Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.8.6 ミュージカル「王家の紋章」ソワレ公演:史上稀にみる珍作…?

2016年初演、1年後に早くも再演、そして2021年にキャストを変えて再再演となった「王家の紋章」。

 

今回の再再演のお知らせを聞くまで、全く知らないマンガだったのですが、現在も連載が続いている作品だそうです。

 

近年はマンガやアニメを舞台化した「2.5次元ミュージカル」が1つのジャンルとして成立していますが、今作に出演しているのは普段はグランドミュージカルに出ている方がほとんど。一体どんな作品になっているのやら…と不安半分・期待半分でした。

 

(初演、再演の評判を見た限りでは、不安の方が大きかったです。正直なところ)

 


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今回は推し俳優である海宝さんが、メンフィス役として出演されるということだったので、海宝さんの初日公演に足を運びました。

 

*以下、全く褒めていない個人的感情爆発の感想が並んでおります。

この作品のファンの方はここでお別れです!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終演後。

うーーーーーーーーん。これは一体(真顔)

 

全然期待してなかったんですけど、まさかこれほどまでに面白くな(以下略)正直観ているのが苦痛なシーンもあり、「早く終わらないかな…」と思ってしまったくらいでした。なんでこれ再演できてるんだろう…?原作ファンにはたまらない再現度なのでしょうかね…。(この状況ですし、海外スタッフがいなくとも上演できるのもいいんでしょうけど…)

 

今まで観たミュージカルの中だと、「プリシラ」「ダンス・オブ・ヴァンパイア」が私の中ではワースト2作なんですが、正直この時点では、この作品もワースト候補に入れたいくらいでした…。

 

全体的にものすごくだらだらと進むお話で、楽曲も「これぞ…!」というものがなく(リーヴァイさん手抜きしました………?)、観劇中久々に「虚無」を感じました。

 

これだったらあのぶっ飛び作品だった「INSPIRE 陰陽師」の方がよほど面白かったような…(小声)

 

あとこれは非常に書きにくいのですが、少なくとも初日公演を観た感じでは、海宝さんのメンフィス役は完全にミスキャストではないかな…と思ってしまいました。

 

メンフィスは、浦井さんのように、ある種のナルシシズムを持って振り切ったお芝居ができないと、全く面白みのないキャラクターになってしまう気がします。もちろん浦井さんとある程度差別化を図るための役作りでもあると思うんですが、海宝さんが持つ色や個性が、メンフィスというキャラクターを体現するのにあまりうまく作用してなかったなと感じました。

 

開幕前のインタビューをいくつか読んだときに、海宝さんは「ファラオであるメンフィスは別に悪い人というわけではなく、その当時ではそうふるまうのが当たり前だったから、ということを意識したい」といったニュアンスのことをお話されていて、歴史的観点からの役作りをしようとしてる印象でした。

 

ただこの作品は「少女マンガ」なので、「歴史がこうだったから」という視点でやってしまうと、リアルに寄りすぎてしまうんだと思います。もっとキャラクターとしてデフォルメした方が面白くなりそうなのにな…と思ってしまいました(超上から目線の感想ですみません…)

 

ちなみに全体的に歌唱は良かったので、なんとか皆さんの歌を楽しもうと、その一心で観ていました。

 

この時点で手持ちのチケットが3枚あった私は、やや暗澹たる気持ちで帝国劇場を後にしたのでした(とほほ)

2021.7.25 ミュージカル「レ・ミゼラブル」ソワレ公演:愛溢れる東京公演前楽

2021年ラストのレミゼは、なんと帝劇公演の前楽日でした。

 

申し込んだ時点で、前楽であることに全く気づかず、生田エポと熊谷コゼットが共演する回を、自分のスケジュールに合う日程で観たいということで確保しました(よく取れたな…)

 

それにしても今期は結局4回も観ちゃったレミゼ。私の中では「普通に好き」レベルの作品ですが、何度観ても良い作品であることは変わらないなと、改めて思いました。

 

今回はなぜかわからないんですが、「あ、レミゼってめちゃくちゃ愛に溢れた作品なんだ」っていうのをひしひしと実感する回でした。これまで観てきて、そんなことにも気づかない私がどうかしてると思うんですけど!

 

愛を感じたシーンとしては2つ。

 

1つは、テナルディエたちがバルジャン宅に盗みに入ろうとするのを、エポニーヌが体を張って食い止める場面。「エポニーヌはバルジャンとコゼットの住む家に危害を加えさせないことで、マリウスを悲しませないようにしてるんだろうな」という、そのシーンの意味やエポニーヌの気持ち・意図はしっかりわかってた、はずなんです。

 

でも、たった1人で相手にできるような人数じゃないにもかかわらず、自分の身の危険を顧みずにとっさに悲鳴を上げてまで対抗しようとするエポニーヌを見て、そのあまりにも深すぎるマリウスへの愛にじーんときてしまいました。

 

2つ目はバリケードで撃たれたマリウスを、バルジャンが下水道に引っ張っていくシーン。このシーンも、バルジャンがマリウスを助けるのはコゼットのためで、それは重々わかってたつもりです。

 

でもバルジャンがマリウスを助けるシーンなのに、背景にくっきりとコゼットの姿が浮かんだのは今回が初めてでした。佐藤バルジャンは、基本的に非常に温厚でやさしい人物ですが、コゼットを傷つける人・言葉・環境には人一倍敏感、かつ大きな怒りを抱く人なんだなというのが随所に表れていて、四六時中コゼットのことを考えていそうな感じだったので、そのあふれ出すコゼットへの愛情を、なぜかこのシーンでものすごく感じました。

