Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2018.2.15 劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」:私は理解ができない~♪

 

ジーザス・クライスト=スーパースター」初観劇。

 

事前にちょっとは調べておこうと、一体どんな作品なのか、Youtubeで稽古動画やPVを見てみましたが、正直よくわからず。大昔に海外でアマチュア劇団が上演していたのを観たらしい母に、どんな演目なのか聞いてみたところ、ジーザス役の俳優さんがイケメンだった」と。聞いた私がバカだった…!

 


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実際に自分の目で観て、初めて雰囲気をつかめる演目でした。仮に「どんなミュージカル?」って聞かれても、自分ではうまく説明できない気がする…。拷問を受けて虫の息のジーザスが磔にされるシーンで、あの世からユダが降臨して♪気を悪くしないでくれよ~♪とか腰くねくねしながらハイテンションで歌うし…。読んでも意味が分からないだろうけど、書いてる私も「あれはなんだったんだろう…」ってなってます。

 

でも不思議と「お…おもしろかったなぁ」ってにやにやしながら帰り道を歩いちゃうくらいには面白かったです(変人)理解はできなかったけど、作品が持つ味は好きでした。

 

日本ではどうかわからないですが、海外では公演があると、たまに敬虔なキリスト教徒からの抗議デモみたいなのがあるそう。確かに、信じて崇め奉ってる神様が「ただの人」扱いされてますし、当のジーザスも、あまりに自分本位な民衆に向かって「自分で治せ!!!!!!!」とか叫んじゃいますし。キリスト教に縁がない身としては、むしろ彼もただの人間だったんだって親近感(?)が湧くんですけど。

 

笑っちゃいけないと思いつつ、あまりにもシュールすぎる描写に笑いをこらえずにいられないシーンがいくつかありました。

民衆がジーザスを祭り上げるシーンで、♪手!を!振!る!の!が!!見!え!ます!かっ!?♪と、リズムに合わせて民衆にわっしょいされてるジーザスにふふっとなったり。

劇中何回かある、ジーザスの\ファーーーーーーーーーーーー/に凄みを感じつつ妙にツボったり。

ジーザスを裏切ってしまったユダが、ひたすら斜面をごろんごろん転げまわるのも、呆気にとられつつ笑いをこらえつつ見てました。思い出せば出すほど変わった作品であった…。でも熱狂的に愛されている理由も、よくわかりました。

 

観劇後に、購入したパンフレットを読んで、「あのシーンはそういうことだったのかー!」と納得する箇所が結構あったので、それなりに予習していった方が楽しめる作品だと思いました。

 

 

 以下印象に残ったキャスト別感想。

 

 

ジーザス・クライスト:清水大星さん】

惚れてまうやろーーーーーーーーーーー!!!!!

ノートルダムの鐘」のフィーバス役で拝見した時からぼんやり好きでしたが(ぼんやりとは)、劇団四季の男性俳優さんの中では、厂原さんに続く私の推し第2号になりました。おめでとうございます(祝)(?)

 

・今回は公演前にリハーサル見学という貴重な機会があったのですが、そのときに目が合った気がして(多分私の気のせい←)秒速でそらしたレベルで好きです(謎)

ちょっと眠たそうな表情されてるな…って眺めていたら、ふいに顔にかかった髪の毛をサッとかきあげた瞬間の色気が超新星並みに爆発しまくっていて、「ギャップーーーーーー」って(心の中で)叫びました。劇中もふとした表情に色気があってすごく素敵。フィーバスの時よりもシュッとしてて、ジーザス仕様のメイクもよく似合っててかっこよかったです!

 

・お稽古場での本読みの写真が出たときは「ユダ?」って噂されてましたが、確かに清水ユダも見たい…ユダ役の芝さんがその昔ジーザスも演じていらっしゃったそうなので全然アリですよね…!?「金なんて欲しくない!!!!!」って言いながら手に取っちゃうシーンとか、ジーザスを裏切る瞬間とか、清水ユダで見てみたいです。

 

・あとあの圧倒的歌唱力を前にしたら好きになっちゃいますよ…ひれ伏しますよ…。「CDかな??プログラミングされてるのかな??」ってくらい完璧でした。ジーザスという役特有のハイトーンやシャウトっぽいところは、まだまだきっと伸ばしていけるんだろうなとも思いましたが…。

特に♪ゲッセマネ♪は、MMSでのベン・フォスターさんの歌唱が最強すぎたのと、四季でいつもやってる演目とは違った声の出し方をしないと歌いこなせない曲なんだろうと思いました。でも清水さんならきっと回数重ねてめちゃくちゃ仕上げてくるんだと信じてる(ので2年後くらいにまた見たい)

 

・観劇前に「清水ジーザスは侍っぽい」って感想をちらほら拝見していましたが、個人的には菩薩とか仏像とかそんな印象を受けました。民衆に熱狂的にあがめられている時の、ぎりぎり微笑んでるようなそうでないようなアルカイックスマイルが印象的。岩の上に座禅組んで悟り開きそう。

 

・清水ジーザスは、ひょんなことから小さな奇跡を1つだけ起こして「神の子だ!!」と騒がれ、話がどんどん大きくなってしまい、群衆によって「神の子・ジーザス」が作り上げられて、本人も悪い気はしないし頑張ってみんなのアイドルでいようとするんだけど、あまりにも度を過ぎた熱狂ぶりと、自分のことしか考えてない群衆に嫌気がさしてしまう、とても人間くささを感じるジーザスでした(長い)

 

