星に住むつもりかい?」:伊坂幸太郎
(あらすじ)
「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。
不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」ただ1人だった。
(感想)
中盤くらいまでは正直内容も、話のテンポもいまいちで、「こりゃ伊坂作品初の挫折かな…」と思っていたのですが、半分を過ぎた頃から突如めちゃくちゃ面白くなり、最後はページをめくる手が止まらなくなるレベル。読みながら電車乗ってたら、降りたかった駅を通過しておりました(実話)
登場人物が多いのと、各キャラクターの繋がりが少々分かりづらいかもしれません。でも中盤以降は本当に面白くなるので、それまで頑張って…!!読んでください…!!(今読んでる人へ)
善き行い・正義・偽善・善と悪などなどについて考えさせられるストーリーでした。
自分が正義と信じたことが、どこかの誰かを苦しめていたり、回り回って自分が苦しむ可能性もある。
正義の名の元に行われたことが、必ずしも良い結果につながるとは限らない。
自分が悪人と思っている人間だって、彼らはそれを「善き行い」「正義」と信じて行動してるかもしれないし、自分と同じように愛する家族や恋人がいるかもしれない。
「正義の味方」は、その肩書きがある限り、困っている人たちを片っ端から助けるべきなのか?
とりとめもないですが、読みながらこんなことを考えておりました。ふと立ち止まって考えたくなるようなテーマが、全体的に散りばめられていて、ただ楽しむのみではない小説だと感じました。
ちなみに「火星に住むつもりかい?」というセリフ。物語の中で2回使われていたけど、なるほど、そういう意味で使われるのね、と。
火星に逃げたくなるくらい、人間社会は時として生きづらいこともあるけど、飄々とかっこよく、明るく生きてゆきたいものです。