 

そしてコゼットとマリウスは、いろいろな人の深い愛情にくるまれた者同士で、たくさんの犠牲の上に成り立っているカップルであることも実感しました。もちろんこれからの2人は幸せになれるんだとは思いますが、いろんな人の想いを背負って生きていくのは、なかなか大変そうだなとも思ったり。

 


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以下、キャスト別感想です。

 

ジャン・バルジャン佐藤隆紀さん】

2019年公演で1度だけ観たのですが、おそらく佐藤さんの喉の調子があまり良くない時期で、正直「これは…」と思う部分がたくさんありました。そしてご本人もそのことをすごく悔やんでたようで、並々ならぬ想いで2021年版に挑んだようです。

(ご本人のTwitterで何となく察しました)

 

私が今期3回も吉原バルジャンを観てしまったので、比較してしまうとやはりパワー不足は否めない気がしたのと、ハイトーンがばしっと出る感じもなかったです。

(♪逃ーげ↑ーーーた↑ーーーー♪は結構中途半端な音程になってたのと、♪にーよんろくごーさ↑↑↑ん♪もぎりぎり出てるっぽかったので)

 

でもセリフを話すように歌うので、レミゼを見てて初めて「ストレートプレイっぽい」と感じました。もちろん朗々と歌う場面もありますが、そういったところよりもふと口をついて出てくるつぶやきのような歌が印象的でした。

 

冒頭~司教様との出会いまでは、2019年版の吉原バルジャンが乗り移ったんか!?ってくらい荒々しく、こんな佐藤さん初めて観たなと感じました。野性味と、ただただ怒りだけが原動力となって動くバルジャン。

 

その荒々しいキャラをベースに残しつつ、司教様→ファンテーヌ→コゼットと、バルジャンにとってターニングポイントになる人たちに出会い、角が取れて丸く穏やかになる感じでした。

 

面白いなと思ったのは、コゼットを引き取るシーンで、テナルディエ夫妻に対してあからさまな侮蔑と怒りの感情を出していたこと。あと終盤、バルジャンがコゼットをマリウスに託す場面で、マリウスの手を強めに握って、なかば叫ぶように「頼むよ!!」と言っていたこと。やさしさの中にたまに見せる鋭い顔や声が良かったです。

 

「佐藤バルジャンならでは…!」と思ったのは、♪対決♪で最後にジャベールを思いっきり殴るシーン。佐藤バルジャンは殴ったあとに、自分のこぶしをハッとした表情で見つめて「…勢いで殴っちゃった…やっちゃった…」みたいな顔するのがかわいかったです。笑

 

個人的には、歌としての満足度を追求するならやっぱり吉原バルジャンかな…。物語をメインに楽しむなら佐藤バルジャンかもしれません。福井バルジャンは今期見られてないので、どうだったのか気になるところです。

 

【ジャベール:川口竜也さん】

とにかく歌声が良き…!!!!!本当にいつ聴いても素晴らしい声をしていらっしゃいます。キャラクターとしては、やっぱり「自らがんじがらめになりに行って破滅する」って感じが、2019年版の時と印象があまり変わらなかったです。

 

ちなみに2019年公演では、演出家の方針で佐藤バルジャンとは1回も組めなかったそうです。というのも、その年に初めてバルジャンを担当することになった佐藤さんと、何度もジャベールを演じている川口さんの、実年齢の差やこれまでのキャリアの違いから、2人が組むとすごくアンバランスなんじゃないかという危惧があったそう。確かに2019年の時の佐藤バルジャンを思い起こしてみると、何となくその方針にした理由がわかる気がします。

 

今回の川口ジャベールで印象的だったのは、バルジャンと最後に対峙するシーン。「ジャベールがバルジャンを最後に見逃したのは、バルジャンが瀕死のマリウスを背負ってたから」というのが、とても強く感じられるお芝居でした。

 

バルジャンがマリウスをジャベールに見せるまでは、ジャベールはバルジャンを捕まえる気満々ですし、むしろ殺意すら感じたんですが、瀕死のマリウスを見た瞬間、目に見えて動揺していて、彼が直前に見たであろう学生たちの死体、そしてガブローシュの亡骸がフラッシュバックしたんだな、と思いました。

 

「バルジャンを捕まえる」という自分の使命よりも、名もなき学生1人の命を優先したジャベール。ただジャベールは、1幕ラストで♪摘み取れ学生 どうせ死ぬのだ♪と歌ってるくらいなので、もともとは治安を乱す学生たちのことはよく思ってなかったはず。それなのにいざ「今にも消えゆく命」を目の前にしたら、そちらを助ける選択をしていました。最後の最後で、自分が貫いてきた正義を、やさしさ(ジャベールから言えば弱さかもしれないですが)で裏切る形になってしまった。そのことがいたたまれなくて、自らの命を投げ出してしまったように感じました。

 

胸をドンドンたたく仕草って、伊礼ジャベの専売特許なのかと思ってたんですけど、今回はバルジャンwith死にかけてるマリウスと対峙するシーンで、川口ジャベールも胸をドンドンとたたいて、必死に自分を律してる印象を受けました。

 

個人的にジャベールって1番わけわかんないキャラクターだなとずーーーーっと思ってたんですが、同じキャラクターなのに演じる役者さんによって微妙に背負ってる背景が違っている風に感じるので、実は1番興味深いキャラクターなんだなと、2021年版でやっとわかった気がします。

(そしてやっぱり海宝さんにはジャベールを演じてほしいなぁ…)

 

