Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2017.03.18 劇団四季「ノートルダムの鐘」:天井席から見下ろす愛憎劇

 

3回目の「ノートルダムの鐘」観劇。

 


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見てみたかった田中カジモドと芝フロローの回を、初めてのバルコニー席で確保できました。 

 

3回目ともなるとさすがにちょっとは冷静に見られましたが、おかげで新しい発見がたくさんありました。相変わらず♪いつか♪でエスメラルダが泣き崩れるシーンでは号泣しましたが…。あれは100回見て100回とも泣ける自信がある(謎)

 

以下、キャスト別感想。

 

【カジモド:田中彰孝さん】

・恐らくシンバ役で培ったであろう陽の部分を存分に生かした田中カジモド。とにかく明るくて、隙あらば♪しーんぱーいなーいさー!!!!!!!!♪って歌いだしそうでした。エスメラルダに出会わなかったら、たとえ一生外に出られなくてもフロローと仲良く楽しく生きていけそう。

 

・そんな田中カジモドなので、フロローへの忠誠心は、最後にフロローがエスメラルダに手を下すところまでは、かなり盲目的なレベルであったのでは…と感じました。服従することに何の疑問も持っていないような…。なのでラストは「フロローに裏切られた」ことからあの行動に走った印象でした。

 

・歌は(当たり前ですが)上手いなんてもんじゃないレベルの素晴らしさ。ですが、個人的にあんまり好みの声質でなく…どこか押さえつけたような声の出し方をされる部分もあって、やや気になりました。

 

・お芝居的にも、障害を抱えているというのをあまり感じさせないようなある種の身軽さがあって、海宝カジモドと随分違った印象を受けました。

 

・印象的だったシーンは、♪世界の頂上で♪の冒頭。

エスメラルダが歌ってる時に、彼女のことをじーーーっと嬉しそうに見つめている姿が、年上のお姉さんに恋した少年みたいでとてもかわいらしかったです。

  

 

エスメラルダ:岡村美南さん】

・初めて観たときは、特に踊りの部分が美しすぎて、言い方が悪いですが、お上品すぎてジプシーのしたたかさとかが無い気がしましたが、2か月ぶりに見たらちょっと大胆になってました…!表情も、伏し目がちな時や流し目を使ったりする時に色っぽさを感じました。でもダイナミックさは、個人的には宮田エスメが好みです。

 

・歌に関しては岡村エスメが好み。ぶれないし、力強いし、観ている方の心にしっかり響く気がします。

 

・♪タンバリンのリズム♪でフロローにロックオンしてるところは、いっそのこと私がフロローになりたかった…。けど、フロローじゃなくてカジモドかフィーバスになった方が優しくしてもらえるかしら…。笑

 

・♪酒場の歌♪でのフィーバスとのキスシーンは、ふと某お昼の番組の特集でのやり取りを思い出してちょっと笑ってしまいました…。

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(「キスシーンは本当にしてるんですか?」とのアナウンサーからの質問に対して)

岡村さん「してますよ~。ね!」(と隣にいる清水さんへ)

清水さん(こくこくうなずく)

岡村さん「でも稽古始まって最初の2、3週間はキスしないでって言われるんですよ~あれなんでだろうね?」(と今度は飯田さんへ)

飯田さん「あー確かに言われるね!なんでだろうね~」

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わりとデリケートな質問にあっけらかんと答える岡村さんと、何もしゃべらずにこにこする清水さんと、突如話をふられる飯田さん。笑

ちなみにパンフを見たら、明らかに♪酒場の歌♪のキスシーン…のはずなのに、確かにただ抱きしめあってる稽古写真があって、あの話はこれかー!!!ってなりました。

 

・北米版のメイキングかインタビューの動画で、北米版エスメラルダを演じている俳優さんが、「エスメラルダのメイクは、話が進むにつれてどんどん薄くなっていくのよ。だってメイクしてるような状況じゃなくなっていくじゃない」って言ってて、それが四季版にもあるのかなーってよくよく見てみました。アイメイクはさほど変わってない気がしたけど、リップの色はどんどん薄くなっていってましたね。話の流れ的に当たり前っちゃ当たり前なんだけど、細かいなぁ。

 

・人を殺してしまう役も大変そうですが、死んじゃう役っていうのもなかなか…。演技とはいえ、映画やドラマではないので、その役についている間はほぼ毎日疑似的に死ぬんですよね…。メンタル強くないとできないよなぁ…と、カーテンコールでにこにこしている岡村さんを見ながらしみじみ思ってしまいました。

