Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

「特別ファンってわけじゃなかったけど」という枕詞


ブログはじめたばかりでこういう記事を書くのはどうかと思うけど、2016年の「キンキーブーツ」の感想を書く前に、どうしてもこのことは触れてから書きたかったので。

 

 

 

 


今年7月18日の昼下がり。

この日は、3月末に「アナスタシア」を観劇して以来、4ヶ月ぶりの観劇再開日でした。

観劇再開記念作品として選んだのは、大好きな劇団四季の「アラジン」。

終演後、満足度120%で劇場を出て、感想をTwitterに投げようとスマホの電源を入れた途端、何人かの友人からメッセージを次々と受信しました。

 

 

みんな一様に「三浦春馬が…」と。

 

 

「何が起きたか」を誰も書いていなかったため、私は全くもって意味が分からず、友人たちには「えー?なになにどーしたの?」と返信して、「誰か有名な女優さんと電撃結婚でもしたのかな?」くらいの気持ちでTwitterを開きました。

 

 

真っ先に目に飛び込んできたのは、

三浦春馬さんが、自ら命を断ったニュースでした。

 

 

何度読んでも頭に入ってこないそのニュースは、Twitterに溢れんばかりに流れてきました。
正直「いやいや待ってそんなことある?悪質なデマじゃない?」と疑う気持ちが圧倒的に強く、信じられない気持ちの方が大きかったです。


徐々に詳細が分かり、事実なんだと実感するうちに泣けてきてしまい、電車の中だったので我慢しましたが、帰宅するやいなや自室で涙が止まらなくなりました。

 


「特にファンじゃなかったけど」
「すごく好きってわけでもなかったけど」

 


彼の訃報を知った多くの人が、SNSでこの言葉とともに驚きと悲しみを表していた……ような気がします。

そして私自身、彼は「特に熱心に応援していた俳優さん」ではありませんでした。


誕生日が同じ4月5日、ほぼ同世代ということもあり、「こんな素敵な俳優さんと同じ誕生日なのは嬉しいなぁ」くらいの認識でした。


出演されているドラマ・映画は数えるほどしか観たことがありません。そして映像作品で彼がどんな演技をしていたかの印象も、本当に申し訳ないのですが正直ほとんどありません。


舞台も「キンキーブーツ」3回と、今年3月に「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド」を、幸運にも1回観劇したのみ。


「キンキーブーツ」での演技は本当に大好きで、再演は完全に「また彼のローラに会いたい!」という理由で観に行きましたが、他の舞台出演作で、「彼が出ているから」という理由で見た作品はありませんでした。
 


だけど、この世からいなくなってしまったと聞いたとき、自分が思った以上の喪失感を味わいました。身内でもなんでもないのに、心に突然大きな穴が空いた気持ちになりました。

 


悲しさでのどがつかえて、うまく息が吸えなくて苦しくなる、そんな気持ち。

 

 

訃報を知ったあと1週間は、
お風呂に入ったときにふと思い出しては泣き、
トイレに入ったときにふと思い出しては泣き、
布団に入ったときにふと思い出しては泣きました。


そしてSNS上で、「彼のファンではなかったけど」と、どこか言い訳のようにも聞こえてしまう枕詞をつけてから彼の死を悼む人たちを見て、もしかしたら私のように「亡くなってはじめて、その人がかけがえのない存在だったと気づいた人」が世間にはたくさんいるのかもな、と思いました。


特別熱心なファンじゃなかったけど
あなたのことが好きだったよ、応援してたよ、
と言いたかった人たちが。

 


「あなたが演じる『キンキーブーツ』のローラが大好きだよ!!」
って、生きている間にもっとたくさん言えば良かったな。
たとえ本人に直接届くことがなかったとしても。

 


自分が「素敵だな」と思えるパフォーマンスを見せてくれる方々には、素直に「好きだ!!」と大きな声で言いたいです。

 


二度と後悔したくないから。

 

 

 

ご冥福をお祈りします。