【ファンテーヌ:和音美桜さん】

和音ファンテーヌの良さは、歌ってる間にほんの少し声色を変えることで、オペラグラスで表情を見なくとも感情の揺れがはっきり伝わることだと思っています。二宮愛さんのファンテーヌも、最期の場面でそれがすごくうまかった記憶があるんですが、和音ファンテーヌは登場から最期まで「芝居歌」になっていて感情を揺さぶられます。

 

上手に歌いながら声でも芝居するって、本当にすごく大変だと思いますし、どっちもやろうとするとどっちつかずになることが多くなりそうですが、技術と表現力のバランスがしっかりとれてる印象でした。

 

そして観ている間、まったくもってナンネールお姉ちゃん(モーツァルト!)の面影がなかったのもすごい。もちろん衣装やメイクが違いますし、境遇も全く異なるキャラクターなので当たり前かもしれないですが、それでも出してる声質が全然違ってたもんなぁ。ファンテーヌは現時点では和音さんが1番好きです。

 

【コゼット:熊谷彩春ちゃん

愛らしさナンバーワンな熊谷コゼット。生来の育ちの良さがそのまま役として表れています。特に佐藤バルジャンとの(血はつながっていないけれど)「親子感」はかなり出ていて、相性が良いなと思いました。言い方が悪いですが、コゼットにちょっと執着しているような感じを受ける佐藤バルジャンが育てたら、どこか浮世離れしたふわっとした熊谷コゼットが育つのは必然だなと。

 

春ちゃんはこのまましばらくお嬢様系キャラでいくのでしょうか。いつか全然違ったキャラでも見てみたいです。あと「アナスタシア」のアーニャ役でぜひ…!絶対似合うと思う…!

 

【マリウス:内藤大希さん】

3期目とは思えないレベルのなよなよっぷり。私が仮にバルジャンだったら、意地でも天に召されずコゼットを守り抜こうとするだろうな…と思うくらい「こいつにコゼットは渡せん…!」と思ってしまうマリウスでした。笑

 

革命に参加したらむしろ足手まといになりそうでしたが、コゼットのことを話すときは異様に目がぎらぎらして見えたので、明らかに「革命<恋愛」なマリウス(マリウスとしては大正解)

 

歌は今期3人の中では一番安定してたように聴こえましたが、今年はじめに観た「パレード」の時の方が上手だった印象です。ただ♪カフェソング♪は彼の歌い方が一番好きでした。あの曲は、自分だけが生き残ってしまった申し訳なさもありますが、一番は仲間たちを失った悲しみが大きいはず。内藤マリウスは、その悲しみを最大限に伝えようとする歌い方だったと思います。

 

【エポニーヌ:生田絵梨花ちゃん】

前回観たときの「無理やりスレた感じを出そうとしてる」というのは幾分なくなったかなと…自然体で演じられていたと思います。いくちゃんが自然に声を出すと、多分コゼットになっちゃうんですけど、そちらの方がよほど聴きやすかったですし、そもそもキャラや出してる声のキーが変わってるので、そのまま素直に出したら良いのにな…と思ってます。声も表情も、もっと感情を乗せてほしいな。エポニーヌを経たいくちゃんコンスタンツェも観てみたいです。

 

【アンジョルラス:小野田龍之介さん】

小野田アンジョは、給仕バイトがとにかく面白すぎて、最終的にその印象のまま終わってしまいました…w

 

お盆に乗せたシャンパングラスを倒し、お盆をシャンパンまみれにしてしまう

→自分の服にかかったシャンパンを他の給仕さんに拭いてもらう

→お盆にぶちまけたシャンパンをそのまま飲む

→さらにオードブルの大皿を持って、オードブルの1つを手に掴み、マダムテナをしつこく追い回す

→テナが落とした銀皿をハンドルみたいにして遊ぶ

→最後は謎のダンスをひとしきり踊って去っていく。

 

笑ってはいけないレ・ミゼラブル2021(めちゃくちゃ笑った)

 

【テナルディエ夫妻:駒田一さん・谷口ゆうなさん】

テナルディエを歌で選ぶなら、駒田さんかな~と、今回観て感じました。六角テナも観たかった…!谷口さんは、普通にお話するとものすごくかわいらしい方でびっくり(カテコ挨拶で素のしゃべりを初めて聞きました)

 

 

さてさて、2023年(予定)のレミゼはどんなキャスティングになるのでしょうか。

バルジャンはそろそろ吉原さん・福井さんのどちらかが抜けそうな気がしてます。ジャベールは多分そのまま、ファンテーヌは知念さん・二宮さんあたりは抜けるのでは…。濱めぐさんも続投しなさそうです。エポはふうかちゃんが抜けるかな~それとも今期と同じ3人でもう1回あるかな…。マリウスは内藤さんが抜けて新キャスト入ると思いますし、コゼットも彩春ちゃん3期目はなさそうです。アンジョは相葉さん・小野田さんが抜けそうですが、木内さんは今期からなので、小野田さんはそのままの可能性も…?テナルディエ夫妻は今期新しく2人入りましたし、あまり変わりなさそう。

 

海宝さんがカムバックするなら、4年後か6年後かな~(遠い目)

ドラマ「おかえりモネ」:もう苦しまないで笑おう

www2.nhk.or.jp

 

書こうと思っててすっかり忘れてました。すでに「カムカムエヴリバディ」が始まって2週目に突入しておりますが、今さらながら「おかえりモネ」の感想を簡単に記録しておきます。

 

私にとってはこれが2作目の朝ドラ。2020年に見ていた「エール」は、やたらドタバタ劇な感じでしたが、物語としてはメリハリがあったように思います。

 