 

 

【フロロー:芝清道さん】

・岡村エスメと宮田エスメが全然違っているように、芝フロローも野中フロローとはアプローチの仕方がまるで違っていて、すっっっごく面白かったです。

 

・とにかく超絶いい声。野中フロローも素敵でしたが、重厚さという点では芝フロローでしょうか。特に♪地獄の炎♪は劇場が焼き尽くされるんじゃないかと思うくらいの迫力でした。

 

・そして芝フロローは、見た通り優しかったです。野中フロローみたいに血も涙もない淡々とした感じではなく、カジモドに対しても、エスメラルダに対しても、確かに愛はありました。カジモドに対しては本当の父のように接している感じもあったので、より2人が血縁関係にあることを感じられたし、エスメに対しても(拒絶される前は)優しい神父様でしたし。でも愛があっても愛し方が完全に間違ってるパターンという、また違った恐ろしさがありました。

 

・優しそうで物腰もやわらかいんですが、ちらほらと欲の影が見え隠れするような、そんなフロローでした。あと激情型っていうのかな?感情が表に表れやすいキャラクターで、映画版フロローに近い気がしました。

 

・面白いな~と感じたシーン。エスメラルダに「そんな目で見るなんて」と言われて激昂する芝フロロー。見ている限りではそのあと、カジモドが「あの人(エスメ)はぼくにやさしくしてくれました」って言うところが怒りのピークでした。(…………な ん だ っ て …?)という芝フロローの心の声が聞こえた気がしました。清廉潔白に正しい道を生きてきた自分はエスメに拒絶され、自分が背負っている罪深い十字架(カジモド)は彼女に優しくされた、という、その事実を受け入れられず、カジモドに嫉妬しているかのような印象を受けました。

 

・芝フロローは唯一、演技中でもバルコニー席まで目線をくれていました。で、私はこの回、バルコニー席最前ど真ん中だったため、♪地獄の炎♪を歌うフロローと、ところどころ完全に目線合ってました。この年一番のホラー体験でした。怖すぎてちょっと泣いた。

 

・ところで歌の内容はさておき、♪地獄の炎♪はあれだけのクワイヤをバックに、1人でど真ん中で歌うのはさぞかし気持ちが良さそうに見えました。ストレス発散になりそう。

 

 

 

【フィーバス:清水大星さん】

・おめでとうございます、今回のMVPです(勝手に表彰)

 

・まず大変失礼ながら、あんなにかっこよかったっけ??と。非常に精悍な顔つきになっていたのと、多分髪の毛ちょっと切りましたよね??

 

・実は前回観劇したときは、イントネーションがやや気になっていたのですが、この日はまったくもって気になりませんでした。韓国出身の方にとってフィーバスって発音しにくいらしいと聞いたので、「頑張ったんだなあ…」と勝手に感慨深くなってしまった…。

 

・♪息抜き♪のトラウマパート、佐久間フィーバスはがたがた震えてましたが、清水フィーバスはキリっと前を見据えてトラウマにのまれそうな気配もなく、あの声量と美声で完全にトラウマ払拭してそうでした。

 

エスメラルダに「そうして(=フロローのものになる)でも生きるんだ」といったニュアンスのセリフがすごく印象に残りました。トラウマ払拭してるオーラ満載の清水フィーバスですが、戦場で多くの仲間の死を見てきたんだっていうのが、このセリフで「生きてさえいれば何とかなるんだから…」という切実な想いがちゃんと伝わってきました。

 

・♪フィナーレ♪のソロは♪「よ!!!待ってました!!!」って拍手したかったし、なんならスタンディングオベーションしてました(心の中で)あのパート、目覚ましにしたらすごくやる気のみなぎる朝が迎えられそう…。

 

・ところで清水さんののエリック王子(リトルマーメイド)が気になりすぎます。観劇した方の感想をググってみたら、「王子というよりこれから戦いに行くぞ!って顔してました」って感想見て、笑いすぎてお腹痛いです(超失礼)

初演から数えて4人目くらいのエリックらしいので、もしかするとエリックのキャラクターが王子→海の男になっていったのは彼がきっかけなのかもしれない…。ていうかエリックの前、シェフ・ルイやってたんですよね。もはやそのよく分からない華麗なる転身にも笑ってしまう…。

  

 

どうでもいいですが、カラオケに楽曲が入ってたら1人ノートルダムやってみたいというひそかな野望を持っています…!!