・あと民衆の熱狂の渦の中にいる清水ジーザスは、最初は自分を求める人々に応えようと優しく手を伸ばしてあげるんですが、だんだん怯えたような表情になっていくのが印象的。怒りというより恐怖が募った上での「自分で治せええええええ!!」でした。言っちゃったあとの(しまった…!)って表情も秀逸でした。心の内が顔によく出るので、本当に神の子ではなく人の子、1人の青年なんだなと。

 

・フィーバスの時にも思いましたが、清水さんは痛がる演技がとても上手。鞭打ちのシーンはあまりのリアルさに見てらいられませんでした。最初は平然としてるんですが、回数を重ねていくうちにどんどん苦悶の表情になっていく、痛いと感じるレベルみたいなものの上げ方が非常に真に迫っているように感じました。背中にいつのまにか鞭打ちの痛々しい跡がついてる演出にもびっくり。

 

というわけで、とてもデビュー2週間目とは思えないクオリティの清水ジーザスでした。カーテンコールの時の微笑みながらのお手振りは本当に菩薩のようでした。ジーザスではなかったかな…。笑

 

ちなみに「リトルマーメイド」シェフ・ルイ→「リトルマーメイド」エリック王子→「ノートルダムの鐘」フィーバスからの「ジーザス・クライスト=スーパースタージーザス。華麗なる転身を続ける清水さん。個人的にはジーニー役にいつか挑戦してみてほしいです。

 

 

イスカリオテのユダ芝清道さん】

・2017年は拝見する機会が多かった芝さん。ノートルダムで2回、ソンダンで1回。ユダ役は昔から演じられているようなので、もはやユダを演じるというよりもユダとして生きている気迫を感じました。

今回はジーザスとマリアが新キャストさんだったので、余計芝さんが引っ張って行ってる感じが強かったです。

 

・ただどうしても高音は出にくそうで、正直聴いていてハラハラしました。佐久間さんという後継者もできたことですし、落ち着いたらユダ役は引退されるのでしょうか…。あとジーザスが神永さんでも清水さんでも、年齢差がありすぎて、もはや我が子みたいになってしまうような…。パンフレットを読んだところ、一応ジーザスとユダは同世代らしいので、そういう意味でも佐久間さんにバトンタッチした方が良さそうと思いました。

 

・ユダの自殺シーン、一応史実(?)では首をつって亡くなるそうですが、まるで裏切りへの罰かのように、地面に飲み込まれていくのが衝撃的でした。歌も演技もとにかく迫真すぎて唖然としながら見てしまいました。「マイガッ!」って叫びながら床をごろごろ転がる芝ユダ…。

 

・一転して、♪スーパースター♪では吹っ切れた表情で心底楽しそうに歌っていて、その後ろで十字架を背負って歩く清水ジーザスの悲惨さが際立ってました。しかし自分が死にそうなときにあんなに楽しそうに歌われたら、私がジーザスならあの世でユダをぼこぼこにしてしまいそう(器の小さいジーザス←)

 

・カーテンコール、お1人だけ超絶楽しそうすぎて爆笑でした。あれだけ歌ってるのに一番元気そうでしたし。一度舞台袖にはけるときに、マリオジャンプみたいなのしてたの見えてましたよ芝さん。笑

 

 

マグダラのマリア:谷原志音さん】

・2013年12月末の「リトルマーメイド」以来の谷原さん…!まさかこの作品に出演されるとは思っていなくて、稽古場での写真が公開されたときにびっくりしました。

 

マグダラのマリアは一応娼婦の設定ですが、あんまりそういう雰囲気は感じなかったかな?ただあの可憐さに、男性なら(たとえ神の子ジーザスであろうとも)夢中になって、中には彼女のせいで堕落する人もいるだろうなとは思いました。

 

・歌は言わずもがな素晴らしく、安定感抜群でした。「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ役でも見てみたいです。

 

・リハーサル見学の時に、私が座ってる側にいらっしゃることが多かったんですが、本当にかわいらしかったです!!小柄で肌が白くて目がくりっとしてて、舞台に出てくるだけでその場がぱっと明るくなってました。歌の上手さもそうですが、あのオーラは持って生まれたものなんだろうな…。

 

 

【その他印象に残ったこと】

・この日は「オペラ座の怪人」のファントム役が3人もいらっしゃいました。高井さんと村さんはさすがベテラン組といった風情でした。高井さんのあの低音美ボイスはすごい。実は歌詞があまり聴きとれなかったのですが…。村さんは歌も良かったですが、「本当にジーザスを殺していいのか」と葛藤する心がすごく伝わってきました。

 

ヘロデ王のシーン、なんじゃありゃ。笑

登場した瞬間の(お前誰やねん…)な会場の空気に爆笑でした。身1つで何も持たないジーザスとの対比で、欲まみれな男ってことにしたいのかもしれませんが、あのゴテゴテぶりにはちょっと引いた…笑

 

・MVPはアンサンブルの皆様。あの集団でのうごめきは恐怖でしかないです。

 

・リハーサル見学会は、受付開始1時間半前に行ったらまさかの最前列でした。そして事前に書いた質問を、質問コーナー開始早々、真っ先に読まれるという衝撃の展開に。

ジーザスに熱狂する群衆のように、今何か熱狂しているものがありますか?」という質問を書いたところ、司会の佐藤さんが「じゃあ劇中で一番熱狂してる大森くん!」ってシモン役の大森さんに応えてもらおうとしてましたが、「え…熱狂してること、ないです…」ってなってしまい、

佐藤さん「じゃあ熱狂的に好きな食べ物!」

大森さん「…………餃子…」

で終わってました。笑

答えにくい質問してしまって申し訳なかった…でもすごくうれしかったです!!初のリハ見だったけどかなり満足でした。