対する「おかえりモネ」は、かなりスローテンポなお話。そしてみんなが内面で苦しんでいたり、自分の抱えている苦しみが大きすぎるあまり身近な人(主にモネちゃん)に当たったりと、人物の描写がリアルかつハードな部分がありました。

 

また東日本大震災がテーマの1つであり、かつて「あまちゃん」でも同テーマを扱ったそうですが、やはりちょっと取り入れるのが難しいのではないかな…と思う部分も多々ありました。

 

なので、総合的に見ると私は「エール」の方が好きです。

 

「おかえりモネ」で好きだったのは、主人公・モネと菅波先生の関係性。SNSでは「俺たちの菅波」なんていうハッシュタグが作られ、2人の関係性に大いに盛り上がっていました。笑

 

「どちらかがどちらかを支える」というのではなく、それぞれの意志をしっかり尊重し合って、自分の道を突き進みながら、その中で悩んだり壁にぶつかったりしたら心置きなく相談できる。そして相談された方は、ただ慰めるだけではなく、時には少し冷たいんじゃなかろうか?というくらい、突き放した答えを投げたりする。

 

モネちゃんと菅波先生の関係性は、他人から見ると非常にまどろっこしくもありましたが、「男と女」ではなく「人と人」の結びつきが強くて、個人的には好きでしたし、男女問わず、ああいう関係が結べる人に出会えたら幸せだろうな、と思いました。

 

そしてこのドラマを見ようと思ったきっかけになった清原果耶ちゃん。映画「3月のライオン」を見て「この子は誰…!?」と釘付けになったのが懐かしいです。笑

 

常に「受け身」かつ内向的なヒロインだったので、演じるのも難しそうでしたが、みずみずしい存在感に毎朝癒されていました。2002年生まれか…どうやら歌やダンスも習っていたようなので、ミュージカルにもちょっと出てみてほしいかも…(歌唱力によりけりですけど…)

 

BUMP OF CHICKENが歌う主題歌もすごく好きでした…!最終回まで半年見て、ほとんど歌詞が聞き取れなかったですけど…!!(最終回後にググって調べましたw「やじろべえみたいな正しさだ」って言ってたんだね………)

2021.7.23 ミュージカル「レ・ミゼラブル」マチネ公演:爆音拍手はおやめください

2021年3度目のレミゼ観劇。

 

前日に観る予定だった「ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート」は、関係者にコロナ陽性者が出てしまったとのことで、当日朝に中止のアナウンスが出てしまいました。やっぱりまだまだ「普通」にはほど遠いなぁ…と思ったり。

 

それでも6月中の公演はほぼ予定通りに観られてたので、そのことに慣れ始めた自分にとって、改めて「中止になる前提」でチケットを取らなきゃな…と自戒を込めるきっかけになりました。コンサートが観られなかったのは残念でしたが、気を引き締め直すという意味では、良い機会だったのかも。

 

今回のレミゼは、吉原バルジャン、竹内マリウス以外は、前回と全員違うキャスト。完全に初見だったのは加藤コゼット、樹里テナ夫人。お久しぶりです!なキャストは伊礼ジャベ、和音ファンテ、相葉アンジョ。今期2度目だったのは(前回と同じ竹内マリウス含め)生田エポ、橋本テナ。いろいろごちゃ混ぜなキャスト回でした。

 

隣の席の客がなかなかアレだったからか、あまり心に刺さらない回でした…。その人、まず1幕はカバンの中でずっと何か点滅させていました(幕間に気づいたようで、2幕前にはカバンの奥底に押し込んでましたけど、スマホだったら電源切りなさいよ…!)

 

さらに拍手は耳に刺さる爆音。1幕終わりではまだみんな拍手してるのに、1人立ち上がって我先に通路に出ようとしていて(ムカついたので阻止しました←)、オペラグラスの上げ下げ動作がいちいちおおげさ(そっとやってくれ)。

 

カーテンコールでは自分のお気に入りキャストにだけ爆音拍手、気に入らないキャストには拍手なしという、トータルで最悪な客でした。推定50代のおばさま。もう2度と観劇してほしくないので、これから1枚もチケットが取れなくなる呪いでもかけたかった…。観る環境って本当に大事です。

 


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以下、キャスト別感想。

 

ジャン・バルジャン:吉原光夫さん】

「吉原バルジャンが見たいんじゃ!」って申し込んだら、確保できた4公演中、3公演が吉原バルジャン回になってしまい、代わりに福井バルジャンが今期未見のまま終わることになりました。

 

今期の吉原バルジャン、やっぱり「剛」よりも「柔」が感じられるバルジャンになった気がします。2019年に初めて観たときは、とにかく力強い歌声とお芝居が印象的でしたが、今期はコゼットに接するやさしさや、司祭さんに気遣われたときに見せる弱さ、心からの祈りがこもった♪彼を帰して♪、最期のシーンなど、全体的に角が取れたなと思いました。私の中のバルジャン像は、吉原バルジャンで固まりつつあるなぁ…(正直まだヤン・バルジャンへの未練たらたらですけど←)

 

【ジャベール:伊礼彼方さん】

かっこよくて品があってスマートな伊礼ジャベール。ジャベールはまとわりつくような、一種のいやらしさを感じるキャラクターですが、伊礼ジャベはあまりそれを感じさせないので、前半はあまりバルジャンへの執着もほとんど感じませんでした。ただただ自分が信じる正義にまっすぐ進んでる印象です。

 

(他の方が演じるジャベールも、自分が信じる正義にまっすぐなのは同じなんですが、バルジャンだけに特別な感情を持っている印象でした。が、伊礼ジャベはそれを感じませんでした。捕まえるべき犯罪者がたくさんいて、その中の1人がたまたまバルジャンってだけ、というのが伊礼ジャベの印象です)

 

というわけで、粘着質な感じはあまりなく、比較的からっとした印象で、声も他の2人(川口さん、上原さん)と比べると太さはないので、♪星よ♪もすごく印象に残るわけではありませんでした。

 

ただ他の犯罪者たちを捕まえてきたときと、バルジャンを捕まえようとしたとき(=バリケードで再会して自分のことを殺すように言ったとき)の、相手の出方が全く自分の予想の範囲外で、伊礼ジャベはそれに対する的確な判断(答え)をすぐには出せなかったように見えました。バルジャンに無傷で解放されたときには呆然としたままでしたが、おそらくそうした行動をとった自分を、後でひどく恥じたんじゃないかと…。

 

なので最後にバルジャンを追い詰めたときから♪ジャベールの自殺♪までの、狂気をはらんだ目と、自殺シーンでの♪星さえ凍る♪で空を見上げたときの、恐怖におびえるような表情が印象的でした。♪星よ♪のときに夜空に浮かぶ星を、ジャベールは「刑事たちだ」と例えていますが、バルジャンに許されること=自分が信じてきた道を外れることと認識しているであろう伊礼ジャベは、その「星たち」の視線から逃れたいがために、川に沈んでいったんじゃないかなと思いました。

 

というわけで、そのキャラクターが持つ細かい背景を思い浮かべさせてくれるような伊礼ジャベでした。

 

【ファンテーヌ:和音美桜さん】

私の人生初レミゼでファンテーヌだった和音さん。2019年は結婚後に妊娠されていたのでいったん抜けて、昨年からお仕事に復帰され、今期からはレミゼにも復帰されました。「モーツァルト!」があったので、帝劇での出番は少なめだったのかな…?吉原さんとの結婚後、初めての夫婦共演だったので、そういう意味でもとても注目されていたと思います。

 

ご本人たちはあくまでも「役」として舞台に立ってるので、あまりうがった目で見られたくはないと思いますが、やはりご夫婦というだけあって、お芝居の息がかなり合ってるのではと感じました。娼婦に身をやつしてバルジャンにいら立ちをぶつけるのも、死期が近くなって体を預けるのも、きっと思いっきりできるんだろうなと。気心知れた仲だからこそできることって、きっとあるんでしょうね。個人的にはとても良いなぁと思います。

 

そして和音ファンテーヌが、やっぱり一番好きなファンテーヌだなと改めて思いました。♪夢やぶれて♪の説得力や、これまでのファンテの人生を感じさせるような芝居込みの歌声が、すごく好きです。

 

あとバルジャンが亡くなる直前に迎えに来るシーン。バルジャンに必死に語り掛けるコゼットを見つめて、「こんなに大きくなって」みたいに微笑む和音ファンテが見えて「あ゛―――――」ってなりました(謎)

 

【コゼット:加藤梨里香さん】

反抗期の乙女だった加藤コゼット。見た目は可憐で愛らしくて、歌声もすごくかわいらしかったんですが、バルジャンが自分に対して何か後ろ暗いところがあるのがどうしても許せないようで、「パパはなんで私に話してくれないのかしら!」と、ぷんぷんしてる印象が強かったです。バルジャンに「寂しい子よ」みたいに言われて、あからさまに顔上げてムッとしてましたし。

 

バルジャンは、コゼットを愛するがゆえに自分の過去やコゼットの身の上を語りませんが、加藤コゼットにはそれが全く伝わってない印象でした。若さゆえに、バルジャンの気遣いややさしさに気づけていないという感じ。そして彼女がその「愛」に気づくのは、皮肉にもバルジャンが召されるときでした。マリウスを愛することで、より身近なバルジャンからの愛にも気づけたのかなと思いました。

 

となると、バルジャンとの別れには少し後悔が残りそうな加藤コゼットでしたが、きっとマリウスが全力で支えてくれるだろうな…と思えるラストシーンでもありました。

 

2019年公演では、エポニーヌが三者三様で面白かったですが、今期はコゼットが三者三様で全員良いパターンでした(※個人感)個人的には敷村コゼ推しです。

 

【マリウス:竹内將人さん】

「ザ・王道」な竹内マリウス。恋に舞い上がるお芝居がすごくうまくて、特に♪プリュメ街~心は愛に溢れて♪で、コゼットの家に石をぶつけるところからのお芝居がユニークでした。

 

コゼットが窓を開けて出てくる前は、必死に髪の毛を撫でつけたりシャツの襟を直したりしてて、♪この~想い~♪で一度コゼットが家の中に引っ込むと、♪想~い゛っ!?♪みたいに瞬時に焦ってましたw

 

♪ああ君の名前も知らない♪で動揺しまくっていて、うろうろ徘徊してるのもめっちゃ面白かったな…。♪僕はマリウス・ポンメルシー♪のあとのお辞儀も素早くぺこっと会釈してコゼットから決して目を離さず、「堅物マリウス」が初めて恋をした様子をうまく表現できてるなと思いました。

 

あと前回はあまり印象に残らなかった2幕でのお芝居、バリケードで弾を取りに行こうとするシーンで、バルジャンの制止を振り切ろうと全力でもがく姿がすごく印象的でした。吉原バルジャンが結構必死に抑え込んでたので、相当力入ってたんだと思います。

 

前回は肝心かなめの♪カフェソング♪で盛大に声が裏返ってましたが(ついでにマリウスが持つろうそくの火も、曲終わりまで持たずに消えてましたが)今回はそんなこともなく素晴らしい歌唱でした。ただ私は海宝マリウスの面影を永遠に追い続けるマンなので……………(重)

 

あと竹内マリウスはところどころ「どうしたの!?」ってびっくりするくらい、声量が無くなるところがあるのが気になりました。マイクの問題かしら…?

 

【エポニーヌ:生田絵梨花ちゃん】

<注意:いくちゃんファンですが、今回は厳しめ感想です>

私が厳しい目で見すぎてるのかもしれませんが、なんだかな~~~。いくちゃんエポ、私はあまりしっくり来てません。やっぱりコゼットの方がキャラ的に合ってるんじゃない?って思っちゃいます。

 

いくちゃんが他2人のエポニーヌと違ってる強みとしては、「コゼットを経験してること」だと思うんですが、そういう彼女なりのエポニーヌ像がいまいち見えてこないなと…。どうも「コゼットみたいにかわいくならないようにしなくちゃ」というところに重きを置いてるように感じましたし、ドスのきいた声がわざとらしく聞こえてしまいます。もっと素直にまっすぐ演じてもいいのでは…。

 

歌も、低いキーはあまり出てなくて(自分に合った範囲のキーだと途端に元気になる…)1幕ラストの♪ワンデイモア♪は悪目立ちした声になっちゃってますし、♪オン・マイ・オウン♪では聴かせどころの♪縁などな~~~い♪で声ひっくり返ってました。

 

この回でいいな!と思えたのは、最後のシーンでの和音ファンテとのハモり。とても美しかったです。

 

【アンジョルラス:相葉裕樹さん】

2017年ぶり、ということで4年ぶりの相葉アンジョでした。4年前も、圧倒的なスタイルの良さ、顔面偏差値の高さ、カリスマ性がピカイチだなと思ってましたが、4年ぶりに観たらめちゃくちゃ大人になってましたし(当たり前か)、ラマルク将軍の死で狂気のスイッチが入ってしまったかのような勢いと、一種の怖さを感じました。「もう戦うしかない」と相葉アンジョが決めたら、周りの誰もが止められない、止める隙もないオーラを放ってました。

 

相葉アンジョの見どころは、やはり2幕のバリケードのシーン。とにかくスタイルが良いので、バリケードに立つ姿がものすんごく様になりますし、撃たれてバリケードから落ちるその一瞬のポーズも信じられないくらい美しい。絵画にしたら多分高値で売れます(謎)

 

髪型はポニーテールで2017年から多分変わってなかったんですが、短髪な相葉アンジョも観てみたかったな。

 

歌は4年前から変わらず「主人公ボイス」。相葉さんの声は、聞いただけで「あ、この人はメインキャラクターなんだな」とわかるような、すごく得をする声質だなと思ってます。その特長はそのままに、今期は歌がさらにうまくなってたと思います。

 

前回の小野田アンジョの給仕バイトがはちゃめちゃに面白かったので、今回もマリコゼの結婚式そっちのけで給仕さん見てました。相葉さんがあまりにもはっちゃけすぎてたので、笑いを必死にこらえて座席でぷるぷる震える羽目になりましたw

 

以下、給仕になった相葉さんの珍妙な行動ですw

 

シャンパングラスをお盆に乗せて、近くでダンスしてるペアに向かって執拗にお酒をすすめる。

・テナ夫人に肩叩き(高速&激しく。笑)

・自分の両肩をすくめて変なポーズ。

(周りの給仕さんもなぜかマネし始めるw)

・テナルディエ夫妻がトラブルを起こすと、囲みの外から夫妻を見ようと全力ぴょんぴょんジャンプ。

・テナルディエ夫妻が歌い始めると、リズムに合わせて長い手足を駆使して全力で踊り狂う。

 

全体的にめちゃくちゃ目立ってましたし、あれ笑うなっていう方が無理ですw

 

【テナルディエ夫妻:橋本じゅんさん・樹里咲穂さん】

樹里テナ夫人、見てみたかったから嬉しい~!!!!!「天保十二年~」の樹里さんが好きだったので、テナ夫人も「絶対似合うじゃん!」って思ってましたが、「今までなんでキャスティングされなかったんだろう。むしろレミゼ3期目ですか?」くらいのなじみっぷりでした。

 

とにかく口が悪くて(笑)橋本テナが一言小言を言うのに対して、樹里テナ夫人が3センテンスぐらいぶつけてた気がする…wなので、多分口喧嘩したら樹里テナ夫人がいつも勝つんだろうな…という、このペアの日常まで垣間見えるような感じ。喧嘩するほど仲が良い、がとてもしっくりくるペアでした。

 

 

2021.7.16 劇団四季「アナと雪の女王」マチネ公演:愛がすべてを溶かす

 

久々のブログ!

気が向いたら更新しよ~!と思っていましたが、現在絶賛インプット時期(?)のため放置ぎみになってました…。笑

 

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日本でも大人気を博した「アナと雪の女王」。

そのミュージカル版が満を持して日本上演となりました。主催はもちろん劇団四季。ディズニー・シアトリカル・プロダクションとは、昨年で提携25周年を迎えたそうです。

 

四季会員の先行抽選で、家族全員が行ける最短の日程を確保。1公演しか応募しませんでしたが、運良く当選しました。

 

個人的にめちゃくちゃ嬉しかったのが、四季の中でも推している三井莉穂さんの、エルサ役としてのデビュー週に当たったこと。この日が確かデビュー3日目ということで、生まれたてほやほやの三井エルサを観ることができました。

 

というわけで、早速初見の感想を。

(キャストボードは全くもってキレイに撮れなかったので画像が残っていません!!!!!)

 

まずは全体を通して思ったこと。

休憩含めて2時間25分と、上演時間は短めなのですが、映画版よりもキャラクターの心情や背景が深められていたと思います。舞台機構はLEDパネルやスワロフスキーがてんこ盛りで豪華絢爛。歌も新曲だらけでしたが「映画版からあったっけ?」ってくらい、耳なじみの良い曲ばかり。役者さんたちはもちろん最高のクオリティのパフォーマンスを届けてくれました。

 

でも。

 

私の中の3大ディズニーミュージカルである「アラジン」「美女と野獣」「ノートルダムの鐘」レベルではなかったかなぁ…。観終わったあと「もう1回観たい!」ってすぐに次の回のチケットを探してしまうような、あの興奮はありませんでした。

 

映画と1番違っていたのは、アナとエルサの心情が深堀りされてるため、姉妹愛がとてつもなく重たいものになっていたことでした。

 

岡本エルサ&町島アナを観てないからまだ比べようがないのですが、少なくとも三井エルサ&三平アナは、お互いを思いやる気持ちがすっごく重たく感じました。もちろん良い意味で。特にエルサが持つ心の闇が、映画よりもさらに深くなっている気がしました。

 

(エルサがハンスたち追手に捕まる前に歌う♪モンスター♪という曲があるんですが、「お父さん、私が死ねばみんなが助かるの?」という歌詞があり、かなり直接的な表現だったのでびっくりしました)

 

そして1幕冒頭では、小さな頃のアナとエルサのシーンに時間が割かれているため、あっという間に大人になってしまった映画版とは違っていて良かったです。幼少期のシーンを増やすことで、姉妹愛の深さ・強さ・重さが出ていると感じました。

 

一方で、新曲が入ったり、幼少期のシーンが長かったりする以外は、かなり映画に忠実に!!を重んじている印象を受けました。

 

だからなのか、私の印象としては「演劇」というよりも「ショー」でした。ディズニーランドによくあるシアターショー。アメリカのディズニーランドでは「アラジン」や「美女と野獣」の、かなりクオリティの高いミュージカルショーが観られたんですが、そんな感じでした。別に安っぽいとかそういうわけではないんですが、なぜか同じ印象を受けました…。

 

あとこれはもう物語と楽曲の構成上仕方ないことなんですが、きっと誰がどう頑張っても1幕ラストが1番盛り上がってしまうパターンの演目でした。さらに致命的なのは、2幕に「これ!」といった楽曲がないこと。

 

♪ありのままで♪の幕切れがあまりにもかっこよく決まりすぎていて、あれ以上に盛り上がるシーンが2幕にはありませんでした。2幕の方が上演時間としては短いんですが、どうも間延びしてたように感じましたし…。だからといって♪ありのままで♪を2幕に持っていくわけにはいかないですし(一応物語のラストで、出演者ほぼ全員による♪ありのままで♪は聴けますけど。めでたしめでたし、みたいなテンションで)

 

強いて言えば、2幕にあったエルサのソロ曲♪モンスター♪が、♪ありのままで♪と張り合えるようなナンバーになる気はしていますが、あれ日本語で歌うのすごく難しそう…(BW版を聴いたときの高揚感が、四季版にはあまり感じられなかったので)

 

クライマックス(吹雪のシーン)で、アンサンブルさんたちが「吹雪」として演じている中を、アナ、エルサ、クリストフ、ハンスがカルテットで歌うシーンは好きでした。

 

噂になっていた♪ヒュッゲ♪は、楽しいシーンではありますが、正直尺が長かったので、もう少しカットしてもいいんじゃないかな…。

 

全体の感想はいったんこのくらいにして、以下、キャスト別感想です。

 

【エルサ:三井莉穂さん】

・「アラジン」のジャスミン役で大好きになった三井さん。ただエルサ役に初演キャストとして選ばれたのは、正直びっくりでした。

 

ジャスミン役としての三井さんは、つんつんしていてプライド高めな王女様である反面、カーテンコールでは他キャストにちょっかい出したり、きゃっきゃしながら絡んでたりするのを見ていたので、なんとなく【妹っぽさ】を感じていました。だから「エルサか…あれ、エルサ…!?!?」というのが第一印象でした。

 

そして三井さんご自身も、「最初はアナ役でオーディションを受けようかと思っていた」そうなので、きっと「妹キャラ」が自分には合ってるんじゃないか…と思っていらっしゃたんでしょうね。

 

・そんな三井エルサ。めちゃくちゃええやんけ(手のひら返し)

 

もちろん期待はしてました。が、私の予想をはるかに超えて素晴らしかったです。デビュー3日目なので、歌もお芝居もまだまだ伸びしろがありそうだなと感じたものの、むしろデビュー3日目でここまで作り上げてるのか、とも思いました。これはハマり役なのでは…?

 

・すっごく「映画版のエルサ」でした。三井さんの声は、日本語吹き替え版でエルサの声を担当した松たか子さんよりも低めで太く、お顔立ちも決してアニメーションのエルサに似ているわけではありません。が、表情や仕草は、映画で見たエルサそのものでした。映画版を緻密に研究されたのか、三井さんなりに考えたエルサ像として出てくる表情が、たまたまアニメーションそっくりになったのか、どちらにせよ「あ、エルサがそこにいる」と思えました。

 

・歌は地声でがーっと張り上げられる方なので、高音がキンキンしないかだけ少し心配でしたが、特に問題なさそうでした。(ジャスミン役のソロパートはたまにキンキンして聴こえてたので)

 

どの曲も、この時点(開幕1か月)ではまた歌い慣れているわけではないと思うので、今後歌声がもっと前に飛んでくると良いなと思いました。声はしっかり出ていますが、少し迫力不足を感じました。

 

1幕で歌う♪危険な夢♪は、高音パートで裏声を使っていて、弱さを打ち出すお芝居を歌で表現されている印象でした。ジャスミン役では聞けなかった、三井さんの新たな歌声に感じました

 

・背がすらっと高めなので、女王としてのマント付きの衣装も、氷のドレスも、2幕の(着こなしが心底難しそうな)パンツ姿もかっこ良かったです。エルサ特有のプラチナブロンドのウィッグも、着用している姿がいまいち想像つかなかったんですが、よく馴染んでました。

 

・パンフレットを読む限り、岡本・町島ペア、三井・三平ペアで稽古をしていたようで、それもあってなのか、はたまた年齢が近いからなのか(おそらく1歳差)、出身がお2人とも関西だから波長が合うのか(!?)、三井エルサと三平アナの醸し出す空気感がものすんごく「本物の姉妹」みたいで、いい意味で意外でした。たまにやりすぎなくらいはっちゃけてる三平アナをたしなめつつ、そんなアナの様子を心から楽しんでるような三井エルサの笑い声が印象的でした。

 

【アナ:三平果歩さん】

・四季ファンなら誰もが、「アナ雪」の上演が発表されたときに「三平さん、アナ役でオーディション受けるんだろうな」と思ったでしょうし、案の定オーディションの様子が公開されたときに姿があって「こりゃ受かるだろうな」と予期してたと思います。笑

 

・三平アナは、完全に「ディズニーアニメーションの世界からご本人連れてきました」状態でした。360度、どこからどう見てもアナそのもの。「アラジン」の瀧山ジーニー、「ノートルダムの鐘」の岡村エスメラルダに次ぐ、どんぴしゃキャスティングだと思いました。

 

・声質が映画吹き替え版の神田沙也加さんに少し似てるので、観ている側としても世界観にすんなり入り込めましたし、三平さんお得意のくるくる変わる表情も、アナにぴったりでした。

 

・ミュージカル版のアナは、やたら身体能力高めな動きを要求される役のようで、♪生まれてはじめて♪は舞台上で生着替えしつつ、あちこちを駆け回りながら歌ったり、♪とびら開けて♪は飛んだり跳ねたりものすんごい体勢でハンスに抱きかかえられたり、挙句の果てにはあのドレスを着たまま側転まできめてました(呆然)

 

♪愛の何がわかる♪では、つり橋から真っ逆さまに吊られるスタントシーンもあり、想像以上にいろいろ大変そうな役でした。歌がうまくてかわいいだけじゃ務まらん…。

 

・アナが持つ「ちょっとしたうざったさ」みたいなのを体現してるのも良かったです。かわいいんだけど、この子空気読めんな…みたいな、あの感じ。

 

・歌は♪生まれてはじめて♪の歌い方(声の出し方)がちょっと気になる部分がありましたが、他は特に気にならず。

 

(三平さんの声、ときどき何かに押しつぶされるような出し方をすることがあるのが気になります)

 

2幕でエルサとデュエットで歌う曲、三井エルサとの声の相性がすごく良くて、曲自体一気に好きになれました。

 

【クリストフ:神永東吾さん】

・山男としてのむさくるしさを出そうとしてるのか、髭も髪ももじゃもじゃだった神永さん。ただし、そこから漏れ出てしまう品の良いかっこよさ…(ジーザス演じた人と同じとは到底思えなかったですがw)

 

・もう少しユーモアを感じられるといいのかな…?この時点ではまだお芝居に堅さを感じました(個人感)

 

【オラフ:山田充人さん】

・オラフは女性版で小林さん、男性版で山田さんがキャスティングされていて、個人的には小林さんが演じる女性版オラフがすんごく気になってたんですが、山田オラフの方が多分映画には近いんじゃないかなと思いました(元の声が男性だから当たり前か…)

 

・とにかくめちゃくちゃかわいい…!パペットは眉毛やまぶたまで動かせるようで、ものすごく細かい表情まで作っていました。自在に動かせるまで、相当な訓練を積まないといけないんだろうなぁ。

 

・やはりおおむね映画版のイメージ通りだった山田オラフ。♪ヒュッゲ♪のときは、クリストフと後ろでわちゃわちゃしてるみたいなので、次回以降はそのへんも注目して観てみたいです。

 

【ハンス:杉浦洸さん】

・1人だけ「レミゼ始まるんか!?」というくらい、豊かで美しい歌声を響かせていた杉浦ハンス。めちゃくちゃ逸材では!?今までどこにいたんです…?(「リトルマーメイド」ではシェフ・ルイを演じていたそうですが、どう考えてもエリック王子では…?)

 

・どこからどう見ても優しくて誠実な王子様にしか見えず、映画のオチを知っているのに、「本当にあのオチになるのか…?」と思ってしまったのは、キャスティングの妙でしょうか。「このハンスは裏切らないでしょ!?」と思ってしまいましたw

 

・裏切るシーンは、尺が短いので難しそうでしたが、もう少し邪悪さを出してほしかったかな…?それまでのいい人オーラが若干抜けてなかった感じでした。

 

 

正直「すぐにおかわりしたい!」という作品ではありませんでしたが、今後ちょこちょこ観に行けたらなと思っております!